女子怪3
花子『0840』
天野『おはよう!』
花子『ピンポン。なら3476』
天野『さよなら?』
花子『そうそう。分かってきたじゃないか。後は、ひねるとこういうのもあるよ。0120』
天野『えっ? おいに……、まるあい……1月20日?? 駄目だ。降参』
花子『0120で無料だよ』
天野『えっ。どうやってそう読むの?』
花子『確か電話番号のフリー局番だからだと言っていたかな。他にも117が時報だから、時間を表したりするはずだよ』
天野『ええ……それは、難しい。1192ぐらいなら分かるけど』
花子『鎌倉幕府か』
>妖精が参加しました。
妖精『遅れてごめんなさい』
メリー『ここまで使えないとは思わなかったわ。ガラケーしか使った事がなかったのよ』
メリー『辛うじてパソコンは仕事で使ってたらしいから、打ち込みをキーボード型にしてあげたわ』
メリー『元人間なら、新しいものも挑戦しなさいよ』
妖精『私だって気にはなっていたけど、携帯会社に行く時間もなかったのよ。でもこの小さな画面で打ち込みするのは難しいわね。打ち間違いしそう』
天野『お疲れ様です』
花子『確かに小さめだが、ポケベルに比べればかなり画期的じゃないか?』
メリー『昔と比べて今が便利だ便利だというのは、老害って言われる前兆よ』
メリー『昔は昔の苦労、今は今の苦労があるの』
メリー『私だって、昔はただ電話すればそれだけで良かったのに、固定電話を持たない家庭が増えてるから携帯に電話しないとだし』
メリー『メールも迷惑メールで振り分けられるようになったから、届いていないとかもあるし』
妖精『でも、メリーさんからのメールって、不幸の手紙のようなものだから迷惑メールで間違いないじゃない?』
メリー『私が生きにくいのよ』
天野『あっ。よく、昔より怪異は生きにくい時代になったって物語で書かれてるよね。科学が進歩して、夜でも明るくなったから的な』
花子『そうだね。昔は厠は外にあって、真っ暗の中を歩いて行かなければいけなかったから、それだけで怖がられたものさ』
妖精『それは私も子供の頃経験したわ。夜の外のトイレって本当に怖いのよね。私の頃はトイレといえば花子さんより、赤い紙、青い紙の方が有名だったわ』
花子『そんな怪談もあったね。時代とともになくなってしまったけれど』
天野『赤い紙、青い紙って何?』
花子『少年がトイレに入るが、尻を紙で拭こうとするものの、紙が切れていた。そんな時、「赤い紙、青い紙、どちらが欲しい?」という声が聞こえるんだ』
花子『赤い紙と答えると、全身から血が噴き出し死んでしまう。青い紙と答えると、窒息死させられ青くなるという、出会ってはいけない系の怪談さ』
天野『……本当にいたの?』
花子『いたら、全国でニュースになっていて、白日の下にさらされただろうね。あれは厠の神が存在を許さなかったよ。色んなバージョンがあって、どれもバッドエンドばかりの怪談だった』
メリー『結局のところ、あまり多くの犠牲を出したり悪目立ちする犠牲が続けば、私達怪異の身の方が危なくなるのよ』
天野『なるほど。そういえば、何でトイレットペーパーなのに色がついているんだろ』
花子『その怪談が生まれた頃は、ちり紙を使ってたんだよ。水洗トイレではなくくみ取り式だったから。紙が使われるようになったのは江戸時代ぐらいからだったかな。もちろん農村ではわらとかだったけれど。それより前は木とかも使っていたなぁ』
天野『……怪談話と同じぐらい過酷』
妖精『私から紙の話題ふってしまって悪いけど、コレ女子会で話す内容じゃないんじゃないかしら?』
天野『確かに』
花子『ごめんごめん。昔話に付き合ってくれる人は中々いなくてね。ついつい語ってしまったよ』
メリー『もっとエレガントで美しい話をして頂戴。そう、私の、縦ロールのように! 紙よりも髪の話題の方が女子怪らしいわ』
妖精『メリーさんの縦ロールは綺麗にカールしてるわね。とても似合っているわ』
メリー『天野がやってくれたの』
<どや顔のメリースタンプ(縦ロールバージョン)>
メリー『話は変わるけれど妖精も何かアイコン変えなさいよ』
メリー『渡してからそれなりに経ってるんだから』
メリー『花子ですら変えてるのよ』
花子『初期設定のままは味気ないね。天野さんは猫なんだね』
天野『うん。うちの飼い猫なの。可愛いでしょ』
妖精『確かに可愛いわね。ただアイコンってどうやって変えるの? 取説がないから分からないのよ』
メリー『仕方がないわね。ちょっと貸しなさい』
※しばらく中断する




