表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/68

前日譚5「風の向こうへ」

その日は雨が降っていた。

 神田は、早番を終えてロッカー室で濡れた制服を着替えながら、どこか胸騒ぎを感じていた。


 「現場が足りない」「制度が追いつかない」——そんな話ばかりが飛び交う中で、彼の心には、ぽっかりと穴が空いていた。


 倉田さんの“ありがとう”、祖母との思い出、自分が進んできた道。

 全部が大切で、でもどこか報われないままの気がしていた。


 「……これが、俺の限界なのかもしれないな」


 ぽつりとつぶやいたその瞬間。

 視界が、まるで雷に打たれたように白く染まった。


 重力が消えたような浮遊感。心音だけがやけに響いてくる。

 周囲の物音、ロッカーのきしみ、雨の音——全部が遠ざかっていく。


 気づけば、足元に風が吹き抜けた。


 目を開けると、そこは草原だった。


 夢ではない。けれど、現実でもない。


 神田は立ち尽くし、そして歩き出した。


「……俺は、まだやれる。ここでも、誰かの“ありがとう”を聞くまで」


 それが、彼の第二の人生——いや、もうひとつの“使命”の始まりだった。

ついに、異世界へ踏み出すその瞬間を描きました。


誰かの人生と向き合うことは、時に“境界”を越えていく。


現実で支えることの意味と、異世界で生きる介護士の存在。


この物語の出発点が、読者の心にも何かを残してくれたら幸いです。


ここまで前日譚を読んでくださり、本当にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