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10話 只今、尋問

「おら!何か言ってみろよ!おら!おら!」


バケログテ(マッチョマン)さんが息のある盗賊のひとりを丁寧に、殴ると蹴るのトークショーを開催。既に盗賊気を失いかけており、手足が変な方向に曲がっている。盗賊の関節が増えているような……。


「ん?てめぇ、ロアン人の血は何色だ?見せてみろよ、ほらほら、腸出してみるか?ん?ん?」


メダリさんは“ひぃひぃ”言う盗賊時々殴りながら、彼の腹を小刀でマッサージをしている。



俺が囮になり部屋に入り、盗賊のひとりに炎を浴びせて、蹴り上げ、続けて近くの3人もそれぞれ蹴り上げた。その瞬間窓からバケログテさんとメダリさんが、半ば窓枠を破壊しながら乱入して、あっという間に武器を持った12人はぶっ飛ばされる。瞬殺というのはこういうのを言うのだろうか。その後、彼らのボルテージは上がり続け、無力化した彼らは顔に水を叩き付けられた上に、蹴られて起され、もう半刻程そのルーチンが続いている。


部屋の隅で縛られている4人は、その光景を見て声を上げようとするが、猿轡されているのかむぅむぅと唸り、バケログテさんとメダリさんの怒りの拷問が進むと、青ざめて肉の叩かれる音が響く度に、ビクビクしている。


「ほう!ロアン人の腕は取り外しできんのか!じゃ、首もいっとくか!あ?ああ!?」


「バケログテ!いいこと教えてくれるじゃねぇか!じゃ、こいつ目玉が取れるか調べてみるか!?」


もう盗賊達は部屋の隅で、その言葉を聞いて、ひぃひぃ言いながら耳を塞いで怯えて丸くなっている。そして俺と目があうと、さらに、ひぃと声を上げて床をみて丸くなる。


縛られている人の猿轡を外そうと、俺は近寄ると4人はゴリゴリと這うように逃げようとする。



「あ、あの?……そろそろ聞きださないと」


俺は二人に声を掛ける。


「バデール!それで気が済むのか!?」

「そうだぞ!俺達はどうすればいいか!答えはこうだ!ザックリと!こうだぞ!おら!」


二人とも完全に怒りで我を忘れている。怖すぎる。本当に。


「グランダールに!」


俺が大声を出す。その瞬間、ふたりは止まる。


「グランダールに行きましょう……皆に会いに」


その俺の声でふたりは、捕まえていた盗賊を放し、床に座る。


「バデール……お前が聞き出してくれ」

「ああ、俺ら無理だ、こいつらと会話したら、殺したくなるだろうからな」



俺は猿轡をされてる一人男性に近寄り話す。


「いいですか?こちらの質問に答えてくださいね。余計な事を言えば……わかりますね?」


男性は勢いよく首を振る。小刀をあて、猿轡を切る。



「わ、私は!貴族院、エッツオ家の執事です!!我が主と!ひぃぃ!」


猿轡を外されたと同時に、男性は勢い良く話しだすが、男性の言葉を遮って、バケログテ(マッチョマン)さんは近くの酒瓶を彼の後ろに投げつけ、激しく壊れる音が響く。


「ロアン人は余計な事が大好きなんだな!なぁ!ああ!?」


ひぃぃぃと男性は声を上げる。


「あ、あの、お願いですから、聞いた事だけに答えてください」


男性はまた勢いよく首を立てに振る。素敵な役割ですよ、尋問というのは役割ですね?と合図しようとバケログテさんを見るが、素で本気で殺しそうな目をしていたので、そのまま彼を部屋の隅に引きずり小声で質問を続けた。いいですか?ひとりでも違ったことを言えば、殺しますよ?と脅して。



聞き出した内容は彼らはロアン人、つまりロアン帝国の人間ではなく、ロニテア王国の貴族で使者として、ミガベジーニ街へ向う所で、盗賊に襲われて捕まったという。ロアン人もロニテア人も人族だという。彼らに我々の祖先バーシツト卿(魔王様)の名前を聞くが、御伽噺では知っているという。


南の山、ドムゲザル山脈をこえた深い森に魔王と魔族を封印したという御伽噺。しかしそれは何百年も前の伝説で、ロアン帝国が流したデマだと言われている事。ドムゲザル山脈の南にあるロアン帝国とは、数年前に争いを起し、現在も国レベルでの交流もないという。


