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巻き込まれたようです。

お久しぶりです。続きを書いてほしいという要望があったので、書きました。

1ヶ月に1度更新出来たらいいほうですが、頑張ります。


あ、ちなみにOVLの一次選考は落ちました。当たり前というわけなのでしょうが、ちと落ち込みました。

「ふう」

 一息ついてもう1体の悪魔の様子を見てみると、ちょうど死ぬところだった。ツタにがんじがらめにされ、『重力乱波グラビティ・タービュランス』でツタごとバラバラにされた。悪魔も死んだらしい。ま、せめてものたむけだ。綺麗にしてあげよう。

 ベラさんの肉片と血をステータス操作で【統合】し、王の胸に開いた穴を塞いで首を繋げる。これでいいかな。あ、指輪は貰っておこう。何かに役立つかもしれないし。

 王から指輪を外してポケットに突っ込んでいると、もう1体悪魔がやって空から飛んで来た。着地する際に2人の遺体を踏み潰しやがった。せっかく綺麗にしたのに。

 狼の頭にイヌ科のような手足。まるで、2足歩行する狼だ。おそらく、人狼種(ライカンスロープ)だろう。

 それに、眼。赤い眼。血に染まったような真っ赤な眼。セリアの眼。

「ソンナニ睨ンデコノ眼ガドウカシタカ? ンン?」

 こいつ……

「その眼はセリアの眼だ。返してもらう」

「ソイツハ無理ナ相談ダ。オ前ガ指輪ヲ盗ッタ」

「じゃあ指輪を返したら眼も返してもらえる?」

「ハッハッハ、面白イ冗談ダ」

 あっそ。じゃあ自力で返してもらおうかな。まずは四肢を斬り落とす。

「おりゃあ!」

 地面を蹴って魔力を帯びた手刀で両肩を斬り落としーー

「ホウ、中々ノスピードダ」

 できなかった。両手首を掴まれてしまった。僕より速いのか? 『解析』してみよう。

「……あ、あれっ?」

 『解析』は出来た。だだ、酷いノイズが走っていて全く見えない。

「真意ヲ理解シテイルオレニ『解析』ハ通ジンゾ。残念ダッタナ」

 悪魔が両腕を振り上げて勢いよく振り下ろす。僕のほうが身長は低いからそれに合わせて地面に叩きつけられるわけだけどーー

「ソル!」

「はいは~い」

 ソルに地面をトランポリンのように柔らかくしてもらい、衝撃で素早く悪魔から離れる。ふう、危なかった。

「真意って何だよ、チクショウ」

「ソノママノ通リダ。コノ世界ノ(マコト)ノ意味」

「世界の意味……?」

「ソレガ分カランナラ俺ニハ勝テンゾ」

「え? うわっ!」

 何の前触れもなく何かに掴まれたような感覚がして、体が動かなくなる。悪魔が腕を上げると、僕もそれに合わせて浮いた。

「何だこれ、体が……」

「ククッ、コレガ真意ダ。何モ理解デキナイダロウ?」

 クソッタレ。こうなったら、力づくで抜けてやる。ステータス1,000倍!

「ふんぬっ!!」

 思いっきり力を入れて腕を広げると、ミシミシと音がして少し体が動くようになった。このまま……

「ホウ、中々ノパワーダ。ダガ甘いイ!」

「がああああ!」

 僕を掴んでいる何かの力が増して、ふたたび締め付けられる。どうやら何本か骨が折れたらしい。そんな音がした。

「キュウッ!」

「ルドラ……」

 ルドラが伊吹(ブレス)を放つも、途中で何かに阻まれたかのように霧散してしまった。一瞬透明な壁のようなものが見えた気がするが……

「小蠅ガ、鬱陶シイゾ」

「キュ!?」

 ルドラも吹き飛ばされてしまった。結構なダメージを受けたようで、動けないでいる。

「【ブラックホール】」

「ムッ?」

 まただ。一瞬ではあるけど、『ブラックホール』を防ぐ鎧のようなものが見えた。何だあれは? 『解析』も通じない。特定位置に発動する『ブラックホール』をずらすなんて、フレイヤやゼウスでもやってないぞ。

