表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

9異能

見てくださってありがとうございます。

時は明け方。 鬼ヶ島は夜の闇を厭うこと無く、お祭り騒ぎの状態でした。

別に、今日が特別な日であるというわけではなくこれが鬼達の日常なのです。 昼夜を問わずお酒をあおり、ご馳走を貪り、愉快豪快に大騒ぎ。 恐れることなど何も無い。やりたい放題の毎日です。

そんな鬼達には空と海の異変を感じ取ることなどできなかったのでした。



『敵はすっかり油断しているみたいですね』

「だろォな。ジジイとババアは?」

『予定通り、ミツユキが運んで城の裏手……奴隷地区に到着しました』

海上に沈むことなく佇んでいた少年は膝をつき、右手で海面に触れます。 それを合図に、波の『向き』に異変が生じました。

海水が渦を巻き、上空に向かって登っていきます。 一筋の透明な管を伝うように上空に躍り続ける海水はまるで全てを呑み込む勢いでみるみる大きくなっていきます。

空を覆わんばかりに膨れ上がった海水の塊は落ちることなく、不気味に空へ漂ったままです。

『城の手前には鬼しかいません。少年、派手にやっちゃってください』

「派手にやっていいなら島ごと消えるがかまわねェか?」

『地味に!地味にお願いします!』

「いちいちうるせェ……」

少年が右手を掲げると、上空を漂っていた海水はゆっくりとその手に引き寄せられていきます。華奢な少年が山のような水を持ちあげているように見える様は奇怪と言うより他ありません。

『ま、待ってください!』

「あァ?」

女神様の突然の待ったに首を傾げる少年ですが、少ししてその理由を理解します。

「そこで何をしている?」

声の主は天下城の天守閣にいました。 遥かに離れた場所であるにも関わらず、その一言は少年の耳にはっきりと届いてきました。 声の主の正体は、

『滅鬼です!気づかれました!』

鋼のように屈強で大きな身体。頭部には禍々しい二対の角。 滅鬼の瞳は少年を射殺さんばかりに向けられています。

「何をしているだァ?そいつはこっちのセリフだ」

「何……?」

「世界を手に入れてやりたかったことがこれかって聞いてンだよ」

「ふん、小僧には分からぬことよ」

滅鬼は少年の問いを鼻で笑いました。

「異能を使うことには驚いたが、その程度でどうにかできるほど我は弱くはないぞ」

ピクリ。

滅鬼の挑発に、少年のこめかみが僅かに震えました。

「……気が変わった」

「『は?』」

奇しくも、女神様と滅鬼の声が重なりました。

少年は笑みを凶悪的に深くし、告げます。

「派手にやってやるって言ってンだよ」

そして、海水の塊に異変が生じました。 まるで竜巻のような渦が生じたかと思うと、更にその形を大きくしていきました。

「……ククッ!クカカカ!」

『ちょっと少年!?』

「お得意の術とやらでどォにかしねェと島が消し飛ぶぜ?」

「貴様……!」

滅鬼の顔色が初めて変わりました。

「こンなクソ田舎で最強を気取ってンじゃねェぞ!三下がァあ!」

「貴様ぁああ!?」

続きもお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