episode25〜あらゆる形の勘違い〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
ダンスフロアから、華やかな音楽が聞こえて来る。
何人かの男女が手を取り、思い思いにステップを踏む。
そう’想い想い’に。
ほとんどの女子もフラフィーも、その講師を見つめていた。
美しき講師リュカである。
こうして二日目が終わろうとしていた。
乙女達は講師に愛情たっぷりの挨拶をして、名残惜しそうに帰路につく。
「じゃあね、カヌア!今日は楽しかった!またね!」
と手を振るアリー。
そして皆居なくなり、カヌアもそろそろ出ようとリュカに挨拶をしに行った。
するとリュカが美しい顔で微笑んだ。
「少しお話しませんか?」
と椅子がある方へと促された。
「え?はい。では少し」
二人は並んで椅子に座る。
フロアには二人きり。
「あの、本日はありがとうございました。えと…」
とカヌアはその美しき講師を見る。
「ねぇ。カヌアーリさん…うーん、カヌアさんはウィル殿下の婚約者なの?」
とリュカから急に聞かれ、カヌアは驚いた。
「え!?ち、違いますよ!ウィル様も私なんて相手にしませんもの!だって彼は…」
(男性が好きだから……ん?あれ?もしかして…そういうことか)
「そうなんだ、デビュタントのパートナー同士だったから、二人はてっきり……そう、じゃあ俺にもまだ望みはあるかな」
(俺…?ウィル様に…?)
カヌアは暖かい心で、軽く頷いた。
「ところでカヌアさん?今日のことで何か聞きたかったことはあるかな?」
講師の顔に戻ったリュカがそう言うと、カヌアは何を思ったか見当違いの質問をしてしまった。
「リュカ先生」
「’先生‘はいらないよ?もうレッスン外だからね」
と王子より王子様スマイルをして促された。
…いや王女スマイルか?
「はい、とてもわかりやすいご指導ありがとうございました。レッスンのことではないのですが…」
とカヌアが口籠もる。
「いいよ、何でも聞いて」
リュカは笑顔を向けていた。
「では…リュカ様の御心はどちらなのでしょう。その男性か女性か…いや男性をか女性をか?」
思わず失礼なことを聞いてしまったカヌア。
しかし気になって聞かずにはいられなかった。
(肩にいる二匹のフラフィーが気になるし。一応アリーのためにも、望みがあるのか聞いておかないとね)
しかし、リュカは嫌な顔せずむしろ妖艶な笑みで返した。
「さぁ、どっちなのでしょう?女性?あるいは…」
と言って、指をカヌアの顎に触れ、少し顔を上げた。
(ん?んんん?)
顔がどんどん近づいて…
すると、その時ダンスフロアの扉が勢いよく開いた。
「おいっ!!」
とウィルがリュカのその手を、カヌアから力強く離す。
「キャッ痛い!お離しください殿下」
と冗談混じりにニッコリ言う。
「離さない!」
(え!?離せ!いや!離したくない!?キャーーー)
とカヌアは頬を染めて、秘密の花園的関係に脳内変換させていた。
更にこの二人の恋物語を間近で見てしまったせいか、最大級の勘違いに発展させてしまっていた。
二人の手が離れた。
そしてリュカは何もしてないよというふうに、両手をひらひらとさせて言う。
「これはこれはウィル殿下!遅うございましたね、もう…」
「もう!?何だ?」
ウィルが睨む。
カヌアが驚いていると、ニコッと笑ったリュカがウィルの後ろの方を見て言った。
「おや、カブラももっと早く来させてあげないとー」
「兄さん、冗談はおやめください。またそのような格好をして」
(に、兄さん!?そうか、確かにどこかで見たことある気がしてたんだよな。どおりでカブラ様のダンスが上手かったわけだ。しかも隣に並ぶとさらに似てる。ということは)
「カブラ様も女装をすれば…」
と声が漏れてたのか、カブラがこっちを見て目を光らせていた。
(フラフィーめっちゃ怒っとるがな)
すると、ウィルがカヌアの手を強く引き、フロアから飛び出た。
カブラはリュカを監視してる。
長い廊下を早足で歩く。
(ん?何だろ?怒ってる?焦ってる?わからない。この人だけはほんとわからないのよ)
「あの、ウィル様?リュカ様達を置いて来てしまって良かったんでしょうか?」
カヌアがそう言うと、急に立ち止まり背を向けたまま聞いて来た。
「…したのか?」
「え?」
「リュカと…その、口づけを…したのか?」
(え?)
「ととととんでもございません!ウィル様を差し置いて!そんな!」
「してないんだな?」
「してません!断じてしておりません!全知全能の神に誓ってしておりません!」
それを聞いて安心したのか、ウィルはその場で力無く腰を下ろした。
「良かった…」
そう安堵するウィルに近づきながら言った。
「それに私、まだこの世に生まれてから、口づけなるものはしたことないですから、ふふふ」
と、自虐を込めて言ったのだが、ウィルは赤くなって返した。
「いや…そうでもないぞ」
(ん?何言ってるのかな?話が通じないのかな?)
「カヌアは…その…あいつの方がいいのか?」
「リュカ様は…えと、ウィル様とお親しい間柄では?」
「いや、別に特には…腐れ縁ってやつなだけで」
(腐れ縁ーーー!恋に発展するやつ!キャーー本格的に見えて来たわ!ビーエ…)
規制させて頂いた。
この物語はそういう要素はありません。
そして、今日の出来事を伝えたいという旨を伝えると、ウィルは自室へと案内してくれた。
弓術があまり上手ではなかったこと。
山鳥さんをあの世に送ってしまったこと。
友達が出来たことなどを話した。
一日の話を聞いてる時のウィルは、とても満足そうに笑っていた。
ダンスの話をし始めると顔色が暗くなり始めたので、簡潔に終わらせた。
すると、ウィルは少し微笑んで言った。
「そういえば弓術の指南…リビドは俺の幼馴染なんだ。とても勇敢で頼りになる。だから困った事があれば、遠慮なく聞くと良い」
「幼馴染。素敵な関係なんですね!では、ウィル様の小さき頃もよく知ってるんですか?私も見てみたかったなぁー可愛いウィル様」
と言う無邪気なカヌアを見て、これまたおかしな事を言い始めた。
「男の子が産まれたら見れるかもしれないぞ。俺に似てる子が…」
(…話ぶっ飛んでるわね…何言ってるのかさっぱりだぞ?)
と思う困惑しているカヌアを見て、ウィルは言い改めた。
「こ、今度小さい頃の写し絵があるから持って来させよう」
「はい!それは楽しみですね!ではもう今日は遅いので失礼致します。また明日参りますね」
と言うとカヌアは部屋を後にした。
すると、お決まりの側近ことカブラが、いつの間にかウィルの近くにいた。
そして笑いを堪えて言った。
「ウィル…様…っ、先走りすぎです…ククッ…まさか、こ…子供の話をするなんて…クッもちろんお二人のって事ですよね?フフフフ」
「うるっさい!」
ウィルはそれはもう最高潮に顔が沸騰していた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




