35話 魔族は進むよどこまでも
すっかりエタった。
サクサク話を終わらせないと。
冒険者団体だった我々バデールズが神聖魔法教会を名乗り、既に半年が経過した。
既に獲物を狩る冒険者は当然として、商いを行うお店や付近の農村の民までも神聖魔法教が浸透し信者も増えた。このロバルの街の半数が信者という驚異的な拡大。
また信者には洗礼という形で呪縛の術を施した。人族にはこの呪縛の術自体がどいうものか分からないだろう。簡単にいうと我々魔族には攻撃できずに好感度をあげるというもの。
俺は新たに増築を進めている元屋敷で現在は神聖魔法教会本部で今後の事を考えていた。
「バデール卿、それで魔法学校の事ですがどうしますか?」
ラダールが横から聞いてくる。
大広間には元魔王親衛隊のラダール、ミダリ、バケログテ、そして新たに魔族が加わり総勢47名が一同に揃って話に慎重に聞いている。
今は彼らが全て親衛隊で、表向きは神聖魔法教会の司教という事になっている。
「我ら一族から見た目が若い者を数名派遣し、それと信者で素質をあるものを入学させろ。くれぐれも我らは魔族だと分からないように細心の注意をしてくれ。また職員も我々の信者を働かせるのだ」
数日前に魔法学校から、魔法が使える我々に協力を求めてきた。表向きは魔法の技術向上で協力しませんか?という事だが実質は我々のほうが魔法が使えるため調査を技術の取り込みという事だろう。そして既に数名の教師は神聖魔法教の信者だ。
「知っているとは思うが、我々と人族では肉体の作りが違う。聖帽で隠せば目立たないが、頭に角があるのは当然として、我らに2つある臓器が人族は1つしかない。間違っても解剖されたり行方不明にならぬようにな」
承知しましたと皆が頭を下げる。
俺たち魔族は頭に角がある。
個人差はあるが、大きい者でも親指よりは小さいので、神聖魔法教会の風習として、頭に布(聖帽)を被る事が教義という事にしてある。なんというかターバンみたいで、邪魔だがこれは仕方ない。
「それとカルティナ……治療院での調査はどうだ?」
「はい!バデール卿!おかげさまで進んでおります。言われるように人族と我等では臓器の違いは明確ですが、人族の一部でも我々と同じ臓器を持つものも居ます……特に魔法の素質がある者は確実にそのようです」
カルティナは長い髪を揺らして、両手を胸の目に組み、拝むように返答する。
そうかと呟いて考える。
元々人族は魔法など使えなかった。だが我々魔族と交流をし始めた時を境に魔法を使えるようになったように思える。
「た、多分ですが……考えたくはないです我らの血が混ざっている可能性が」
カルティナがそう言うと周りの首座司教が口々に面々が声を上げる。
「なんだと!くそ人族どもが!魔法を使える人族は皆殺しにしてやるべきだ!」
「ミダリ、いや……ミダリ司教、言葉を丁寧に」
「あ、ああ、そうだなラッソルト司教、だがこれは問題だぞ」
言葉通りに捉えれば、俺達に魔族の中で人族と子供を作った裏切り者がいるということになるが、数百年で俺達の子孫が増えたのだろうな。
俺は考えるが、いずれロアン人を皆殺しにするには方法は1つしかない。
「では、魔法が使える者は神聖魔法教に全て入教させるのだ。丁寧に入教させるのだぞ。どうしても断るなら……わかるな?」
皆が頷く。
「エズラ、経典の作成は進んでいるか?」
はい、と返事をしてエズラが作りかけの経典を渡してくる。パラパラとめくると、前世のどっかの宗教のパクリにパクった何番煎じが分からないが事をエズラに伝えて文字起こしして貰ったものが書かれている。
「バデール卿、この ”第30規則 経典を決まりを破った男性は、チ○コ○の割れ目コピー用紙を挟んでシュッとする”という……ことでしたが、”コピー用紙”というのが分からないのですが、どういう意味でしょうか?」
お、おう。
痛いよなぁ…それ、想像するだけで怖いわ。
「では、コピー用紙でなく、”のこぎりで引く”にしといてくれ」
聞いた皆はなぜか股間を押さえている。
そりゃそうだ。
その他諸々を指示をだし解散をする。
そのまま俺は出かける準備をしていると、バケログテが声を掛けてくる。
「バデール卿、出かけるのか?」
「ああ、そのつもりだ、森にある、魔族の神殿に行ってくる」
「何で黙っていくのだ?ひとりで行くつもりか?」
なにかやばい場所に危険だから、ひとりで行くよう雰囲気を感じてるようだが、魔王の知識を思い出した俺は強い。不意打ちをくらわなきゃ誰に危険なんかない。
それに元の古巣、神殿だしね。
だが、せっかく聞いてくるので少し格好を付けて応えてみる
「これは魔王、いや神聖魔法教、神の啓示だからな」
「そうか……だが、バデール卿に何かあったら困る。無事に戻ってくれ」
あ、うん、行ってくる。
なんだ付いてくれると思ったのに。