「今ノハ時空間魔法ノ奥義ヒトツ……ソウカ、オ前ガ……」

「僕がどうしたっていうんだよ?」

 僕が尋ねても、悪魔は独り言を呟くばかりだ。なら、今のうちに攻撃させてもらおう。

「う~ん」

「こうげきしてもいいけどぉ~」

「ゆきとがしんいをしらないとー」

「むだだヨ~」

 くそっ、さっきから真意真意ってなんなんだよ。世界の(まこと)の意味なんて知ってるわけないじゃん。

 どうする? こっちの攻撃は効かない。今僕を掴んでいる“何か”からは到底逃れられそうにはない。あの透明な壁と鎧が何なのかは分からない。魔素操作を使うか? それで“何か”の正体が分かればよし。

「僕の前の姿を現せ!」

 見えた。僕を掴んでいるのは“手”だ。大きくて、歪で、半透明で、悪魔の腕から伸びている“手”だ。こいつも『魔素操作』を持ってるのかな? まあいいや、この“手”が魔素で出来てるなら逃れられる。

「おらあ!!」

 “手”を『魔素操作』でズタズタに引き裂き、悪魔に向けて重力加速。ドロップキック。悪魔は思考に耽っていたからか、防がれることもなく何回かバウンドして王城の門に激突した。

「不意打チトハ卑怯ナ奴ダ」

「言ってろ。それでお前を倒せるなら何でもやってやるさ」

 そう言うと、悪魔はニヤリと笑った。

「ナラ、俺モ悲願ヲ叶エル何デモヤッテヤルトシヨウ」

「きゃあっ!」

 悪魔がプレクラーラ様のほうに手を向けて自分の体のほうに引き寄せると、プレクラーラ様もそれに合わせてまるで引っ張られたかのように、地面を滑るように動いた。近くまで寄ったプレクラーラ様の首を左手で掴むと、右手に魔力が槍状に集中し始めた。

 ……まさか、

「やめろ!!!」

「遅イ!」

 悪魔の右手はいとも簡単にプレクラーラ様の心臓を貫いた。プレクラーラ様は何かを呟いて動かなくなる。悪魔が右手を引き抜く。血が地面に滴る。

「あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

「サッキノ魔法ヲ拳ニ宿シタカ。ヤハリオ前ガ予言ノ人族ダッタノダナ」

 何かが僕の中心を貫く。構うもんか。こいつを殺す。プレクラーラ様を殺したこの悪魔を殺す。殺したことを後悔するまで痛めつけて殺す。殺す!!!

「ぁぁぁああああアアアアアあァああぁああああ嗚呼あああァあああァァァァあああああ嗚呼あアああァァあああアあああ!!!!!!!!!!!」

「ヌウッ!? 何故オ前ニ“ソレ”ガアル!?」

 それ? 何のことだ?

「あああ!!」

 魔素の壁を突き抜けたのは僕の拳ではなく、漆黒の羽根だ。僕の右肩から生えている、真っ黒な悪魔の羽根。さっきから右肩が熱いと思ったらそういうことか。何で生えてきたかは知らない。けど、これであいつを殺せるならナンデモイイヤ。

「破アアあアアアアアァァァああ嗚呼アアあぁぁぁアアアあああああああ!!!!!」

「クソ、シツコイゾ!」

 伸縮自在な羽根をこいつ(羽根)自身が教えてくれる通りに悪魔に叩きつけていると、悪魔は連撃を躱して処刑台の残骸の上に立った。逃がすもんか。

 けど、こそで気付いた。もっと早く気付いていればあんな事態にはならなかったかもしれないけど、もう遅い。

 プレクラーラ様と王族の2人から流れ出た血が、淡い光を放ちながら一定の規則を持って流れていた。というよりも、薄らと彫られた溝に血が勝手に流れているといったほうが適格なのか。

