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6ミツユキ

なぜか二日連続の投稿になりました。ここまでが導入部分です。どうか続きもお願いします。

『ッ!』

交差する刹那、再び放たれるかなしばり。しかし、

「こうかはばつぐんだってなァ?」

『!?』

力を封じられたのは少年ではなく、怪物の方でした。

「誰に噛み付いたか分かってンだろォなァ!?三下ァあ!」

今度こそ、少年の拳が怪物を捉えました。

怪物の身体は矢のっように吹き飛び、壁を突き破って遥か遠くへ。

少年は逃しません。不思議な力で一足飛びで怪物を追撃します。

追い詰めた怪物はすでに満身創痍の有り様でしたが、

『……!』

怪物の身体はみるみる内に蘇ってしまいしました。常識外れの再生能力。 そんな超常的な力を前に、少年は笑みを深くします。

「そォだ……一発で終わりじゃつまンねェ……まだまだ見せてくれンだろォ!?」

『ッ!』

空間転移。念動力。電撃。尻尾の鞭。怪物は少年に力を振るいますが、

「よォ……手品は品切れかァ?」

『!?』

少年には届きません。 少年は怪物の力を全て踏みにじり、着実に追い詰めていきます。

破壊。再生。破壊。再生。 少年は一方的に怪物を破壊し、怪物は命を守るために再生を繰り返します。

しかし、とうとう、

「どォやら終わりみてェだな……」

『………………』

怪物は再生の力を失い、倒れました。 四肢の力も失い、立ち上がることもできません。 『……私は……生まれた理由すら理解できないまま死んでいくというのか……』

「あァ?」

怪物が初めて言葉を発しました。

『……私は……何のために生まれてきた……?』

「知るかよ」

少年は怪物の問いを一蹴します。その問いに代わりに答えたのはおばあさんです。

「……『生まれてきて良かった』……そう思える幸せを見つけるためだとワタシは思うわ」

『………………』

「あなたにもきっと、そう思える日が来る。そう強く信じて生きていくの」

「ババア……」

『…………分からない……生まれてきて良かった……?』

「そうよ」

おばあさんは怪物の身体を起こし、赤ん坊にするように抱き寄せます。

「ワタシのには仲良しのおじいさんと可愛い孫がいるの。そんな素敵な人達と暮らしていると自然と笑顔になってね……あぁ、幸せだなって……生きていて良かったって思えるの」

『……幸せ……分からぬ……』

「分からないならワタシと一緒に来ない?」

『一緒に……?』

「そう。一緒に」

『………………』

「甘ェこと言ってる場合じゃねェだろォが」

おばあさんと怪物の間に、少年が割って入ります。

「言ってやれよ。おまえの言う幸せってのが過去の話だってなァ」

「礼太君……」

『……どういう意味だ?』

「……ワシらの世界は鬼に乗っ取られてしもうたのじゃ」

『鬼……?』

おじいさんは世界の有り様を語って聞かせます。

「そォいうわけだ。ババア、情けをかけてる場合じゃねェンだよ。こいつの意思なンざ知ったことじゃねェ。無理矢理にでもこいつを戦力に加える。それがおまえらがやるべきことだろォが」

「それは……でも……」

おばあさんは守るように怪物を抱きしめます。

「ちっ……おい、怪物。おまえはどォなンだ?」

『………………』

「まだ分からねェってンなら教えてやる」

少年はその身に似合わない怪力を発揮し、大岩を持ち上げます。そして、

「れ、礼太君……?な、何を……?」

「ぼ、坊主?」

大岩をおばあさんに向かって放り投げました。

「きゃあああ!?」

『!』

大岩がおばあさんを直撃する寸前、岩は不自然に停止し、ゆっくりと地面に落ちていくのでした。 怪物の念動力です。

「た、助けてくれたの?」

『………………』

怪物は静かに少年を睨みつけます。

「ありがとう!助けてくれてありがとうねぇ!」

おばあさんは怪物を強く抱きしめ、感謝を告げました。 そして、怪物からの無言の追及を前に、少年は悪びれもせず言います。

「それがおまえの答えだ」

『……?』

「そのババアを死なせたくねェ……護りてェってことだろォが」

『……!』

怪物は驚きで目を見開きました。そして、閉眼して何かを考えます。 やがて

『……団子を頂こう』

「お主……良いのか?」

『……このままここに留まったところで朽ちて果てるだけ……是非も無い』

「ならば、食べるが良い」

怪物はおじいさんから団子を受け取ると、そのままパクリと食べてしまいます。そして、

『……!これは……?』

力無く倒れていた怪物は身を起こし、そして傷だらけの身体を再生していきます。

『この力は……?』

怪物は自分の身体を確かめるように動かします。

「伝説のきび団子の力じゃ。元気百倍じゃな」

おじいさんとおばあさんは見事怪物を仲間にすることができました。

『二人ともご苦労様でした。見事、絆を結ぶことができましたね』

「「女神様……」」

おじいさんとおばあさんは揃って頭を下げ、女神様に感謝をします。

『さて、元の世界へ転移する前にその子に名前をつけてあげましょう』

「名前……あなた、名前は無いの?」

『……名前……?名前とは何だ……?』

「あなたのこと。あなたの呼び方よ」

『……私は誰かに名を呼ばれた記憶は無い』

「そう。じゃあ素敵な名前をつけてあげましょうね」

おばあさんはうーんと考えを巡らせます。

「…………そうねぇ…………そうだ!」

おばあさんはポンと手を打って考えた名前を口にします。

「ミツユキ……なんてどうかしら?」

『ミツユキ……それが私の名前か?』

「そう。光に幸せと書いてミツユキ……あなたには光に満ちた温かい世界で幸せになって欲しい。そんな風に思ったから」

『……ミツユキ……私の名前……』

「良い名前じゃな」

『そうですね。素敵な名前かと』

『ミツユキ……私はミツユキ……』

「どう?嫌じゃないかしら?」

『あなたの願いを込められた名前が嫌であるはずがない。私はミツユキだ』

怪物改め、ミツユキは優しく微笑み、おばあさんに感謝を告げるのでした。

『では、元の世界に転移します』

女神様がそう告げると、この場が光に包まれます。転移の術です。

『皆様、よく頑張りましたね。ですが戦いはこれからです』

こうして、おじいさんとおばあさんは異世界の強者を二人仲間にすることができました。

しかし、女神様が口にした通り戦いはこれからです。果たして、世界の命運はどうなっていくのでしょうか。


続きもお願いします。

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