↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜  作者: クズ吉(くずよし)
オフシーズン編その1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/128

第124話 アイドルの裏側

新名凛華視点です。

 Side:新名凛華


 「お父さん♡私、誕生日に欲しい物があるんだけどさ♡買ってくれる?」


 「うおっ!なんだ急に甘えた声出して…最近口もきかなかったじゃないか」


 「お願い♡どうしても欲しいの♡」


 「ははっ、しょうがないなぁ。何が欲しいんだ?」


 あれは私が小学5年生の反抗期の時。


 今思えば私はあのデレデレとした父の顔を見て学習したのだ。


 何を学習したのか。


 それは言葉では表しづらい。


 だけど直感で感じた。


 男は私の表情、態度をどうやら気にしているらしい。


 それは落差があればあるほど喜ばせたり、不安にさせたりすることが出来る。


 「ギャップ萌え」という言葉を知ったのはアイドルになってからだ。


 私はおしゃべりがあまり得意ではない。


 頭の中で考えることは沢山あるのだけど、言葉にするのは億劫。


 そんなタイプだ。


 一方で歌や演技は得意。


 他人の言葉を借りることで私の頭の中を言語化する必要がないから。


 私がアイドルになって少し経った頃、先輩アイドルと喧嘩になった。


 その日はトークショーの後に歌唱パフォーマンスをするイベントに出演する日。


 不機嫌だった私はトークショーの司会者の質問に「別に」とか「興味ないです」とか素っ気ない態度で対応した。


 だけど歌唱パフォーマンスでは鬱憤を晴らすために全力で笑顔でパフォーマンスした。


 その日のトークショーと歌唱パフォーマンスの私の態度の落差は衝撃的だったようで、インターネットでもの凄い勢いで拡散された。


 事務所の人や先輩方にはトークショーでの態度を咎められたけど、私は注目を浴びていることにとてつもない快感を覚えた。


 インターネットで大爆発が起きた後、私の所属するアイドルグループ「夕暮れサンシャイン」は私をセンターにした。


 それほどまでの注目度だった。


 事務所の人達は手のひらを返し、もっとやれ!貫け!と私に発破をかけるようになった。


 私はインターネットで情報収集して皆が何を期待してるのかもう分かっていた。


 ギャップ萌えだ。


 あの日の父の嬉しそうな態度にやっと名前をつけられた。


 それからは皆の期待に応えるために、いや成功体験に縋っていただけだろうか。


 私はおしゃべりはやさぐれた態度で、歌唱パフォーマンスや演技の仕事は本気で取り組んだ。


 今では芸能界で独特なポジションを築いている。


 トップアイドルと呼ばれる存在になれたが、私を嫌う人も多い。


 特に女性は…まぁ私がわざとギャップ萌えを起こそうとしている事を嗅ぎ取っているのだろう。


 でもそれでもいいと思う。


 私の心情は毎日不機嫌な訳ではない。


 だからやさぐれた態度も演技、「新名凛華」の活動全てがパフォーマンスだ。


 私のファンが「新名凛華」を求めてくれる限り私は「新名凛華」であり続ける。


 そう思ってたのに…


 「どうしよう…送っちゃった…」


 今日会ったばかりの…それも男の人にLIMEメッセージを送ってしまった。


 アイドルとしてあるまじき行為だ。


 文面を改めて読み返す。


 「今日はCM撮影お疲れ様でした。素っ気ない態度をとってしまってごめんなさい。クラウチさんが私のファンだと言ってくれたこと、とても嬉しかったです。

実は私もクラウチさんのファンなんです。よかったらお友達になってください。あとこのLIMEを送ったことは2人だけの秘密にしてくれますか?」


 新名凛華らしさの欠片もない。


 私の頭の中の…本心を文章にしてしまった。


 LIMEメッセージを送った相手はクラウチ大雅さん。


 私の一学年下、高校1年生にしてサッカー界のトップアスリート。


 彼の事は今年の春くらいにNリーグ最年少記録更新のニュースを見て初めて知った。


 その時はサッカーにあまり興味がなくて、なんか凄いんだなとしか思わなかった。


 でも6月に日本中がW杯に注目してる時、私もテレビに釘付けになった。


 日本代表が躍進、優勝もあり得るのではないかと日本中が大熱狂。


 それを引き起こしたのが16歳のクラウチ選手だというのだから、皆が驚いていた。


