私を認めてくれたという事が
「ねえエミリア?考え直さない?」
私が患者の病気の状況を書き込んである資料を整理していたら後ろからもう聞き慣れた声・・師匠であるエスメラルダさんの声がして振り返るとエスメラルダさんが上目ずかいで私を見ていた。
「無理ですね!私は予定通り今日で終わりです」
エスメラルダさんの下で働き始めて1年と1ヶ月が経ち私は無事に医師の資格と薬師の資格を取る事が出来た。
そして私は予定通りに今日でエスメラルダさんの助手を辞める事となっている。
「だってエミリアがいなくなったら誰が資料を纏めてくれるの?誰が私のご飯を用意してくれるの?」
エスメラルダさんの元で働き始めて知ったんだけどエスメラルダさんは医療に関しては天才と言ってもいいけど私生活に関してはハッキリ言ってズボラとしか言いようがない事がわかった。
「私がいなくなってもカリンさんがいますから安心してください、あの人も几帳面ですから」
カリンさんというののはこの病院にいるもう一人の医師で腕も確かな人だ。
「えー?だってカリンってば小言ばかり言ってくるんだよ?」
「言われる事をするのが悪い!!」
エスメラルダさんの後にいつの間にか立っていた女性・・・・栗色の髪を肩で切り揃えている美人・・過リン酸がエスメラルダさんを睨みながらそう言い放ちエスメラルダさんが身体を縮こまらせる。
「だって」
「だってじゃない、ほらエミリアだって困ってるでしょ?」
私を見ながらそう言ってくるカリンさんに私は苦笑する。
「本当に仲良しなんですね」
こんなやり取りをしてる2人だけど信頼し合ってるのは1年の付き合いでよく理解している。
「でないとこの子と一緒になんて働けないからね」
私の言葉にカリンさんも苦笑しながらそう口にした。
「あ・・・・そろそろ時間ですね」
最後の日だからと色んな事を2人と話していたらいつもの仕事が終わる時間になったのに気が付きそう口にするとエスメラルダさんとカリンさんが少し寂しそうな顔になりエスメラルダさんが席から立って奥の部屋へと歩いて行き5分もしないうちに戻って来た。
「エミリア・・・・これを」
エスメラルダさんが長さ30cmくらいの緑の布を差し出してきたのでそれを受け取り首を傾げる。
「これは?」
そう聞くとエスメラルダさんが微笑みながら口を開いた。
「広げてみて」
その言葉を聞き緑の布を広げてみると手術用の道具一式が収まっていた。
「貴女はもう立派な医師よ、だったらしっかりとした道具が必要でしょ?私とカリンで用意したわ」
嬉しかった・・・師匠と仰ぐエスメラルダさんとカリンさんが私を認めてくれたという事が。
「あらあら」
「まさか最後に貴女の涙を見る事になるとは思わなかったわ」
カリンさんとエスメラルダさんが私の顔を見てそう言って来て初めて私は泣いているのだと気が付いた。
「・・・本当にありがとうございました」
涙を流しながらそう言って頭を下げると2人は私を抱きしめてくれた。
「それじゃあ帰ります」
泣いた後に顔を洗いまとめてある小物を手に取り目の前で微笑んでいる2人を見てそう言うとエスメラルダさんと花林さんが頷く。
「たまに顔を出しなさい」
とエスメラルダさんが口にするとカリンさんの頷く。
「何かあったらここに来なさい、何でも相談に乗ってあげる」
私は2人に見送られて【自由の翼】のメンバーが待つ【ルーナリア】へと向かい歩き出した。
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