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世界の十字路【全話統合版】  作者: 時雨青葉
【第3部】封じられた秘めたる想い
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くずおれていく―――


「―――っ!?」



 手に何かが触れて、拓也はようやく現実に戻った。



 ずっと目を見開いていたらしく、目が乾いて痛い。

 思わず目を押さえた。



「痛…」



 ふらついた拓也を、傍に来ていた尚希が支える。

 目を押さえる拓也のもう片方の手は、実が掴んでいた。



 どうやら、実がこちらの手を肩から離したことで、自分は現実に戻ってくることができたらしい。



「だから、触らないでって言ったのに……」



 こちらの手から自身の手を離す実。

 その拍子に、実の手がかなり汗ばんでいることに気付いた。



 実は一つ息をついて、窓の向こうを見上げる。

 そして、くすりと笑った。



「見たんでしょ? ……俺の記憶。」



 どこか感情を失った、(うつ)ろな声。

 それに対して、拓也は押し黙る。



 見てはいけないものを見てしまった。

 そんな気がしてならなかった。



 拓也の心境を見抜いた実は、静かに首を振る。



「いいんだよ。わざとじゃないことは、分かってるから。」

「………」



「気に……しないで……」

「………?」



 どうも声の調子がおかしい。

 拓也が顔を上げたのと、実の体がゆっくりと傾ぐのはほぼ同時。



 実の体が、まるで人形のように崩れ落ちる。



「実!!」



 拓也と尚希が慌てて駆け寄る。





 倒れた実の周りには、ひらひらと桜の花びらが舞っていた。





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