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27.王都からの招待状

 俺を指名したクエストは、レガリア以外の街からも届く。

 ゴブリンロード討伐の知らせは、どうやら遠方の街や国にまで広まっているらしい。

 一番遠い場所だと、行き帰りだけで一月かかる場所もあったな。

 さすがにそれは断ったけど……


「今日は王都から依頼が来ていますよ」

「王都からですか?」

「はい。こちらに」


 受付嬢は一枚の封筒を差し出す。

 その封筒からは高級感が漂っていて、一瞬だけ触れるのを躊躇った。

 何より封蝋に使われているのは、王家の紋章だ。


「これ王都っていうか、王城からのクエストなんじゃ……」

「王城!?」


 アリアが大きな声で反応した。

 驚く彼女に続いて、ティアが言う。


「王様からの依頼と言うことですか?」

「詳細は私たちにもわかりません。中身は確認していませんので」


 受付嬢がそう答えると、全員の視線が封筒に集まる。

 マナが小さな声でぼそりと言う。


「お兄さん、開けてみて」

「そうだな」

 

 中身を確認しないことには始まらない。

 ごくりと息をのみ、封蝋を外して中身を取り出す。

 封筒の中には、一枚の手紙が入っていた。

 送り主の名前をアリアが読み上げる。


「ガレス・フォルトーゼ?」

「フォルトーゼって、王族の家名だったような……あっ、国王様か」


 名前を確認して、その場の全員が目を疑った。

 無言で手紙を凝視し、何度も確認して、嘘ではないかと疑う。

 内容に目がいくまで、一分くらい時間がかかった。


 手紙にかかれた内容は、抽象的であいまいだった。

 スラスラと書かれたあいさつ文には、ゴブリンロードを倒した功績について触れられ、本題についての文章はたった二行。

 しかも、詳しい内容は王城で説明するという。

 結局、この手紙でわかったことは、国王様から俺に頼みたいことがある、ということだけだ。

 内容が不透明すぎて、どうしようか迷う。


「お受けになる場合は、ギルドで馬車を手配いたします」

「う~ん、少し考えても良いですか?」

「もちろんです」

「じゃあ、また後で来ます」


 手紙を受け取った俺は、三人と一緒にギルド会館内の一席に腰を下ろした。

 テーブルを囲んで座り、真ん中に手紙を広げて読み直す。


「さて、どうするかな」


 国王様から直接の依頼だ。

 おそらく重要な内容だとは思う。

 それも、簡単には教えられないような……国の機密に関することだと予想する。

 受けない場合は教えられない。

 そういう理由で、手紙の中で内容が書かれていないのではないだろうか。


「皆はどう思う?」

「私は師匠についていくよ!」

「同じくです。先生がお受けになるなら、全力でサポートします」

「ボクもお兄さんに任せる」

 

 満場一致で、俺の意見に従うという回答だった。

 これは俺当ての依頼だし、俺が決めるのは当然か。

 何やら危険な臭いはするけど、国王様が冒険者に依頼を出すなんて普通とは思えない。


「気になるし、受けてみようか」


 そういうわけで、俺は国王様からの依頼を受けることに決めた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 レスターブ王国。

 世界で最も領土が広く、歴史の古い大国。

 王都ファナリスには、五万を超える人々が生活している。


「もうすぐ到着します」


 馬車の運転手が、俺たちに向けてそう言った。

 窓の外をチラッと見ると、王都を囲う広くて高い外壁が視界に入る。

 レガリアの街から馬車で一週間、俺たちは王都へとたどり着いた。

 王都は周囲を外壁で囲んでいる。

 中へ入るためには、北と南どちらかの門を潜らなくてはならない。

 俺たちをのせた馬車は北門を潜り、王都の街へと入る。


「凄い……建物がいっぱい」

「人も多いですね」

「目が回りそうだよ」


 視界に飛び込んできた光景に、三人はキラキラと目を輝かせる。

 レガリアの街も大きかったけど、王都はまた別格だ。

 建物の大きさ、行きかう人の数や服装、どれをとっても明らかな違いがわかる。

 さすがはこの国の中心。


「三人とも王都は初めて?」

「うん! 先生は来たことあるの?」

「いいや、実は俺も初めてなんだよ。広すぎて迷わないか……ちょっと心配だ」

「大丈夫だと思いますよ」

「うん、だって――」


 ティアとマナが窓から同じ場所を見つめる。

 彼女たちの視線の先には、この街で一番大きくて、偉い人が暮らす建物が見えていた。

 マナが言う。


「あそこに行けばいいんでしょ?」

「確かに。少なくとも行きは迷わないか」


 純白のお城は、見ていて絵になる。

 馬車は城へと近づいていき、途中の小さなゲート前で停車する。


「すみません。馬車で入れるのはここまでなので」

「いえ、ありがとうございます。帰りはまたお願いすればいいんですよね?」

「はい。停留所で待機しておりますから、お声掛けしていただければ」

「わかりました。ではまた」


 馬車を降りて、途中からは徒歩で行く。

 ここから先は貴族街と呼ばれていて、一般人が許可なく入ることは出来ない。

 ギルドが用意した馬車も、この先は入れないらしい。

 俺たちは手紙に同封されていた招待状のお陰で、中に入ることが出来る。


 そして――


「お待ちしておりました。ユーストス様」


 俺たちは王城へたどり着いた。

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  レスターブ王国。  世界で最も領土が広く、歴史の古い大国。  王都ファナリスには、五万を超える人々が生活している。 大国の王都の人口が五万人って少なくないですか? 例:東京ドームの…
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