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8 後

ブックマークなどありがとうございます!ではでは、続きです!

ディランの手を引いて、花々が咲き誇る庭園へいく。

彼は本当に見たことが無かったのか、キョロキョロと庭を見ている。なんだか新鮮な気分だ。

少し奥に行くと、そこには初老の庭師がいた。

あ、いたいた。


「ハーヴェイさん」

「ん?おや、アナベル様ではありませんか」


ハーヴェイと言う庭師は振り向くと膝を折り私に視線を合わせてくれる。

そこで私の隣にいたディランに気付いたのか、にこやかに挨拶をするハーヴェイさんにディランは慌てて一礼する。


「ハーヴェイさん、わたしねディランにおにわをみせてあげたいの」

「ディラン...?そこの執事の少年のことですかな?勿論、良いですよ」

「ありがとう!いこう、ディラン!」

「お、お嬢様!?」


私は許可が貰えたと同時にディランを引っ張り奥へと進んだ。そんな私にディランはすぐに付いていくる。

その後ろではハーヴェイさんが私たちをゆっくりと追いかけていた。


................................



「ここよ!ここがこのにわでいちばんきれいなところなのよ!」

「わ、本当ですね。それに隅々まで手入れがされてあります...。尊敬いたします、ハーヴェイ様」

「ふふ、庭師の私にまで敬称はいらないよ。アナベル様も、ハーヴェイとお呼びください」

「そんな...ハーヴェイさんはハーヴェイさんよ。いまさらかえられないもん」

「自分も来たばかりの新人ですので...」


優しいハーヴェイさんに、私達二人はすこし苦笑いしてしまう。私は前世からの『年下』意識が強いためかやはりハーヴェイさんと呼んでしまう。なんか呼び捨てはこう、無理っぽい。ディランとかは大丈夫なんだけどね!

そっとディランを盗み見ると、彼はキラキラした目で庭園を見つめる。そんなに楽しそうなら、なぜ庭師の仕事を目指さなかったのか。執事の仕事はまともに出来やしないのに。

私はそれを彼に聞いてみた。


「...ディランは、どうしてにわしにならなかったの?」

「え、僕はクビですか?やはりお嬢様の専属執事は無理なんですか?」

「そこまでいってない、ふかよみしないで。

そうじゃなくて、そんなにはなとかすきならしょくぶつかんけいのしごとのほうがたのしいんじゃないの?」

「...そうですね」


そう呟くと、ディランそっと目を伏せた。


「...僕、実は少しお偉い家の産まれなんですよ。伯爵家には及びませんが」

「...」


確かに、ゲームの彼もそう言っていた。

だからか、マナーがとても良く貴族の事情など大概把握していた。...そして、確か、


「小さい頃...そうですね。ちょうどお嬢様くらいのころ、僕は誘拐されたんですよ」


そう、彼は後継ぎ騒ぎで自身の弟を推す者に誘拐されかけたのだ。両親も弟も使用人も、家中ピリピリとしていた矢先にそんな事があったのだ。

だからか、面倒事が嫌いな両親は弟を時期当主にしようとしたのだ。


完璧に、ディランは見捨てられた。


「生きる気力も無くなった矢先です、何故か誘拐した者達が次々に倒れていったんです。

暗い部屋から光が入ってきて、一人の大人の男性が助けてくれたんです」


「僕は情けなくも反抗したんです、だって帰っても待ってくれる人なんていない。そう言ったらその人、『いないなら作ればいい。たった一人に従いたった一人を大切にすればいい』って、目が点になるってそこで初めて体現しましたよ」

「ディラン...」

「賢いお嬢様は分かると思いますが、彼は執事でした。彼の主が付近で誘拐事件の事を知り、執事を出したみたいです。

...僕はそんな彼の言葉が忘れられずに執事になろうと決めました。そして、お嬢様に会えた」


ディランは私の前に立つと、低く腰を下げた。


「お嬢様...僕はまだまだ未熟ですが、貴女を精一杯守りたいとそう思ったのです。ですから、どうか傍で御一緒させて下さい」

「...あたりまえじゃない。いっしょにべんきょうしてくれるしつじなんてなかなかいないもの」


ふい、と顔を背けると彼は照れた様に笑った。

それでいい、そうして笑ってればいいんだ。

私もついつい噴き出して、一緒に笑った。


そうして落ち着いた頃、後ろで待機していたハーヴェイさんが口を開いた。


「...なるほど。ディラン、貴方の本気はわかりました」

「...ハーヴェイさん?」

「このマーティン家に害があるようでしたら、すぐにでも追い払う気でいましたが...いやはや、やはり旦那様の目利きは大したものですね」

「お、おいはらうって...」

「大丈夫ですよ、アナベル様」


ニコリと効果音が付きそうな程の笑顔で、ハーヴェイさんは言い放つ。


「私が、直々に指導をしてあげましょう」

「「...え?」」

「実はディランの事は使用人から聞いて知っていたのですが、あまり良い噂をききませんからねぇ」

「ヴッ...」

「ですので、私がディランの『執事としての指導』をします」

「ちょ、ちょっとまって!」


話が飛びすぎてわからないが、ハーヴェイさんは今のディランの話を聞いて直々に執事指導をすると言ったのか?

え?本当にまって。


「ハーヴェイさんってにわしじゃないの...?」

「庭師ですよ?まぁほぼなんでもできますが、前職の関係で執事の事は色々詳しいんですよ」


チートだ。私は少し目を逸らすと、視界に入ったディランはキラキラとした瞳でハーヴェイさんを見ていた。


「そうなんですか!とっても凄いです!あの、ご指導の程宜しくお願いします!!」

「はい。旦那様からは私が言いますので少しの期間ディランを貸してもらいますね、お嬢様」


えぇ...。

チート庭師、ハーヴェイさん登場です。

これも書きたかった話なのでとっても満足しています^^

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