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世界の十字路【全話統合版】  作者: 時雨青葉
【第19部】希望ある未来へ
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決意


「………」



 詩織が消えて、しばらく。

 実は何をするでもなく、雨に打たれてうなだれていた。



「―――なんか、複雑だなぁ……」



 ぽつりと呟く。

 それ以外に、出てくる言葉がなかった。



 本当に複雑なのだ。



 望んでもいないのに、終焉(しゅうえん)の力なんて物騒なものを押しつけられて。



 こんなものいらないと全身全霊で叫びたいのに、詩織を見送った今となっては、自分がこの力を持っていたことが幸運だったと思えてしまう。



 神の都合で平凡な幸せを取り上げられて、自分だけじゃなくて、自分が大好きな人々も散々苦しめられた。



 平穏を壊して、心を踏みにじって、挙句の果てには世界を生かすか殺すか選べだって?

 ふざけるのもいい加減にしろ。



 神は―――世界は、表立って介入しないんだろう?



 なら、徹底して裏の覇者でいろよ。

 神なんて(あわ)れな存在を(つく)って、中途半端に出しゃばってくるな。



 おかげで、どれだけの人々が歪んで、狂って、消えていったと思っているんだ。

 恨み言を言い出したらきりがない。



 誰がお前の言いなりになってやるか。

 そう思う自分の気持ちに、嘘はないけれど……



 ものすごい皮肉だ。



 自分をここまで追い込んだのは、神と世界なのに。

 迷って動けない自分の背中を押すのもまた、世界の手先とも言える神だなんて……



 実は、頬に滴る雨水をぐっと拭う。

 へたり込んでいた足に力を込めて、ゆっくりと立ち上がる。



 詩織との、最期のやり取り。

 それを経て、なんとなく見えた気がする。





 ―――今の自分が選べる、唯一の道が。





 顔を上げて、厚い雲に覆われた空を睨む。



 さあ、逃げるのもおしまいだ。

 行こう。





 この呪いが始まり、そして終わる場所へ―――





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