一通の置き手紙
「……どうして私達が同室なんでしょうか………、」
いや、本当に謎である、それも一つに対するものではない。
「……なんで、僕の評価がSなんだろう……。」
何かのミス。
それはもう考えたが、この学校においてその可能性も低いはずである。
「…あなたの評価より、今この状況が問題です、私にとって。」
20畳とそこらの部屋で、年頃の男女がこれから卒業までのあいだ夜を共に過ごすのだ。
まぁ、それも問題っちゃぁ問題である。
「大問題です。」
まぁ、ベットも二つあるし、その間にはカーテンによる仕切りも設置されているのだから…。
たいして個別と変わらなくも無い気がしないことも無いだろう。
持ち寄った衣服や、生活用品をまとめて少し落ち着いて幾分かしてから、テティはベットに座って口を開いた。
顔色の程は相変わらずの不機嫌と言ったところか。
「京くんは最低限の礼儀や常識はわきまえているようですし、同室である上では文句はありません、」
そりゃあよかったよ。
「…ですが、正直怪しいです。」
「………、僕が?」
「はい、」
そう言ってから、テティはこの部屋に来る前に教師の男性から渡された二枚の羊皮紙を取り出して僕の目の前に差し出した。
「これを、見てください。」
その羊皮紙には、僕とテティの審査結果の程が記されている。
「まず京くんの評価を見る限り、
体術の心得の評価が[Aα]
銃器の心得が[D]
魔法術の心得が[E]
追跡・戦略論の心得が[Bα]
神道術の心得は[Sα]
確かに神道術が異常に高い以外にそれと言った取り柄も無いですし、とても、良い評価とは言えません。」
テティは続けて自身の持つ羊皮紙を僕の羊皮紙の横に並べた。
「私の評価は、銃器の心得以外全てAαです。」
つまり、
「この成績で、全体評価がSなんです。」
そこが、怪しい、か。
「……そう言われてもな…、やっぱり試験官に聞いてみるしか無いだろ?」
僕に聞かれても、そんなことわかるはずも無いのだ。
「………そういえばさ、僕らともう一人のS評価の人居たよな…?あの人は今どうしてるんだろう。」
「…ウィリアム・スコールさんでしたっけ、彼は一度故郷に帰るそうですよ。さっき、教師陣の方々がそうおっしゃっていましたし。」
近場だとすぐに帰郷出来るのか、
「そうですね、そもそも貴方がどうやって、極東の地からこのヨーロッパまでやって来たのかも謎ですけどね、」
「…まぁ、僕の祖国は少し変わってるからね、」
僕の故郷ばなしはまた今度しよう。
次の日、朝早くに起きた僕の枕の傍には一通の手紙が置いてあった。
カーテン越しのテティはまだ寝息を立てているので、どうやら僕宛てのようだ。
「……………、」
簡易な封を解き、封筒の中の一切れの紙を取り出した。




