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世界の十字路【全話統合版】  作者: 時雨青葉
【第3部】封じられた秘めたる想い
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後悔の景色

 気がつくと、見知らぬ場所に立っていた。



 目の前には、シンプルな造りのコンクリート製の建物が建っている。



 横広の壁面にはガラス製の引き戸が並んでいて、引き戸はどれも可愛らしく飾りづけがされていた。



 建物の前にはそう広くない庭があり、子供が遊ぶような遊具がいくつが設置されている。



 なんだか、保育園や幼稚園を想像させる場所だ。



 ぐるりと、辺りを見回してみる。



 敷地はフェンスで囲まれており、そのフェンス沿いには桜の木々が立ち並んでいた。



 ちょうど満開の時期を迎えている桜の木々は、風に揺られて綺麗な花びらの雨を降らせている。



 そんな敷地の奥、建物の陰になって目立たない場所で視線が止まる。



 そこには、フェンス沿いに生えている桜よりも一際立派な桜の大木があった。

 枝いっぱいに花をつけたその木は、重たそうにその枝をしならせている。



 風に揺られ、雪のように花びらが舞い落ちる。

 そんな桜の木の下に、青い服に身を包んだ少年が立っていた。



 少年は、遥か上空を見上げている。

 それに(なら)い、自分も視線を上へと。





 そこにはフードを深く被った人物と、その人物に抱かれた少女がいた。





 体格から察するに、フードの人物は男性だろう。

 少女の体は、しっかりと男性に抱えられている。



 男性が少女に何かを(ささや)く。

 すると、驚いた様子の少女の目から大粒の涙が零れた。



 男性を嫌がるように身をよじり、少女は少年に小さな手を伸ばす。



 しかし、少女が手を伸ばしたその瞬間、少女を抱いたまま男性の姿が幻のように消え去ってしまった。



 まるで、彼女の行為を嘲笑(あざわら)うかのように。



 最後に取り残されたのは少年だけ。

 男性がいた場所を見上げる少年の表情は、こちらからは分からない。



 桜の木は、何事もなかったかのように花を散らす。





 意識が、また暗転する―――





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