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28.国王ガレス・フォルトーゼ

 城の敷地内に入ると、黒い執事服をきた男性に呼び止められた。

 俺の名前を口にしていたし、事情を知っている人だろう。

 それにしても、ユーストスと呼ばれたのは久しぶりだな。


「こちらへ。陛下がお待ちになられております」


 執事に案内され、俺たちは城の中へと足を踏み入れた。

 中は予想通りの広さで、上も横も見ていてめまいがするほど。

 こんな場所に住んでいたら、普通の家になんて一生住めなくなると思われる。

 そうして、一つの扉前にたどり着く。

 明らかに仰々しくて、他の扉とも違っている。

 この先に国王様が、この国で一番偉い人がいるのだろう。

 そう思うと、途端に緊張が湧き上がってくる。


「陛下、ユーストス様をお連れしました」


 そんな俺たちをしり目に、執事服の男性が声をかけた。


「入れ」

「かしこまりました」


 扉が動く。

 大きな扉はゆっくりと、特有の音を鳴らして開いていく。

 さらに緊張は高まって、手に自然と力が入る。

 そして――


 目が合う。

 レスターブ王国第五七代国王、ガレス・フォルトーゼ。

 彼を見た瞬間、この国の王だとハッキリわかった。

 王冠がこれほど似合う人間に、今まで会ったことがない。

 まるで、初めからそうであったように、当たり前のように着こなしている。

 

「案内ご苦労であった。下がってよい」

「はい。では失礼いたします」


 執事が下がり部屋を出ていく。

 この部屋は王室と言い、国王様が来賓や家臣と合うために使われる部屋だそうだ。

 国王様と俺たちのほかに、護衛の騎士が数名配置されている。

 一対一ではないことが、これほど心強いと感じたのは初めてだ。


「ユーストス殿、よくぞ来られた」

「いえ、滅相もございません」


 国王様から名を呼ばれた。

 声をかけられた瞬間、自然と体が動いて、気が付けば膝をついていた。

 チラッと後ろに視線を向けると、彼女たちも同様に頭を下げている。


「良い。楽にしたまえ」


 そんな俺たちに国王様が優しく言った。

 俺は顔をあげ、ゆっくりと目を合わせる。


「まずは感謝を。ゴブリンの軍勢を追い払い、民を救ってくれたこと、王として礼を言わせてほしい」

「いえ、あれは私だけの力ではありません。多くの方々の支援があったからこそ、成しえた奇跡だと思っております」

「謙虚なのだな」


 言葉も自然に出ていた。

 思っていたことを口にしたというわけではなく、最善の内容を口にした感じだ。

 国王様のオーラに当てられて、普段の自分ではなくなっている。

 自分でも驚くほど、丁寧で礼儀正しい話し方をしている。

 後ろの三人も静かで、いるのかいないのかわからないほど気配を殺している。

 呼吸音が微かに聞こえる程度だから、ちょっと心配になる。


「して陛下、此度は何用でしょうか?」

「うむ、それなのだがな……実を言うと、ユーストス殿を呼んだのは私ではないのだよ」

「そう……なのですか? では誰が私を?」


 国王様は頷く。

 そして、突然表情が暗くなり、疲れを感じさせるようなため息をこぼす。


「私の娘レオナだ」

「王女様が?」

「うむ……外に先の執事がいるはずだ。レオナの部屋まで案内してもらうといい」


 そう言っている国王様は、どこか寂しそうに見えた。

 何かがあったのだろうと予想できるけど、俺には聞く勇気がない。


「終わったら、また私の所まで来てほしい。話を聞かせてほしいのだ」

「はっ!」


 あいさつをして部屋から出る。

 時間にしてわずか数分の謁見だったのに、外に出た途端どっぷりと汗をかいていた。

 モンスターと戦う以上に緊張を味わった気がするよ。


 部屋を出ると執事が待っていた。


「レオナ様のお部屋ですね」

「はい」

「ご案内します。こちらへ」


 言われるがまま、俺たちはついていく。

 歩いていくうちに緊張は消え、いつもの調子に戻っていく。

 そこで俺は、案内してくれている執事に、王女様について尋ねようとした。


「あの、一つお伺いしてもよろしいですか?」

「レオナ様のことですね?」


 執事は質問する前にそう答えた。

 俺は頷き肯定する。

 すると、執事も国王様と同じような表情を見せ、長く息をはいてから言う。


「レオナ様は、ここ数日部屋から一歩も出られなくなりました」

「え、なぜです?」

「わかりません。誰にも理由をお話しされないのです。これまで一度も、このようなことはありませんでした……」

「国王様も、入れてもらえないのですか?」

「はい」


 なるほど。

 そういう理由で、さっきの表情をしていたのか。

 国王としての顔ではなく、人の親としての顔を見せていたんだ。


「ですが、先日になってレオナ様から、貴方様にお会いしたいという希望が聞かれたのです」

「それで俺を……」

「はい。ですので、どうかよろしくお願いいたします」


 と言った所で、俺たちは部屋の前にたどり着いていた。

 

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[一言] 最初の方で同じ文章がループしてますよ
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