「ククッ、気付イタカ。コレガ、俺ノ悲願ノ第一歩ダ」

「何をした?」

「少シ昔話ヲシテヤロウ。327年前、人族ノ英雄ト当時ノエルフノ女王ガ共闘シテ魔王様ヲ瀕死マデ追イツメタ。ダガアト一歩届カナイト判断シタエルフノ女王ハ、自ラノ命ト引キ換エノ魔王様ヲ地下深クニ封印シタ。ソノ地ノ上ニ造ラレタノガコノ国トイウワケダヨ。

 俺ヲ含メタ配下ノ悪魔達ガ必死ニ封印ヲ解ク方法ヲ模索シタ結果、封印ヲ解クニハエルフノ女王ノト英雄ノ血ガ必要ダッタノダヨ」

「そうか、お前の悲願ってのは魔王の復活だな?」

「ソウダ。ソシテコレガ、次ノ一歩ダ!」

  悪魔が両掌を合わせると、血の線の光が強くなり始めた。。それはボロボロになった大広場だけではなく、王都全体に広がっていく。やがて、血の線は魔法陣として浮かび上がった。

「迷宮創造!!!」

 王都の中心から窪んでいき、魔法陣から眩しい光が溢れ出した。思わず目を瞑ってしまう。僕が最後に見たのは次々と王都の住民が強制転移させられているのと、ルドラが僕に抱き着く瞬間だった。



「……ん」

 目を開けると、僕は薄暗い通路にルドラと立っていた。ガンザ帝国の地下通路とほとんど一緒だ。違うのはそこら中に灰色のクリスタルが生えていることぐらいだろうか。

 いつの間にか、右肩に生えていた羽根はなくなっている。結局、あれは何だったんだろう? ローズさんは無事だろうか?

「……キュ? キュ?」

 同じく目を開けたルドラが、急な景色の変化に驚いて辺りを見回し、僕が目に入るとすぐさますり寄ってきた。少し震えているから、怖かったんだろう。頭を撫でてあげると、震えが治まった。

「こういう時は声に出して状況確認だ。いいね?」

「キュッ」

「僕達は“真意”という何かを使う悪魔と戦って負けた。あの悪魔はプレクラーラ様と王族達を殺して『迷宮創造』と言った。だから、おそらくここは迷宮(ダンジョン)の中だ」

『ソノ通リ』

 不意にあの悪魔の声聞こえてきた。それを聞いてルドラがビクッとした。どこだ? どこから聞こえてくる?

『オ前ノ予想通リ、ココハ俺ガ造ッタ。少シ紹介シテヤル』

 声が聞こえてきたのは、そこら中に生えているクリスタルからだ。一斉に聞こえてくるからけっこう煩い。

『コノ迷宮(ダンジョン)ハ王都ノ真下ニ存在スル。全50層カラ成リ、出入口ハ1層、50層ニハダンジョンマスターデアル俺ガイル。尻尾ヲ巻イテ逃ゲルモ良シ。俺ニ挑ミカカルモ良シ。サテ、ドウスル?』

 そんなもん決まってる。お前を倒しに行くまでだ。

『アアソウダ、王都ニイタ奴ラモ10層以下ニ配置シタ。』

「ざっけんな! そいつらは関係ねえだろ!」

 僕が叫んでも、悪魔は愉快げに嗤うだけ。クソッタレ。

「ソウデモナイゾ? オ前ノヨウナ強者ニハ少ナク、弱者ガ多大ニ有スルモノモアル。我ラガ魔王様ノ復活ニハシレガ必要不可欠ナノダ」

 悪魔が一旦言葉を区切ると、クリスタルが一斉に淡い光を放ち始めた。数人の影が見える。悪魔の声がさっきよりも大きく響く。

『愚カナ人間共、ヨウコソ我ガ迷宮(ダンジョン)ヘ! 全50層ノコノ迷宮(ダンジョン)ヲ攻略スルモ良シ。地上ノ王都ニ逃ゲルモ良シ。精一杯生キ延ビ魔王様復活ノ糧トナルガイイ!

