閑話 ゴブリンを皆殺しにするお話。Part3
頭痛くて寝込んでました!申し訳ないm(__)m
少しすると、ゴブリン達の様子が変わった。僕に襲いかかるというより、後ろから来た何かに怯えてるみたいだ。何が来たんだろ?
「グオオォォオオオオオ!!!」
オーガだった。4mぐらいの人型の魔獣。生息地によって体色を変えるらしく、こいつは深い緑だ。さしずめ、フォレストオーガってとこだろう。
こいつは『全ステータス上昇Lv.1』を持ってる。いいねえ。
縄張りを取りに来たのか、手当たり次第に暴れてる。あっ、僕のステータス源を殺すな。
「おい、こっち向け!」
僕を一瞥して、また暴れてだした。そうか、僕を無視するか。
「おい、この唐変木。こっちを向くこともできないただのデカブツですかー?」
いい感じに怒った。もうちょいからかってみよ。
「キャーコワーイ。コッチコナイデー」
もっと怒った。顔が真っ赤になってる。こいつ面白いな。うぷぷぷぷぷ。
おっと、危ない危ない。いきなり殴りかかるなよ。カルシウムが足りませんぜ。
「【ブロック】」
オーガの足元に小さな土の塊を作ったら、見事に転けた。
「グゲッ」
「……ぷっ、あははははははは!」
何だ今の潰れたような声。地面に顔をつけた瞬間、「グゲッ」って言った「グゲッ」って。やべえ、つぼった。
「ひー、ひー、あー腹痛いって、あれ?」
なんか暗いなと思って顔をあげると、オーガが拳を振りかざしてプルプル震えてた。その体には黒い帯が巻きついている。クロネの影だな。
「にゃあ」
「あっ、はい。真面目にやります。すみませんでした」
叱られちゃった。いけね。
周りをよく見たら、逃げようとしていたゴブリン達も捕まえてくれてた。
「捕まえてくれててありがとね」
「にゃあ」
「じゃあ一気に片付けるから、セリアに地面に伏せるように言ってて」
「にゃ!」
影を使って移動したのを見て、右足に魔力を溜める。ステータスを奪ってっと……
「くらえ、【スラスト】!」
左足を軸にして、その場でくるり一回転。右足から伸びた風の刃がゴブリン達とオーガの体を2分割にした。
風魔法は魔力を込めた分だけ威力と射程距離が伸びるから便利だよな。
パッパラ~
レベルが上がった。64かー。結構上がったな。
今日奪ったスキルで良さそうなのは特にないな。『全ステータス上昇』があったのは良しとしよう。それじゃ、セリアのとこに行きますか。
「おーい、終わったよー」
「あ、お疲れ様です。さっきのはご主人様のスラストですか?」
「うん。クロネに真面目にやれって怒られちゃったから、一気にズバーンとね」
その場でクルッと回ると、呆れた顔をされた。
「ご主人様はおかしいです。普通、風魔法はそんなに切れませんよ」
「そうかな? 風を薄く延ばす感じなんだけど」
「普通、叩きつけるようなイメージですけどね」
この話はやめよう。僕が普通じゃないみたいだ。
あれ、僕って普通だっけ? う〜ん…… まあいいや、どっちでも。
「それで、彼女達の状態は?」
「今は寝かせています。心身共にすり減らしているはずですからね。心配なのは、何人かが妊娠してることぐらいです」
耳が伏せてる。顔も暗いし、どうにかしてあげたいな。
解析すると、本当に何人かのステータスに『妊娠』となっていた。『ステータス操作』でどうにかならないかな?
「にゃあ」
「分かってる。やってみるよ」
とりあえず1人のお腹に手を添えて、【分離】と念じる。すると、緑の結晶が出てきた。解析したら妊娠結晶ってでたから、これで大丈夫なはずだ。
「じゃあ僕は『妊娠』の分離をしとくよ。セリアとクロネは起きた人がいたら介抱してあげて」
「はい」
「にゃあ」
しばらくすると、全員が目覚めた。スキルを使うところを見られたから、秘密にしてほしいとお願いしたら快諾された。よかったよかった。
「では、街に戻りましょう。待ってる人もいるでしょうし」
「ここに置き忘れとかしないようにね」
聞いたところ、彼女らは全員冒険者らしい。装備を持ってる人もいた。
「それじゃあ行こうか。【エアコーティング】」
みんなを風の衣が包んだ。
「これは何の魔法ですか?」
「加速の魔法。一時的にAGIが2倍になる優れもの」
あれ、みんな驚いてる。どうしたんだろ?
