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ロボと煩悩  作者: 春隣 豆吉
ロボと諸々(一話完結&不定期)
9/9

キスの効果

出遅れましたが5月23日は「キスの日」ってことで。

「黒田先輩~、この記事面白いんですよ」

 昼休みに後輩が見せてくれたスマホには“キスの効果”なる記事が出ていた。

「今日はなんとキスの日なんですって。日本映画で初めてキスシーンが出たかららしいです。で、面白そうなのないかな~って検索したら、こんなのが」

 そういって後輩が見せてくれた記事によると心地いいキスをすると精神安定効果や鎮痛効果、愛情の再確認などがあるらしい。なんでも快感ホルモンが放出されるからとか。

「へえ~。キスにそんな効果があるのか。知らなかった」

「ですよね~」

 このときの自分に言いたい。雑談は相手を選べと!!



 いま、私は興伸さんの部屋でずっとキスをされている。

「―いかがですか?」

「も、もう充分…んっ」

 充分と言い終わる前にまたキスをされる。興伸さんの唇はやわらかくて触れてて気持ちいいけどさ…でも、ここで流されると明日が辛いっ。

 唇が離れた瞬間に私はすかさず彼の肩を押し返した。

「なにするんですか」

「それはこっちのセリフだよ!!な、なんか今日はキスが多くない?」

「だって実桜子がキスの効果なんて話すから。こういうのって実践しないと効果は分からないものですし」

「私のせいか?!あれはちょっとした雑談で実践しようなんて一言も言ってないし!!」

 今日、一緒に夕飯を食べたときに昼休みに後輩から聞いた“今日はキスの日”って話とキスの効果の話をした。興伸さん、そのときは“そうですか”しか言わなかったのでさほど興味がないのかと思ったら、これだよ!!今だって油断ならん!!

「……興伸さんってけっこう欲望に忠実だよね」

「実桜子にだけです。あ、そうだ。会社モードの私とキスってないですよね」

 なにを思ったか、下ろした前髪を後ろに流す。おおお、ちょっとロボ久林だ。でも無造作にあげてるせいか、落ちてくる前髪が妙に色っぽくてどきどきする。

 思わず手を伸ばして前髪をかきあげてしまう。

「会社での興伸さんはもっとちゃんとしてるよ。だいたい会社でキスなんて絶対しないくせに」

「当たり前です。まあ今のところは機会もありませんし、実桜子のとろけた顔を見るのは私だけでいいですからね」

「私、そんな顔してないから」

 すると興伸さんがにやりと笑う。あ、これはまずい。押し返したはずなのに顔が近づいている。

「してますよ。いまだって」

 そしてまたキス。う…いいかげん認めなくちゃいけないのかな。


「―いかがですか?」

「…興伸さんとキスをすると幸せな気分になるのは認める」

「それはよかったです……じゃあもっと気持ちよくなろうね、"俺"と」

「あのさ、明日会社だから」

「大丈夫、俺が起こしてあげるから」

 もちろんキスでね、と彼は甘く微笑んだ。

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