 今カラ100数エタ後ニモンスターヲ解キ放ツ。精々逃ゲ惑エ』

 悪魔が99、98と数え始めると、辺りから戸惑いの声がたくさん聞こえてきた。見えないだけでけっこうな人数が近くにいるのかもしれない。残り89。

「キュッ?」

「そうだな、今すぐにでもあの悪魔を倒しに行きたいけど、巻き込まれた人達を見捨てるわけにはいかない。出来るだけ助けてから、あいつを倒しに行こう」

「キュッ!」

 今後の方針が決まったところで、光魔法で辺りを照らした。光源の僕に視線が集中する。思っていたよりも、多くの人数が近くに転移されたらしい。

 1番近くにいた、子供を妻と思われる人と一緒にあやしていた男性が話しかけてくる。残り83。

「おいあんた、一体どうなっているのか知らないか? ここはどこだ? というかそのドラゴンは?」

「落ち着いてください。1つ1つ説明します」

 周りの人にも大声で聞こえるように言うと、みんな耳を傾けた。残り76。

「おそらく、ここはあの放送であったように迷宮(ダンジョン)の中なのでしょう。僕が大広場で戦っていた悪魔が造りだしたものと思われます。そしてこいつは暴風龍の幼龍のルドラです」

「キュッ」

「ぼ、暴風龍ってあの暴風龍か?」

 僕の説明を聞いていた別の男性が珍しいものを見る目でルドラを観察する。ルドラが首を傾げると、数人の顔が綻んだ。残り62。

「じゃあお前があの広場で戦ってたやつなんだな? あの悪魔はどこから現れたんだ?」

「どうにも、ずっと前から城に潜んでいたみたいです。あいつの狙いは魔王の復活の為に強者はあまり持っていなく、弱者が多く持っている何かを集めようとしているようなんです」

「何かって何だよ? それが分からないなら意味ないじゃないか」

「分かってたら教えてます。とにかく、一緒にここから出ませんか? 見たところ、あなたたちは自力での脱出はほぼ無理でしょうし」

 そう言われて老人と子供を除いた全員が顔を顰めたが、図星のようで何も言い返してこなかった。残り34。

「まあそういうことならお願いするとしよう。むしろこっちから頼みたいぐらいだ」

「決まりですね。みなさんよろしくお願いします」

「それはいいとして、敬語はやめてくれない? あなたは私達のリーダーなんだから」

 いつの間に僕がリーダーになったんだ? 辺りを見回すと、目が合った人は全員頷いた。残り21。

「いや、でも僕はみなさんより年下ですし……」

「歳なんて関係ないわ。今この場で必要なのはあなたの強さよ。それを自覚してちょうだい」

 う~ん、まあ、そういうことなら仕方ないのかな? 残り11。

「分かった。じゃあこれからの目標として、なるべく多くの人を助けて脱出すること。悪魔の思い通りにはさせないこと。いいね?」

「「「「「おおっ!」」」」」

 転移された最初とは打って変わり、みんなやる気と希望に満ち溢れている。そうやって目先の不安から目を逸らしているのかもしれないが、今はこれでいい。

5,4,3,2、1,0。

『サア、苦シメ、悶エ、絶望シロ! コノ悪魔ノ迷宮(ダンジョン)デ死ヌガイイ! モンスター召喚!!!』

 悪魔の言葉を合図にして、通路の両側に数種類のアンデッドが光を伴って魔法陣から召喚された。それを見て一緒にいる人達が怯える。

 さあ、やってやろうじゃないか。大勢の人を助けて脱出する。言うだけなら簡単だけど、実際にやり通すのは素っ裸でエベレストを登りきるのとたいして変わらない程難しいだろう。

 けど、その裸体はダイヤモンドよりも硬くて丈夫だ。それだけじゃない。1人で登るんじゃなくてみんなで登るんだ。協力し合えば、きっと達成できるはずだ。

「はああああああっ!!」

 僕は、魔物を叩き潰した。





とりあえずぱっぱと3章を終わらせることにしました。おかげで、文字数が5千を超えました。

次からは閑話に入ります。


一応言っておきますけど、プレクラーラは死んだわけではないです。位の高い人が暗殺防止するための切り札的なあれです。


感想や質問、誤字・脱字の指摘お待ちしています。

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