後悔の景色
気がつくと、見知らぬ場所に立っていた。
目の前には、シンプルな造りのコンクリート製の建物が建っている。
横広の壁面にはガラス製の引き戸が並んでいて、引き戸はどれも可愛らしく飾りづけがされていた。
建物の前にはそう広くない庭があり、子供が遊ぶような遊具がいくつが設置されている。
なんだか、保育園や幼稚園を想像させる場所だ。
ぐるりと、辺りを見回してみる。
敷地はフェンスで囲まれており、そのフェンス沿いには桜の木々が立ち並んでいた。
ちょうど満開の時期を迎えている桜の木々は、風に揺られて綺麗な花びらの雨を降らせている。
そんな敷地の奥、建物の陰になって目立たない場所で視線が止まる。
そこには、フェンス沿いに生えている桜よりも一際立派な桜の大木があった。
枝いっぱいに花をつけたその木は、重たそうにその枝をしならせている。
風に揺られ、雪のように花びらが舞い落ちる。
そんな桜の木の下に、青い服に身を包んだ少年が立っていた。
少年は、遥か上空を見上げている。
それに倣い、自分も視線を上へと。
そこにはフードを深く被った人物と、その人物に抱かれた少女がいた。
体格から察するに、フードの人物は男性だろう。
少女の体は、しっかりと男性に抱えられている。
男性が少女に何かを囁く。
すると、驚いた様子の少女の目から大粒の涙が零れた。
男性を嫌がるように身をよじり、少女は少年に小さな手を伸ばす。
しかし、少女が手を伸ばしたその瞬間、少女を抱いたまま男性の姿が幻のように消え去ってしまった。
まるで、彼女の行為を嘲笑うかのように。
最後に取り残されたのは少年だけ。
男性がいた場所を見上げる少年の表情は、こちらからは分からない。
桜の木は、何事もなかったかのように花を散らす。
意識が、また暗転する―――




