20話
慎吾視点→楓視点です
11月XX日
今日の彼は何かおかしい。
そのことに気がつくまでにそう時間はかからなかった。
今日の朝だって
朝 教室にて
「おはよう」
「…」
「?
どうかしたのかい?」
「ん?
…ああ!お前か!」
「僕は僕だが…何かあったのかい?」
「いや、なんでもない。こっちの話だ」
「君がいいならそれでいいのだが…
まあ、そんなことよりエイフの格闘ゲームの制作が決定したそうじゃないか」
「マジで?」
「知らなかったのかい?
君は仮面ヒーローに対する情熱は凄まじいから、てっきりもう知っているのものだと」
「マジか〜、知らんかったわ」
「君にしては珍しいね」
…という会話をしたと思う。
まず彼が仮面ヒーローの情報収集を怠るはずがない。
彼は仮面ヒーローに対して異様な執着があった。
彼は半年という無茶苦茶な収録スケジュールをやり切った、さらに収録のために夏休みは朝から晩までずっと現場にいたりもしていた。
学校でもずっと台本を読んでいた。
普通ならすぐに倒れるであろうことは素人から見てもわかる、けれども彼はそれを明るい顔をしてこなしていた。
彼の何が彼をそこまで動かすのか、なぜ彼はそこまで仮面ヒーローに執着しているのかはわからない。
…やはり本人に聞かないとわからないか。
今日はもう家に帰ってしまっているだろうし、遊ぶ約束もしていないのだから呼び出すわけにはいかないだろう。
俺は特に何事もなく家に帰ってきた。
くっ、まさか俺が仮面ヒーローの情報収集を疎かにするとは。
昨日は考え事をしてたら唐突に頭が痛くなってすぐ寝たんだよな。
それにしてもエイフの格闘ゲームか、楽しみだな。
発売されるまでまだまだ時間はかかるだろうけど、発売されたら絶対に犬堀姉弟とやろう。うん。
「ねえ楓ちゃん」
「どうしたの?お母さん」
「面白そうな仕事が回ってきたんだけどやらない?」
「あ〜どうしようかな
ちなみにどんなの?」
「いろいろよ」
「いろいろ?
…なるほど?一応聞くけど…何件ぐらい来てる?」
「ざっと600件は来てるわね」
「Oh…」
「これでも一応削った方なのよ」
「ええ…」
「仕方ないんじゃない?男性俳優なんて世界で初めてなんだし、それに楓ちゃんは高い演技力を持っているんだもの」
「それにしたって多過ぎじゃ」
「世の中の作品ってのは大体男が登場するんだけど、男性役ができる人がそもそも少ないし、その中で演技が上手い人ってなると、それこそ楓ちゃんがお世話になっている京香さん含めて世界に数人しかいないの。その中で本物の男となると、そりゃ取り合いにもなるわよ」
怖い怖い急に早口になり始めた
「で、楓ちゃんはどうするの?」
「…いや、いいかな。エイフ収録で疲れちゃったからしばらく休もうと思う」
「そう?まああのスケジュールはだいぶ無茶だったから仕方ないわね」
…嘘をついた。
本当は疲れてなんていない。
エイフの収録はしんどさなんて気にしないぐらい楽しかった。
ただ、気づいてしまった。
本当はもう─演技したいと思えなくなってしまったことに。
感想 ポイント リアクション等よろしくお願いします。
おい今ブラウザバックしようとしたそこのお前!特にシリアスだからって逃げようとしたそこのお前!そうお前だよ!
もう1話だけ!もう1話だけ見てってください!