「ご主人様? 後でちょっとお話しがあります」
セリアさん、そんな怖い笑顔をしないでください。
*
「で、こうして帰ってきたと?」
「うん」
「うん。じゃねえよ……」
おっさんがこめかみを抑えてる。ストレスでも感じてるのか? ハゲるぞ。
(文字通り)爆走して街に帰ってきて、騎士団に彼女らの身柄を引き渡した。冒険者より、騎士団のほうが良かろうと思ったからだ。その後にギルドに来てクエストの完了報告をしたらこうなった。
「いいか、お前がやったことは他の誰かが真似するかもしれん。そしたら将来有望なやつの命が失われる可能性もあるんだ。分かったか?」
「うん。これからはもうちょっと慎んで行動するよ」
「それが言えるなら良しだ。ほら、ギルドカードを出せ。倒した数によっちゃ報酬が出るからよ」
「分かった。はい」
僕のギルドカードを見たおっさんが目を見開いてる。
「はああ!? 何だこれ!? お前、どうやってこんな数やったんだよ?!」
近い近い。そんなにカウンターから乗り出すな。
僕が倒したのはゴブリン208体、ゴブリンソルジャー53体、ゴブリンソーサラー32体に、ゴブリンエルダーとオーガだ。
「間違いなく報酬が出るぞ。ちょっと待ってな」
おっさんがカウンターの奥の扉に入っていった。周りはこっちを見てザワザワしてる。早く戻ってくんないかな。
おっさんが戻ってきたら、皮袋を握ってた。
「ほれ、これが報酬だ」
中身を覗くと、銀板2枚に、銀貨5枚だった。
「え、こんなにもらっていいの?」
「あったりめえよ。決まりなんだからな」
なんと僕、たった1日で2,500万も稼げちゃいました。いえい!
うっきうきして宿に戻ると、セリアが待ってた。
「ご主人様、ちょっと来てください」
問答無用だった。襟を掴まれて部屋に一直線である。
「いてっ!」
「急に尻尾を触らないでください!ひっぱたきますよ!」
もうされました。だってフサフサしてて気持ち良さそうだったんだもの。
*
「……要するに、魔法の開発はそのなんたら協会の許可が必要で、許可無しに開発したら罰があるかもしれないということだね」
「魔法連合協会ですっ! まあ、私も言ってなかったから悪いのかもしれませんが、知らなかったのですか? 子供でも知ってる常識ですよ?」
「知ってるわけないじゃん。僕は異世界人なんだし。 ……あ」
言ってしもうた。セリアがフリーズしてる。クロネ、やれやれと首を振るんじゃない。
「で、では、ご主人様は勇者なのですか?」
あわあわと動き出した。
「違うよ。僕は勇者とは違う経路でこっちの世界に来たんだから」
晩飯を食べてから話すことにして、一旦食堂に降りた。
「ねえ、セリア」
「はい?」
「勇者って、王家とかに召喚されて、特別なスキルを持ってて、その国の軍の団長に鍛えられて、魔王を倒しに行く人のことで合ってる?」
「多少違うところはありますが、だいたい合ってます。それがどうかしましたか?」
「いや、ちょっとした確認だよ。」
僕が勇者じゃないってことのね。セリアは首を傾げてた。
*
「で、何でユリウスまでいるの?」
部屋に戻ったら、ユリウスがベットの上で待機してた。
「セリアがね、ユキトが何か大事な話をするからって言うから来たのよ」
えへんと薄い胸をはった。これあんまし人に言いたくないんだけどなあ……。
「まあいいや。2人とも、話す前に1つ約束してほしいことがある。これから話すことは僕の過去だ。途方もない話だから、信じる信じないかは任せるよ。けど、誰にも言わないでほしい。いいね?」
2人が頷くのを見て話そうとすると、いきなりフレイヤが出てきた。
「私が話してやるのだ! 心して聞くがよいのだ!」
「「はい!」」
「おい待てフレイヤ。お前が話すとややこしくなる気がする」
僕が止めるのもお構いなしに、語り始めた。
異世界人であること。勇者ではないこと。赤ん坊の頃に両親を亡くしたこと。過激ないじめを受けていたこと。自殺してゼウスに会ったこと。スキルをもらったこと。2人に会うまでのことを全て赤裸々と話した。外はもう真っ暗だ。
「そうだったの……」
「大変だったんですね……」
2人とも泣いている。フレイヤは語り終わるとさっさと帰った。
「まあ、おかげでセリアとユリウスに会えたし、良かったと思ってるよ。今は楽しいし」
言った途端に、2人から熱烈なキスをされた。
「じゃあもっと楽しまないとね」
「ですね」
今日はいつもより激しい夜になりそうだ。
これで一応閑話はストップです。次からは2章に入ります。
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