第83話:翔の家族 <翔サイド>
見直しました。
神社から藤田翔の実家までは、男の足だと五分も掛からない距離だった。その一帯は細い道の両側に板塀で囲まれた古くて立派な屋敷が軒を連ねており、天王市のお屋敷街と呼ばれている。つまり、そこは時代劇の世界にタイムスリップしたかのような錯覚を起こしかねないエリアなのだった。
道が迷路のように入り組んでいるのは、外敵の侵入を阻む為で戦国時代の名残りなのだと、翔は中学の時の授業で習った記憶がある。この街の造りは、その頃から変わっていないので、車で走る時は大変だ。今は自動運転の車が大半なので昔ほど困ることはないのだが、駐車スペースすらままならず、一方通行が多いので目的地になかなか辿り着けない。
最近、市の街並み保全条例によって、建物の改築とか敷地の分割等が規制されるようになった。それで付近の住民には屋敷の維持費が更にかさむようになった上に、建て替えはもちろん、リフォーム等も難しくなりつつある……。
桜木莉子を連れた翔は、自分の実家に向けてゆっくりと歩みを進めながら、彼女にそんな街の実情を語っていた。でも、果たして、それを莉子が聞いていたかどうかは、怪しい所だ。というのは、神社を出てからの莉子は、それまでのハイテンションが嘘のように黙り込んでしまい、何を話し掛けても心ここにあらずといった状態だったからだ。
彼女が何でそうなったかと言えば、これから翔の母親に会うからに決まっている。
今の莉子は、傍から見ても緊張しているのがありありと見て取れる状態で、まるで昔のロボットアニメのようにぎこちない動きになっている。それは見ていて痛々しいと思えるレベルで、翔としても何とかしてやりたいと思うのだが、これといった妙案が思い付かないのだ。
というのは、これから彼女が対峙する相手が、あの母親なのだから当然だとも言える。いつも口うるさい翔の母親の藤田恵美は、彼の知る限り最強の女だ。なにせ彼女には、これまで藤田の嫁として一族の女達を束ねてきた上に、父の晶が他界した後は、藤田コーポレーションの実質的なトップとして会社を動かしてきた実績がある。
普通に考えれば恵美と莉子の間には、ライオンと子猫くらいの力の差があるような気がする。だから、ここで適当なことを言って慰めた所で、それがこの後の莉子に益をなすとは考えにくい。
翔には、あの恵美が莉子にどういう対応をするのか、全く見当が付かなかった。
それでも、ただひとつ救いがあるとすれば、基本的に恵美は翔と莉子の縁談に乗りきだということだろうか?
ただし、それも莉子次第である。恵美が気に入らない女性を自分の後継者になど据える筈はないのだ。いくら莉子が桜木物産の娘だとしても、根本的な所で恵美が妥協するとは思えない。
もちろん、莉子はしっかりした女性だし、それについては彼女を翔に紹介してくれた中山支社長だけでなく、あの犬飼葉月や鈴村千春だって充分に認めている。
それでも、あの母親の人を見る目は独特なのだ。
「あの、大丈夫かい?」
「うん。頑張る」
そうは言う者の、あまり大丈夫そうには見えない。翔は、ほんの気休め程度にしかならないとは思いつつも、莉子の手をそっと握ってやる。その小さな柔らかい手は、少しだけ汗ばんでいた。
やはり、将来の姑になるかもしれない女性と初めて会うというのは、想像以上に緊張することなんだろう。
そんなことをぼんやりと考えているうちに、翔は何となく昔のことを思い出していた。
実は、翔が高校の時、一度だけ女子を家に連れて来たことがあった。元カノ、水草薫のことだ。
当時の翔の認識だと、薫の家は農家とはいえ、決して貧しくはない、むしろ相当に裕福な家だろうといったものだった。実際には、その認識は全く足りておらず、もっと遥かに凄い家柄だったのだが、いずれにせよ、家柄といった視点で薫が自分と釣り合うかどうかといった発想自体、その時点の彼は持ち合わせていなかったのだ。
それは良家の嫡男としては聊か情けない状態なのだが、それ以前に彼が薫と正式には付き合ってすらいなかったことを思うと、「さもありなん」といった所だろう。
