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クラス対抗戦 3


「あれ、昨日あんなんあったっけ?」


今、四人はいつものように訓練場に入っていったのだがその中身は大きく変わっていた。


いつもの癖でつい訓練場に入ってきてしまったが…


クラス対抗戦が行われる場所はここではない。ちなみに今ここにいるのは楓達四人と一人…


「いや、なかったと思うよー」


「昨日は見ませんでしたね」


日向とミルも楓の意見を肯定する。何が違うかというと訓練場に簡易的ではあるが競技場が二つ作られていた。


大きさは大体直径100メートル程度。それが二つ余裕で入る大きさだというのだからこの訓練場自体の大きさがどれ程の物かも大体分かるだろう。


「多分朝に誰かが作ったみたいだね」


「まぁ、どうせあそこに隠れているつもりの人だろう」


アルは大体目星が付いているらしい。男性陣二人はこれを作った犯人に気付いたのだろう。


『気付いているのはマスター、アルさん、学院長位でしょう。というか学院長が手配したのでしょう』


「にしても国の2トップの一人がこんな学院如きの試合を見に来るって暇なのか?」


「って言う事は?」


「そう言えば毎年この時期になればいなくなる事がありましたね」


楓のこの呟きのおかげで日向とミルも気付く事が出来た様だ。ミルのこの呟きのおかげで、楓と日向も気付く事が出来たようだ。


この国の2トップの一人と言えば大体わかるだろう。


「宮廷魔術師長も大変なんだな」


そう、宮廷魔術師長である。まぁ、このレベルの土魔法を使えるのはこの国でも一握りだろうからすぐに答えが分かる。


楓は、隠蔽魔法を使っているのか知らないが隠れようと努力している宮廷魔術師長に視線を向ける。


「やぁ、バレちゃったみたいだね。久しぶりだね、カエデ君」


「お久しぶりです。ヒストリア様」


ヒストリアは楓君と随分フランクな呼び名に変わっていたが特に楓は気にしない。


とりあえず年上みたいだから敬意は払っておく。


「硬いよ、カエデ君。私の事は呼び捨てで構わない」


「楓くん、慣れない事はしない方がいいよ」


ヒストリアからは身震いしながら硬いと言われ後ろからは日向に慣れない事はするなと肩を震わせながら言われる。


なんか悔しい…


『普段からもう少し敬語を気を付けてみては?』


俺敬語苦手なんだよなぁ。


まぁ、ヒストリアも硬いと言っている事だし普段の言葉遣いで話させて貰う事にしよう。


「じゃあ、ヒストリアさん。今後もよろしく。であれは?」


「うん、そっちのがいいね。あれはなんか学院長がお願いしてきてさ。ここに二つほど競技場を作ってくれーって。毎年隠密に見に来ていたけど今年は面白い事になりそうだね」


毎年来るのは将来の騎士団や宮廷魔術師になるためのいわゆる雛を見にきているわけだ。


ここで大体の力を見ておきたいのだろう。


「にしても、ここに競技場を作る理由ってなんだろ?」


「んー?それは聞いてなかったな。多分出場しない人達に誰かが指導する為に簡易的に作ったんじゃない?」


ヒストリアはそう予想立てていたが大体それが当たっている事は楓達にも分かった。


つまり、楓達にもその教えるのに参加しろという学院長からの間接的なお誘いなのだろう。


まぁ、そんなの普通に無視してやるが…


「そうか、まぁ俺達には関係ない事だな。俺達はこれから競技場に向かうけどヒストリアさんはどうするの?」


「私も行くけど隠れていかないといけないんだよねー」


「宮廷魔術師長が学院に来ていると他の生徒にバレたらパニックでは済まない事になりますからね」


ミルの意見はもっともだがすでに楓達にバレているのはどうかと思う。


「いや、カエデ君とアルさんがおかしいんだよ。まさかバレるなんて思ってなかった」


宮廷魔術師長も結構本気で隠蔽魔法を自分にかけていた為いくら楓達とはいえ簡単にバレるとは思っていなかった。


「まぁ、ドンマイって事で。俺達はもう行くからな」


「うん、楽しみにしてるよ」


「あぁ」


楓は最後に面白そうな笑みを浮かべてヒストリアに手を振って訓練場を去っていく。




そして、楓達はクラス対抗戦の競技場に着きさっさと中に入っていったが結構人が集まっていた。


まぁ、一学年だけだからと言って百六十人位なのでそこまで人が多くはないが皆一様に緊張した面持ちをしていた。


それはAクラスも同様だった。ルミナを除いて。


「あ、先生達。おはようございます」


さっき楓とは会っていたのだが他の人達は知らないので白々しく外モードでルミナは楓達に挨拶をする。


「おはよう、ルミナはそんなに緊張はしていないみたいだな。その他は…」


「お、おは、ようございます」


「あ、か、カエデ先生た、たちだ」


マークとモニカだ。幾らなんでも緊張し過ぎである。

「おい、緊張し過ぎだ」


楓は呆れてみんなの前に立つ。ここはAクラスの応援場所なので他のクラスはいない。この訓練場のイメージとしては昔、友達の応援に行った陸上競技場の応援場所みたいな感じだ。


『イメージのつかない人はググってみてください』


誰に話してるの?


「っていうか出場メンバーは分からないでもないが他の奴らも何で緊張してるんだよ」


「多分これに負けた時に下のランクの人達から煽られるのが相当うざいのでしょう」


ルミナがフォローしてくる。少し困った顔をしているからルミナも楓達がくる前に結構頑張っていたみたいだ。


こういう所があるから周りからは好感を持たれるのだろう。


「「「……!!!」」」


いきなり生徒達全員が固まる。それもその筈だ。楓が結構な威圧を発揮していたからだ。


まぁ、楓からしたら本当に微々たるものだったが。


「落ち着いたか?」


楓はケロっとしながらAクラスの全員に自慢げに問いかけた。


「いや、落ち着いたけど…」


ルミナはどこか不満げにボソッとそう呟いたのであった。

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