閑章:彼が去ったその後で・・・
どうも、お久しぶりです。
投稿が遅れてしまってすみませんでした。
今回はこのお話ともう一つ投稿しています。
このお話はとても重い話になっています。
これを飛ばして読んでも物語にはほとんど支障が無いようにしているので、重い話が苦手な方はこれを飛ばして読んでいください。
自分でも書いていてなんだかつらくなりました。
智春が去った地球。
とある病院の一室で四人の男女が暗い表情で立っていた。
四人の目線は目の前のベットに横たわる少女に集まっていた。
その少女はやせ細り、肌も荒れ、髪からもつやが消えてくすんでしまっている。
その弱弱しい呼吸を繰り返して上下する胸の動きがかろうじて彼女がまだ生きていることを示している。
四人の中の一人、白衣を着た四十代後半くらいの男性が少女の診察をしていた。
「あなた、岬ちゃん、大丈夫なの?」
「ん・・・、はっきり言ってまずいな。今は点滴で何とかつないでいるが、これでは長くはもたない・・・。すまんな、港俺にしてやれるのはこれくらいだ。大病院の院長なんてやっているが親友の娘も救えんとはな・・・」
「そんなことはないぞ、冬貴、俺は父親だってえのに何にもしてやれないんだ・・・」
四人の顔に映るのは暗い表情ばかりである。
四人、智春の両親である『青山冬貴』、『青山夏苗』、そして、智春の幼馴染である『白海岬』の両親『白海港』、『白海鴎』はもう何度目かわからないため息をついた。
『どうして自分たちにばかりこんな不幸が舞い降りてくるのだろうか・・・』
そんな思考ももう数えきれないほど頭を巡っていた。
智春が事故でこの世を去り、青山夫妻は意気消沈してしまった。
それを支えようとしていた白海夫妻だったが、今度は智春の死に耐え切れなかった岬が倒れた。
確かにその兆候は昔から見えないでもなかった。
岬は小さなころから智春のお嫁さんになると公言していたし、これは両親の知らないところではあるが、智春に近づこうとする女の子はあの手この手で排除していた。
大学さえも智春と一緒に居たいがために代々青山家が通う医大に特待生合格をしているほどであった。
人生のどの場面においても自分に可能な限り智春と一緒にいることを選択した岬が智春の訃報に耐えられないのは自明の理であったのだ・・・
現在の岬の体は生きることに消極的になりつつあった。
点滴で栄養は送っているものの、体がそれを受け付けようとせず日に日にやせ細って行ってしまう。
呼吸や心拍だっていつ止まってもおかしくない程弱弱しくなってしまっている。
冬貴の診断ではおそらく持っても二、三日、最悪今すぐにでも彼女が生きることを放棄すればその心臓が止まってしまうかもしれない状況だった。
鴎はもう骨と皮だけになってしまったかのようにか細い娘の手をしっかりと握りしめ、涙交じりに神様に祈っていた。
それから数分、その場を沈黙が支配した。
と、
「!、岬!岬!」
鴎が急に岬に呼びかけだした。
「鴎、落ち着け!どうしたんだ!?」
「い、今、岬の手が少しピクッて動いたの。」
「ほ、本当か!?」
鴎の言葉に少しの希望を見た港もそれに参加する。
「待て、二人とも落ち着くんだ。」
冬貴は二人を何とか止め、岬に呼びかけた。
「岬君、聞こえるか?冬貴だ。おい、岬君。」
冬貴が呼びかけるように優しく声をかける。
と、岬の瞼が震え、ゆっくりと持ち上がった。
「岬!!」
鴎は喜びの声を上げた。
目を覚ました岬はその場にいる四人の顔をその眼にとらえると、視線を他の場所にさまよわせた。
まるで何か大切なものを探すように、
まるでいて欲しい五人目の誰かを探すように、
しかし、欲しているものをその視線に映すことはかなわなった。
夢だと信じたかったものはすべて現実だったと悟った・・・
「・・・ぉゕぁさ・・・」
「ん?、何?どうしたの岬?」
数日間飲まず食わずだったため乾ききりひびが入った声で岬は母に呼びかけた。
「・・・ごめんね・・・・」
電子音が鳴り響く中、なぜかその声はその場の四人にしっかりと届いた・・・・