一方の恵美はと言うと、当然、水草家のことは良く知っていた訳だ。そして、薫と会った後の結果も、決して悪くは無かったように思う。
それなのに……。
「あのね、翔。私だって、中州の水草家がどういう家かは、良く知ってるわよ。確かに少し前までは、藤田の嫁として申し分ない家柄だったでしょうね。それに、あの娘自身も悪くはないわ。まだ若い分、気になる点がないわけじゃないけど、将来、間違いなく立派なお嬢さんになるでしょう。だけどね、翔。今、農家は落ち目なの。日本の農業には、全く将来性が無いわ。残念だけど、彼女の家は、これから相当に厳しい状態になるわよ。あんたに、それを背負い込む覚悟があるかどうかね」
その時、恵美は確かそんなようなことを言ったのだが、まだ高校生だった翔には半分も理解できなかった。そして、当然のように反発したのだが、恵美からは「まあ、あんたにそれ相応の覚悟が無いんだったら、今だけのお付き合いにしておくことね」と言われてしまった。
後から考えれば、恵美の対応は当然のものだったのだと思う。でも、その時の翔は母の言葉の意味を深く考えることなく、それっきり拗ねてしまったのだった。
それから翔は、一度も女子を家に連れて来たことはない。
あの時のことを、こないだの日曜日、沙希から聞いた薫の家の実情と照らし合わせて考えれば、恵美の反応は充分に納得できる。あの時、逆に母に反発するだけじゃなくて、母の言ったことをきちんと理解して行動を起こしていれば、そして、薫ともきちんと向かい合った上で正しく接していれば、今とは全く違った未来があったことは間違いない。
それは、たぶん翔だけじゃなく、むしろ薫の方に、新たな可能性をもたらしたことだろう。そうすれば薫だって、軍になんか入らなくても良かったんじゃないか?
いや、今更そんなことを思ってみても仕方がない。全ては後の祭りである。
そんなことより今は、すぐ隣にいて現在進行形で怯えた状態に見える婚約者候補、桜木莉子のことを考えてやるべきだ。
だけど、翔は翔で気が重いのも確かだった。それは決して隣の莉子に影響されたからじゃなくて、たぶん自分自身に起因している気がする。
それで翔は、小さく首を横に振って溜め息を吐いた。すると、次に翔の頭に浮かんで来たのは今朝、実家を出る前の出来事だった。翔が朝八時過ぎにリビングへ出て行くと、そこには母の恵美がいて、いきなり莉子のことを訊いてきたのだ。
「桜木さんとこのお嬢さんに、ちゃんと浴衣のこと話たんでしょうね?」
「そんなの、当然だよ」
「そう。だったら良いわ。で、何時頃、うちに来るの?」
「うーん、きちんとは決めてないからなあ。彼女、街を散歩して、神社にお参りしてから来たいって言うし」
「あら、それは感心ね。でも、あの家って確か、クリスチャンじゃなかったかしら」
「形だけなんだってさ」
「ふーん。で、待ち合わせたのは何時なの?」
「十一時半に名駅。昼飯を一緒に食べようかと思ってさ」
「そう。まあ、頑張ってやりなさい。私は、倉橋の方にも伝えて、適当に準備しとくから」
そっけない対応に思えなくも無いが、恵美が莉子のことを気にしているのは明らかだった。まあ、母親としては、当たり前のことなんだろう。
倉橋の方ということで、たぶん来るのは彩音と亜里沙だ。ひょっとすると、沙也加も来るかもしれないが、翔としては来て欲しくない。莉子にも余計な気遣いを強いることになってしまいそうだし……。
恵美と話した後、翔は適当に朝食を済ませて自室に戻った。それから、そろそろ家を出ようとして再びリビングを覗いてみると、既に恵美はそこにいなかった。
翔としては一応、いろいろと念押ししておきたかったのだが、いないんじゃ仕方がない。
代わりに祖母の初枝がいたので、「行ってくるよ」と言うと、「行ってらっしゃい。勉強、頑張りなよ」と見送られた。祖母の頭の中での翔は、未だに学生のままのようだ。
最近の祖母は、やっぱり、少しボケが酷くなっている気がする。
そう言えば、莉子を連れて来た時、初枝のことはどうするんだろう?
