クラス対抗戦に向けて 4
明日から三日間は一日一本投稿です。楽しみにしてくださっていた方、ごめんなさい!
来週はしっかり二本投稿します。
「あ、ありがとう…」
あの後、しばらくしてから泣き止み楓に礼を言う。
まだ、目は少し赤いがさっきまで泣いていた証拠だろう。
「おう、大丈夫か?」
「えぇ、助かったわ。ありがとう」
少し恥ずかしそうにもう一度楓にお礼を言った。敬語が抜けていたがこれが素のルミナの話し方なのだろう。
少し、ツンとした話し方だがこれはこれで可愛い。やはり、美少女は何をしても可愛いって言うことだな。
「そろそろ戻れるか?」
「えぇ、いつまでも泣いている暇はないわ。大将不在では訓練も出来ないしね」
ルミナはほぼ完全に復活した様に見えた。これでもう大丈夫だと思う。
もし、ここに楓が来なかったらルミナはしばらく立ち直れていなかっただろう。珍しく楓がファインプレーをした瞬間だった。
「まぁ、ルミナもあの時は結構動揺して動きが鈍ってたからな。次にやる時は二人なら余裕だろ?」
「当たり前でしょ。もう、あんなヘマはしないわ」
「今頃あの四人はアルから俺が考えるよりも数倍酷い訓練をしているんだろうな」
楓はそう言ってリアルでアルが四人をイジメ倒している光景を想像出来してしまい思わず苦笑いだ。
「あー、アルメダ先生ってSっぽいもんね」
「間違いなくアイツはSだ。それとルミナ、二人の時やプライベートでその喋り方は良いけどみんなの前では気を付けろよ」
別に楓は良いのだが周りから何を言われるか分かったもんじゃないから一応注意しておく。
「分かってるわよ。公私はしっかり弁えてるわ」
ルミナもそこは弁えているようだ。うん、やっぱりルミナは敬語よりもこっちの方がしっくりとくるな。
それから二人して校舎を出てAクラスが訓練している訓練場を目指した。
「うわ、あれはえげつないわね」
「だろ?アイツは本当に腹黒い。多分ルミナに勝って伸びかかっている鼻を俺の代わりに折ってくれているんだろう」
「ごめんなさい、私が負けたから…」
思わずルミナも暗い顔をしながら楓に謝る。
「謝る必要はない。生徒のミスをフォローするのが俺達先生の役目だからな」
「年は変わらないでしょ!」
「それでも先生は先生だ」
楓とルミナは笑いながら言い合いながらそのままアル達の元へと向かった。
「なんかルミナさんと先生、仲良くなってませんか?」
帰って来て早々モニカが少し恨めしそうに楓とルミナに言う。
「まぁ、さっき強くだk…」
「ちょ、先生!!!」
楓がうっかり先程のルミナにした事を言おうとするので慌ててルミナが楓の口を塞ぎにかかる。
「カエデ先生…私達がこんなに苦しい思いをしてたのに先生はルミナさんとこんなにイチャイチャ…」
なにやらダントも黒いオーラを醸し出しながらカエデたちに迫る。
アルは止めに入る事もなく他の三人を煽る様な事を言っていた。こいつが元凶か!
「い、イチャイチャなんてしてません!」
「ルミナさん、今の君達を見てイチャイチャしてないなんて言う人はいないと思うよ?」
次はマークだ。おい、また一人増えたぞ。
「おい、ルミナ。だんだん敵が増えていくぞ。余計な事を喋るな」
楓は至って真面目にルミナにそう言う。
「貴方が最初にいらない事を言ったのでしょう!」
楓のその全く自覚していない態度に思わずルミナも怒りの矛先を楓に向ける。
「まぁまぁ、その辺にしなよ」
アルがそう言って仲裁に入って来た。こいつ、自分で仕向けといて…が、これはチャンスだ。ここで話を変えよう。
「それより、マーク達はどうだった?二人を相手にするのはそれだけで不安だっただろ?」
「そうですね。ルミナさんの見ている景色が少し見えた気がします。あれを平然とやってのけるとは…」
「だねー。私も頭がパンクしちゃいそうでした」
マーク達は先程の様に勝利を勝ち誇る事はなかった。
いかに、自分達が有利な状況で事を進めていたのかが分かったのだろう。
後ろでルミナが「話を変えましたね。」と言って来たがそんな事は知らん。無視だ。
『もう、すっかりルミナさんも心を開いてくれてますね』
だな。嬉しいけどコイツを敵に回すのは日向やミルを相手にするのと同じ位面倒臭い事になりそうだから勘弁してほしい。
「さぁ、そろそろ訓練を再開していくぞ。悪い所はどんどん指摘していくからな」
「「「「「はい!」」」」」
こうして五人は楓の訓練を二日間こなしていくのであった。
そしてクラス対抗戦当日。
「あ、おはよう。カエデ先生」
「おはようございますシエラ先生」
楓は今一人で王立学院に来ていた。ちなみに今の時間は6の鐘も鳴っていない。楓もそうだがシエラも出勤時間には早過ぎる時間であった。
「今日は他の三人はどうしたの?」
「多分いつもと同じ時間にくると思いますよ。僕はルミナ達のご褒美を用意しておこうかと思いまして…」
「もう、すっかり先生ね。」
「まだ一週間ですけどね。それで、シエラ先生は?」
楓はシエラにすっかり先生だと言われ少し嬉しそうに、そして恥ずかしそうに笑いながら言葉を続けた。
「なんて言うか、楽しみで目が冴えちゃったからそのまま学院をフラつこうと…ね?」
楓の質問にシエラは恥ずかしそうにそう答えた。
そしてシエラの言う事は分からないでもなかった。楓もルミナ達にご褒美を用意する為にここに来たのは事実だがそれ以上に今日、ルミナ達がどこまで戦ってくれるかが楽しみで仕方がなかった。
ルミナ達が勝つ前からご褒美を用意しようとしている時点でルミナ達の勝利を疑ってはいないが。
「分かります。ルミナ達の戦いが楽しみです」
「今年はどのクラスにも優秀な子がいて殆どクラスのランクは関係ないの。私達のクラスが優勝すると慢心はしてられないわ」
「いえ、絶対に優勝しますよ」
楓はそう断言した。
「何故そう思うの?」
「僕達が直接指導しましたから。他のクラスの情報は殆どありませんがそれでもルミナ達が勝つのを疑っていません」
「そう、楽しみね」
シエラはそんな楓を見て面白そうな顔をしていた。
楓を試す様な、それでいて期待している様なそんな顔を。
「もう、先生ったら…」
そんな楓とシエラのやり取りを聞いていた一人の少女は何時もの様に顔を真っ赤にしながらそう呟くのであった。




