10激突
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鬼ヶ島全体を呑み込まんばかりの終焉の大爆発。
しかし、滅鬼が咄嗟に展開した防御結界により、島は滅亡を免れました。 それでも……
「おのれ……!」
結界で全てを防ぎきることはできませんでした。
港は跡形も無く破壊され、豪華絢爛な屋敷やお店の全ては瓦礫の山と化し、天下城の門は粉々に砕け散ってしまいました。
これまでの鬼ヶ島の土地開発が全て水泡に帰したのです。
「うぅ……」
「な、何が……?」
鬼達もただでは済みませんでした。 血だるまとなって倒れている者、ツノが折られボロボロとなっている者……無事な者も少なくありませんが、深手を負った者も少なくありません。
瓦礫と砂塵が腫れて、ようやく鬼達がよろよろと立ち上がり始めました。
「……ま、及第点ってところか」
『やりすぎですよ!?及第点どころか赤点です!』
少年は半壊した鬼ヶ島を眺めながら薄く笑みを浮かべました。
「やってくれたな……!」
城から宙へ飛び出し、そのまま目の前にやってきた滅鬼が言いました。
「小僧……これほどのことをしでかしたのだ。どうなるか分かっておろうな?」
「さァな。どォなるってンだ?」
滅鬼の睨みを受けて尚、少年は余裕の態度を崩しませんでした。
両者の間に一触即発の空気が流れます。
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『いけません!手の内が分からないまま戦うのは危険です!』
「黙ってろクソアマ」
女神様の忠告を少年は一蹴し、そして『能力』を活用して小声で伝えます。
「元々俺の役目は陽動だ。おまけが一つ出てきたくらいでガタガタ言ってンじゃねェ」
『!しかし……!』
女神様も少年と同じ考えに至ったのでしょう。すなわち、滅鬼を野放しにしたまま人間の救出を行うことが不可能であるということを。
いくらミツユキの力が強力であろうとも、人間を庇いながら滅鬼の相手をするとなれば話は別です。
口調は悪いですが、少年は危険な役目を買って出ているのです。 女神様はこれ以上の言葉を出しませんでした。
「もはや貴様の狙いや目的などどうでもいい。覚悟は良いか?」
「必要ねェよ。くたばるのはテメェの方だからな」
「ほざけ……いくぞぉおお!」
滅鬼は岩のような拳を振りかぶり、そして神速で少年に肉薄してきます。
少年は目の前の空間を爆破し、滅鬼の接近をかわして距離をとります。 否、距離は取れていません。
「小賢しい!」
「ちっ!」
少年は巧みに、そして豪快に大気を操り、神速で飛翔します。
対する滅鬼もこの世の理を無視した動きで飛翔し、少年に肉薄します。
逃げ切れない。そう判断した少年は勢いをそのままに鬼ヶ島に上陸。 しかし、体勢を崩して膝をついてしまいます。
滅鬼は鷲のように上空から動きが止まってしまった無防備な少年に襲いかかってきます。
「これで終いだぁあ!」
「甘ェんだよ」
コツン。
少年がドアをノックするように、地面を小突きます。それを合図に、
ドッバァアアン!
「がはっ!?」
地面が大爆発し、『能力』によって凝縮された衝撃が滅鬼の無防備な腹部を撃ち抜きました。 滅鬼は吹き飛び、しかし平然と地面に着地します。
「……貴様のその過信ぶりにも納得がいったわ。大した力だ」
「……そォかよ」
優勢を保つ少年ですが、その表情はあまり芳しいものではありませんでした。 何しろ、これだけ力をぶつけても平然としている相手が初めてだったからです。
(……過信をしてたつもりはねェが……)
『治癒の力です。さすがに無傷というわけではありませんでした。ただ、再生速度が早すぎる。治癒能力はミツユキよりも上です』
女神様の分かりきった解説に、少年は不機嫌そうに鼻を鳴らしました。
「だったら再生する前に殺しきればいいだけの話だろォが」
「くくくっ、それは楽しみだ」
滅鬼は言葉の通り、愉快に笑って言います。
『滅鬼の術についてはこちらが解析します。あなたもすでに意識してくれていますが、くれぐれも手の内を見せないように。もしもあなたの能力がかいくぐられてしまったら……』
「分かってンだよクソアマ」
少年は冷静に、自分に課せられた役目を理解していました。
「続きといこうではないか……なあ?」
「っ!」
滅鬼は獣のような殺気を放ち、少年に向かって飛び込んできました
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