いくらボケてきたとはいえ、姑の初枝に対して、恵美が強く出ることはない。藤田家の実権は全て恵美にあるのだが、心情的に彼女は今でも初枝に遠慮しているように見える。もっとも、その一方で翔の前では、良く初枝の愚痴を言ってはいるのだが……。
その時の翔は、セルフのタクシーの座席に身を委ねながら、『祖母さん、できたら、離れの自室に引っ込んでてくれたら良いんだけどなあ』と、勝手なことを考えていたのだった。
★★★
翔が今朝のことを思い出しているうちに、藤田家に着いてしまっていた。
翔は、莉子と手を繋いだまま、片手で門扉を開ける。そして二人して中に入り、玄関の格子戸の前で立ち止まった。
隣で莉子は、深呼吸をしている。そして、おもむろに白い帽子を取ったので、翔は「持つよ」と言って彼女と繋いでいた手を外し、その帽子を受け取った。
すると莉子は、首に掛けていた十字架のペンダントを外すと、ポシェットの中に仕舞った。
「あれ、それ仕舞っちゃうの?」
「うん。この家には合わない気がしたから」
それから、莉子は髪をさっと後ろに払う。
翔が「大丈夫?」と訊くと、「はい」と小さく返してくれる。翔は左手に持っていた和菓子の紙袋を莉子に渡すと、勢いよく格子戸を引いた。
ガラガラと思いの外大きな音がした。
翔は、そっと彼女の肩を押してやる。そして、彼女が足を前に出したタイミングで、「母さん、来たよ」と声を張り上げる。
翔が後ろ手で戸を閉めた所で、聞き慣れた声が返ってきた。
「まあまあ、いらっしゃい」
すぐに現れた母は、普段着の着物姿だった。そして、顔には余所行きの笑顔を張り付かせている。つまり、目が少しも笑っていないということだ。
それでも物腰は柔らかく、普段、翔が目にしているような、そっけない態度は微塵も見られない。まるっきり別人のようだった。
「初めまして。桜木莉子と申します」
隣で凛々しい声が響いた。翔は、ハッとして横に顔を向けた。莉子は頭を深々と下げて、綺麗なお辞儀をしている。
そして、身体を起こした彼女の顔に浮かんだのは、静かな笑みだった。いつも翔に見せている柔らかい笑顔とも少し違う。これが莉子の余所行きの笑顔なのだろうか?