 異様。


 異様だった。


 私の家族も高校のクラスメートもアイドル仲間も、皆が皆クラウチ選手の話をしている。


 しかも全員彼に好意的だ。


 それもそのはず。


 クラウチ選手は高身長で顔が恐ろしく整っており、声もかっこいい、インタビューは真面目な好青年。


 何よりも人気スポーツであるサッカーが日本代表級、いやW杯得点王級に得意ときた。


 彼の人気は爆発的…を超えて宗教的…アイドル的と言った方がいいかな。


 兎に角すさまじいものがある。


 私達アイドルは歌とダンスで人々を熱狂させるけど、クラウチ選手はサッカーで人々を熱狂させる。


 私も多分に漏れずクラウチ選手の活躍に熱狂した。


 W杯が終わった後もNリーグの試合を追いかける程までではなかったけど、ニュースで彼の活躍を見るとついテレビに目を向けてしまう。


 そのくらいなんとなくの好意を持っていた中で、今日のCM撮影。


 まずクラウチ選手が私のファンであることに驚いた。


 なにせ彼は有名女性雑誌の2014年最も活躍した「今年の御人」に選ばれた方だ。


 「今年の流行語」でも彼のゴールパフォーマンスの名前、「タイガーポーズ」が1位になったほど、影響力がある。


 今日本一注目を浴びているアスリートと言っていい彼が、私のファンなのだ。


 嬉しくないわけがなかった。


 もちろん他の人がいた撮影現場で喜ぶわけにはいかなかったけど。


 それにお土産でもらった海老せんべいの箱には電話番号と「LIMEしてください」の文字が書いてある付箋が貼ってあった。


 私はこんな直接的な誘いがあるんだと感心した。


 私は多くの男性ファンがいる女性アイドルだ。


 事務所のルールには別に恋愛禁止といった文言はない。


 だけど…


 クラウチ選手にLIMEメッセージを送ることは、アイドルとしてやってはいけないことだ。


 心のどこかでそれは分かっていた。


 それなのにメッセージを送ってしまった。


 「友達…友達なら…いいよね」


 私は何度もクラウチ選手に送った文面を見て、自分を落ち着かせようと試みる。


 だけどすぐにクラウチ選手に送ったメッセージに既読の印が付いた。


 クラウチ選手が私の文章読んでる…!


 あんなに素っ気ない態度取ったのに、こんな長文送って変に思わないかな。


 「今日はありがとうございました。憧れの新名さんと共演できて感無量です。お互いにファンだなんて運命かもしれません。ぜひお友達になりましょう。もちろん2人だけの秘密ですよ」


 既読が付いてからすぐの返事だった。

 

 「憧れ!?う、う、運命!?何この人!でも友達って書いてある…大丈夫だよね」


 心臓の鼓動が速くなる。


 思えば男の子とLIMEメッセージを交わすのは初めてだ。


 「クラウチさんは大袈裟なんですね」


 「大袈裟なんかじゃないです。本当に嬉しかったですよ。貴方にお会いできたことが。あっ、凛華ちゃんって呼んでいいですか?」


 うっ、距離を詰めてくるのが早い!


 「いいですよ。じゃあ私も大雅君でいいですか?」


 「大丈夫です!凛華ちゃん、今日はあまりお話出来なかったので、今度お茶でもしませんか?」


 だから距離!


 お茶?お茶くらいなら…友達だしいいよね。


 「お茶ですか。構いませんけど私達が会うとなると人目につきませんか?」


 「ん〜それなら静岡辺りで富士山でも眺めながらお茶しましょう。どうですか?」


 お茶…静岡…連想ゲーム?


 静岡は私の住む東京と彼が住む愛知の中間くらいか。


 それならマスコミが追ってくることもないはず。


 「おーけーです。でも日程合うかな…大雅君すぐアジアカップの合宿ですよね?」


 「よくご存じですね!そうなんです!凛華ちゃんも年末は忙しいですよねー」


 私はスケジュール帳を取り出す。今年は残り少ないけど…


 「12月27日なら空いてます」


 「おお!その日なら僕も空いてますよじゃあ…」


 その後集合時間、集合場所を決めてその日はLIMEメッセージを終えた。


 それにしてもあのクラウチ大雅選手とお茶か… 


 大丈夫…だよね?友達とお茶するだけ!


 これはデートなんかじゃない!



もしこのお話が良いなって思ったら下の評価★★★★★、リアクション、ブックマーク、コメントをして頂けると今後の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。