6話 閲覧注意、略して閲注
昨日僕の姉さんが楓君に会ったらしい。
しかも彼は比嘉役として『あなたが欲しい』に出るとか。
姉さんが言うには彼の演技は素晴らしかったらしい。
あの姉さんがそこまで言うなら本当に素晴らしい演技だったのだろう。
だとしたら失敗だった。
もっと比嘉の出番を増やす方が良かったのかもしれない。
元々『あなたが欲しい』自体遊びのつもりで作ったのだ。それがなぜか人気になり最終的には実写化までこぎつけたという意味不明な作品。その中でも比嘉は本当に適当に考えたキャラだ。…3秒ぐらいだったかな?
そう考えると本当に申し訳ない。
ちょうど今仮面ヒーローの脚本を作っている。
彼が仮面ヒーローに出ることは知っている。
なら今回こそは、僕の全力を持って作品に臨もう。
…あの計画のために姉さんに協力を仰ぐか。
こっちだって姉さんのために頑張っているのだ。
そのくらいはいいだろう。
…ふう
さすがに疲れてしまった。あれから数週間。僕は脚本を無事完成させた。まあこれからいろいろすり合わせや話し合いをしなければいけないのだが。
そういえば今週の『あなたが欲しい』は彼が出る回だったな。どれどれ
…彼の演技は不思議だ。
フィクションとわかっているのにそれを感じさせない。
まるで現実の風景を見ているような、そんな演技だ。
姉さんは演技が上手すぎるあまり、本気を出しすぎると逆に浮いてしまう。だからいつもは力を抜いているのだが、今回は全力で演技をしている。だから本当に画面に見入ってしまう。
僕は彼に追いつかねばならない─そんな気がした。
次の日
「やあ」
「ん?ああ、おはよう」
「昨日の番組、見させてもらったよ」
「どうだった?」
「実に素晴らしいかったよ」
「それはよかった」
「君は次は、なんの作品に出るのかい?」
「あぁ、次は…仮面ヒーローだな。」
「それまではほかの作品にも出ないのかい?」
「まあそうだな」
「ほう。
期待しているといいよ」
「は?」
「間違えた。期待しているよ」
「ああ、驚くような演技を見せてやるよ」
数日後
会議やすり合わせによってついに仮面ヒーローが完成。
あとは設備などがそろえば収録出来るらしい。
本当は掲示板にしようと思ったけど、閲注にしたやつの掲示板かぁ…と思ったので慎吾視点です。




