23管理
ここまで見てくださりありがとうございます。どうか最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
「滅鬼や。人の痛みを理解したか?」
「黙れ!我に上から物を申すか!?クソ虫の分際で!」
滅鬼はおじいさんの言葉に激昂しました。
「……あなたはどうしてそこまで人間を目の敵にするのですか?」
今度はおばあさんが問いかけます。
「決まっておる。人間は世界にとって害悪でしかない存在だからだ」
「「……?」」
おじいさんとおばあさんは揃って首を傾げます。滅鬼の言葉の意味がさっぱり分かりません。 そんな二人の様子に滅鬼は呆れたように息をつき、告げてきます。
「貴様ら……異世界については知っておろう。世界は次元を超えて数多に存在する」
「まあの」
「何となくは……」
そこまではおじいさんとおばあさんも分かります。
「では、滅びを迎えた世界は知っておるか?」
「「………………」」
「教えてやろう。滅びを迎えた世界の中心には全て人間の存在があった」
「「!?」」
「人間ほど愚かな生き物はおらぬ。同族同士で殺し合うことはどうでも良い。だが、文明の発展と共に、やつらの戦いは世界を巻き込み、途方も無い世界の破壊を生んだ」
「……まさに、今の様に……じゃな」
鬼ヶ島がこの一夜にして瓦礫の山となった様に。力を持った人間の争いは破壊をもたらす……そう滅鬼は言いました。
「戦いだけでない。人間は資源を求めて世界を破壊して喰らい、己の不始末を世界に押し付け、汚し続けた。結果、生命体が存在することのできない世界が誕生するわけだ。全く、救いようの無い愚か者どもよ」
「「………………」」
突拍子も無い話でした。しかし、滅鬼が嘘を言っているようには見えません。
「め、女神様?本当ですかな?」
おじいさんは女神様に問いかけます。女神様の答えは……
『…………事実です』
「「!」」
「ふん……分かるか?貴様ら人間は世界の害悪。我はこの世界を守るために貴様らを間引いてやっているのだ。感謝されこそすれ、恨まれるなど筋違いな話よ」
「余計な……お世話じゃぁあ!」
「ぶべら!?」
「おじいさん!?」
おじいさんの鉄拳が滅鬼を打ち抜きました。 おじいさんは不機嫌そうに鼻を鳴らし、滅鬼に告げます。
「滅鬼……貴様はどこの世界の話をしておる?」
「な、何を……!」
「この世界のことはこの世界に生まれた者が決める。貴様に管理してもらう筋合いなど無いわ」
「っ!どこまでも傲慢な……!」
「滅鬼よ、一つ教えてやる。この世界に悪の栄えた試しなど無い。悪は必ず正義の前に討たれる定めなのじゃ」
「馬鹿なことを!それは貴様の知る範囲のことであろうが!悪が必ず討たれる保証がどこにある!?」
「こうして今、お主を打ち破る程の力を見せたばかりじゃろうて」
「……!」
「どんな強大な敵であろうとも何度でも立ち向かっていける……それこそが真の日本男児の強さなのじゃ。お主の言う愚か者に負ける道理など無いわ」
「………………」
おじいさんは『これだけ力を借りて言ってもしまらんがの』と苦笑して付け加えます。
「滅鬼さん。この世界はワタシ達が守ります。それをどうか見守ってはいただけませんか?」
「ばあさんの言う通り。これ以上の争いは無用じゃ」
「………………」
おじいさんとおばあさんの言葉に、滅鬼は閉眼します。やがて、
「…………足りぬな」
「……っ」
滅鬼は薄く微笑み、立ち上がります。
「……我はまだ敗れておらぬ。我はまだ戦えるぞ……!」