その横顔からは、もはや緊張した様子は全く感じ取れない。莉子もまた、さっきまでとは別人のようだった。
「あの、これ、つまらないものですが、お納め下さいませ」
名駅のデパ地下で莉子が受け取った和菓子を、紙袋と保冷パックから取り出してから恵美に渡す。とても綺麗で品のある所作だった。
「あらまあ、ご丁寧に、ありがとう。翔の母の藤田恵美です。さあ、お上がり下さいな」
「失礼します」
母の恵美は、莉子を手前の客間に案内した。
藤田家の客間は十八畳。それに十二畳の仏間が続いており、間の襖を取り外すと三十畳の座敷となる。お盆や正月に親戚縁者が集まる際には、そうやって使用されるわけだが、今は十八畳の客間の中央に大きめの座卓が置かれており、そこに座布団が四枚だけ敷かれていた。
一番奥の席を勧められた莉子が、やはり綺麗な所作で腰を降ろす。そして、背筋をピンと伸ばして正座した。
それにならって、翔も自然と正座することになった。自分の家なのに正座するなんて、何だか変な感じだ。まるでお説教をされている気分になってしまい、翔は密かに苦笑した。
翔と莉子が並んで座ったのを確認すると、恵美は「しばらくお待ち下さいね」と言って席を立ってしまった。たぶん、お茶とお菓子の用意をする為だろう。
翔は『こんな時くらい、倉橋に頼めばいいのに』と思ったのだが、たぶん恵美は全てを自分でやりたかったに違いない。そういう所が恵美にはある。
普段、来客がある時は、たいてい倉橋彩音か末娘の花音が対応してくれるのが常である。時々は藤田コーポレーションで恵美の秘書をしている次女の沙也加が対応することもあるが、それは会社関係の来客の時だけだ。
恵美が出て行った途端、翔は一気に肩の力が抜けた気がした。即座に足を崩して莉子の方を見る。彼女は、姿勢を崩していない。背中も伸ばしたままだ。
でも、表情は翔が知っているものに戻っていた。それで翔はほっとして、ひと息吐くことができたのだった。
★★★
ここまでは順調だった。翔としては、心配して損をしたような気分ですらあった。けど、あの母親のことだ。本当の勝負は、これからのような気がする。
そう思って莉子の方を見ると、彼女は正座をしたまま、にっこりといつものように笑ってくれた。
「ふふっ、なんか、翔さんの方が緊張してるみたい」
「あれ、莉子は緊張しないの?」
「さっきまではしてたけど、ここに来ちゃったら、どうにでもなれって感じかしら」
「ふーん、そうなんだ。意外だね」
「そうかな」
そんな会話を交わしながらも、上品な仕草で彼女は部屋の中を眺めている。
「でも、本当に予想したとおりの立派なお屋敷ね。感動だわ」
そう言った後、莉子は急に背中の方へ身体の向きを変えた。
莉子の背中の側、つまり奥の座敷との間は襖が二枚とも開いていて、向こう側が良く見えるようになっていた。障子は閉めてあるものの、外が良く晴れているせいで充分な明るさがあるのだ。
翔も同じように振り返って見てみると、床の間にはいつもと違う掛け軸が飾られていて、その手前には立派なお花が活けてあった。いつも置かれている水牛の角だとか、翔が生まれた時にもらった兜だとか、いつの時代のものか分からない古い壺だとかが隅に押しやられている。
だけど、莉子の視線が留まったのは、そこではなかった。
「あら、大きな仏壇があるのね。私、仏壇にお尻を向けて座っちゃって良いのかしら?」
「別に、良いんじゃないかな。君をその席に座らせたのは、うちの母親なんだし」
翔がそう言うと、莉子は「そうね」と呟いて、今度は敷居の上に目をやった。
「あれが翔さんのご先祖様ね。ひいお祖父様とお祖母様。その隣がお祖父様で、一番端はどなたなの?」
莉子の質問は、鴨居の上に並べられている四つの額縁に入った写真のことだ。
翔が「俺の父親だよ」と答えると、莉子は一瞬きょとんとした顔をしていたが、すぐにハッと気が付いたようで「ごめんなさい、不躾なことを聞いてしまって」と謝ってきた。
「別に良いよ。気にしてないから」と言った後で、父は翔が高校三年生の夏に亡くなったことを伝える。
「あの、お参りさせて頂いても良いかしら?」
莉子が、ちらっと奥座敷の方に目をやりながら言うので、仏壇のことだと気が付いた。翔は「ありがとう」と言って、仏壇に蝋燭を灯し、先に線香を上げる。それから、莉子に席を譲った。
白い線香の煙が、ゆっくりと天井へと上って行く。
見慣れた仏間に障子を通して差し込む光が、莉子の姿を柔らかく包み込むように照らしている。
神妙な面持ちで手を合わせる彼女の横顔を眺めながら、翔は不思議な感覚に囚われていた。
果たして莉子は、うちのご先祖様達に受け入れられたんだろうか?
