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どんなに偉大な魔法使いも、死者を蘇らせることはない。
「母さん、ここはどこ」
「今日からここで暮らすのよ」
カルラは小さな手をぎゅっと握った。
丸太作りの小さな家が数軒、村人はカルラと子どもを除いて家族がふたつ。多くは老いていた。労働力になるものはわずか数名、これからはここで静かに暮らさねばならない。
「痛いよ、母さん」
子どもが身じろいだ。無意識に力んでしまっていたようだ。それでもその手を離すわけにはいかなかった。
「よく聞いて、エル。これからここで、私はエルにいろんなことを教えるわ」
「いろんなこと? もしかして、人間族の僕にも使える魔法を教えてくれる?」
「ええ、教えてあげる。簡単な魔法から、難しい魔法、それから様々な知識を。順番に、ひとつずつ」
「……父さんが死んじゃったから? 父さんは、僕が魔法に触れることを反対してた」
「エル。それはあなたがまだ幼かったから。一緒に少しずつ、勉強していきましょう」
魔法は、知識は、人を欺くためにあるのではない。
(待っていてべナルド)
べナルドは処刑された。カルラとエルが異端の妻子として追放されたのは、例年よりも暑い初夏の出来事だった。