そして、魔族というのも、この大陸にはいないという。その他にもこちらの意図がバレないように、どうでもいい質問を繰り返して聞く。また魔法も人族は1000人に1~2人が使える者がいるかどうかという事。そして、グランダールという地名は聞いた事がないと言う。


そして、この大陸は広大で、まだ見ぬ土地も、海の先に広がる先も知らないと言う。


その内容は4人とも同じ答えだ。時間をかけて聞き出した内容をバケログテさんとメダリさんに、彼らに聞こえないように小声で伝える。途中でメダリさんが震えだす。


「嘘だ!こいつら嘘を言っている!俺にはわかる!俺にはわかるぞ!こいつらは嘘をついている!テベール!お前の聞き方が甘いんだ!こいつらには……こうやって聞けばいい!」


急にメダリさんが大声を出して、盗賊のひとりの顔に指を突き立てる。両目に指を入れて親指を口に入れて、そのまま、グチャと顔を握り潰して、そのまま、持ち上げてゴボゴボいう彼からボタボタ流れる血を浴びて、そのまま4人へ盗賊を投げつける。


顔の潰れた盗賊が血しぶきと共に、4人にぶつかり、彼らは姿勢を崩し倒れる。そして盗賊の顔が見えたのだろう女性が大声を出す。


「キャァァァァア!いやぁあぁ!!」


「お前ら!お前らがぁ!俺のメケルアとミーアは何処だ!どこにいる!オマらも知ってるだろ!おら!おら!」


メダリさんが泣きながら、次々と盗賊の顔を潰しては持ち上げ、4人に投げつける。もう4~5人目から拳で頭部に穴を開けて始めた。彼は泣きながら妻と子供の名前を連呼しつづける。


ミダリさんは村でも愛妻家として言われていたし、彼が狩りへ出ると、必ず妻へナギス葉を取って化粧水を作っていたし、娘のミーアに手をしたゲベドルさんに凄んだと父や母が言っていた。俺も家族と別れているが、彼も妻子と別れている。魔方陣へ魔力を込める役割として。



だが……その怒りでここまで怪力が出るのか!?なんだ?魔法なのか?俺は目の前の状況が分からず、狼狽した。


「テベール!こいつらはこうやって!ほら!鬼畜はこうやってちゃんと口を開かせてやるんだよお!」


メダリさんは俺を見ながら、ひとりの盗賊を口に両手を引っ掛けて思いっきり広げて口を割く。


「ほらな?こうだぞ?」


ちぎれた顎を持って俺に見せる。


「もうよせ!メダリ!」


「あ?どうしたバケログテ!聞き出すまで、しっかり聞くのが当然だろ?それともお前、俺にミーアに気があるのか?おい?ミーア?どこだ?ミーア?あれ?おーい!メケルア!どこだー!」


メダリさんが更に違う盗賊の口を広げて、どこに隠れてるんだー?と彼らを壊し続ける。もう生きてると思われる盗賊は2人しかいない。あ……いや、もう居なくなった。ここかあ?と4人に向う。


叫ぶ女性の声で、彼は更に目を広げて言う。


「ああ、ここからメケルアとミーアの声がするな、いま出してやるからな!」


完全に錯乱してる。どうすんだ?俺は“彼が寝るように”イメージして手をかざして叫ぶ。


___寝ろ!睡眠!!(トゥルースリーパー)


ドサッと彼は倒れる。彼の元に近寄り様子を見る。良かった寝息を立ている。ぶっつけ本番でよく分からない事を唱えて魔法をだしたが、効いて良かった。バケログテさんに手伝って貰い、メダリさんと部屋の端に寝かせて、それ以外の死体は窓から外に投げ捨てた。


それにしても、いったい錯乱したからと言っても、あの混乱振りは……。どうしたんだ……メダリさん。横を見るとバケログテさんが、ぶつぶつ何かを言い始める。


「ああ、こいつらが!俺の村を……」


瞼がブルブルと震えて、落ちている斧を拾い上げて、4人に向っていく。お、おいおい!


___寝ろ!睡眠!!(エアウィーヴ!)


彼は崩れるように倒れる。なんてことだ……。彼の両脇をもってメダリさんの横に寝かせる。彼らのその力……。片手で顔を潰して投げつけるなんて、そんな怪力あったのか!?


「魔力、酔いね……」


女性の一人が声を出す。


_____俺は聞き返す__魔力酔い?


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