★★★
「あら、ありがとね。お参りしてくれて」
突然、後ろから声を掛けられて、莉子が一瞬、身体をビクッと震わせた。二人して振り向くと、そこには着物姿の老婆が立っている。白髪で目は虚ろ、存在感の薄いその女性は、翔の祖母の藤田初枝である。
莉子は相当に怯えた様子だったけど、「すいません。いきなり押し掛けた上に、差し出がましいことをしてしまって」と言って頭を下げた。
「あの、私、翔さんと同じ会社の桜木莉子と申します」
「知ってるよ。さっき、恵美さんに聞いたからね。良く来てくれたねえ」
母親の恵美がなかなか戻って来ないのは、どうやら、この祖母のせいだったようだ。恵美のことだから、その前にも何度か莉子のことは説明してあったんだろうけど、すぐに初枝は忘れてしまうのだ。その初枝が、お客さんに気付いて、たぶん恵美のことを問い詰めていたに違いない。
「あたしは、そんなこと、ちーっとも聞いとらんがね」
そう言って、母の恵美を責める初枝の姿が目に浮かぶようだ。
ここで初枝の顔を見た翔は、前回の日曜、松永の姉の京香に天王通りでばったり会った時のことを思い出した。
京香が働いているのは、認知症の人が共同生活を送り、それを介護士のスタッフがサポートする施設らしい。確か、グループホームと言っただろうか。
ただ、うちの場合は、ある程度、金銭的な余裕があることから、家にヘルパーを呼んで世話をしてもらえば済むことかもしれない。そろそろ、そういったことを考える時期に来ているような気がする。
せめて、来客がある時だけでも、そうした体制が取れれば良いと思うのだ。例えば、今日みたいな日は、そうしてくれると助かる筈だ。
きっと松永京香は、そういったことにも詳しいと思うから、相談してみた方が良いかもしれない。
翔は、初枝と莉子のやり取りを近くで見守りながら、そんなことを考えていたのだった。
一見、普通の受け答えをしているように見えて、祖母の初枝の言動は、やはりおかしい。最初は良くても、同じことを二度、三度と繰り返すからだ。
だけど莉子は、そんな初枝にも、真摯に根気良く応対してくれていた。そんな莉子の表情からは、さっきの怯えた様子がすっかり消え失せ、今では柔らかい温もりが感じられる。
あとは、母の恵美が戻って来るのを待つだけである。
★★★
それからしばらくして、恵美が大きな銀色のトレイを持って客間に戻って来た。そのトレイには、コーヒーカップとケーキが四セット載っている。
恵美は最初にちらっと初枝の方を見て、彼女が莉子と一緒にいることに一瞬、怪訝な表情を浮かべた後、座卓にトレイの上の物を次々と並べて行った。
「お待たせしました、桜木さん。お義母様も、ご一緒にどうぞ」
「あら、ありがとうね、恵美さん」
三人で手前の座敷の方へ移動する。翔と莉子はさっきの席に座り、初枝は笑顔で莉子の真向いの席に座る。恐らくその席を狙っていたであろう恵美は、少しムッとした表情をしながらも翔の前の席に着いた。
十八畳の座敷の空気が、急に張り詰めたものへと変わる。
全員が揃ったことで、恵美が改めて莉子に向かって「藤田家にようこそ」と声を掛ける。莉子は、「こちらこそ、宜しくお願いします」と返してから、軽く頭を下げた。
「あら、『お願いします』は、まだ少し早いんじゃなくて?」
「いいえ、今日は浴衣を拝借させて頂けると、翔さんから聞いておりますので」
「まあ、そっちの話ね。私はてっきり別のことかと思っちゃったわ。おほほ」
「私もそうなれば良いなあと思っていますけど」
「そうなの。実は、私もそう。ふふっ、気が合うわね」
何やら分かりづらい会話が、歳の離れた二人の女性の間で取り交わされていた。
それが翔には、暗雲立ち込める前兆としか思えないのだった。
ここまで読んで頂き、どうもありがとうございました。
次話は、今日の続きになります。莉子が浴衣を選んだりします。
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