【第12話】定員オーバーと訪問支援隊! 広がるセカンドリーフの輪
春の陽気が差し込む中、セカンドリーフの門前にまた行列ができていた。
「す、すまん……腰が痛くてのう、空きが出たらぜひ……」
「母が最近、夜にひとりで火を焚いてしまって……危ないんです……」
「わしはこのとおり、魔法の制御ができん。パンを焼こうとしたら部屋を焼いた」
「……っていうか、それ病院案件では!?」
サラのツッコミが追いつかない。
「……ついに、受け入れ限界だな」
施設内には利用者用の部屋が6つ。
すでに埋まっており、これ以上の受け入れは物理的に不可能だった。
優一は全員を集め、対策会議を開く。
「……入れてあげたいけど、スペースも人手も足りない。
だけど放ってもおけない……どうする?」
沈黙の中、レオンがぽつりとつぶやく。
「……だったら、僕らが行けばいいんじゃないですか?」
「え?」
「施設に来られないなら、こっちから会いに行けばいい。
“訪問型のセカンドリーフ”って感じで」
グランが腕を組む。
「それなら馬車で回れば早いぞ。ワシの特製四輪車を動かす出番じゃな」
「それ、実質お前が車両じゃん!」
こうして新制度――**『セカンドリーフ訪問支援隊』**が発足。
対象は、以下のような支援が必要な人々:
自宅で独居する認知症のドワーフ老婆
足を悪くして山から降りられないオーク夫婦
家族に迷惑をかけまいと隠れて暮らす高齢スライム
訪問支援は3日ごとのスケジュールで、チームに分かれて巡回。
グラン&サラ隊:山岳地帯と遠方
レオン&リリス隊:医療ケア中心の支援
優一本隊:調整&フォロー
最初の数日は、トラブル続きだった。
「うわ! スライムの寝床って洞窟なの!?」
「この岩場、馬車通れん! ワシ、歩き馬になるぞ!」
「このじいさん、火球の魔法で“ちょっとした歓迎”とかやめて!!」
だが少しずつ、村人たちの目が変わっていく。
「……ありがとう。誰かが来てくれるだけで、安心するんじゃ」
「“介護”って、ただの世話じゃないんだな。心が、ちょっと楽になる」
夕暮れ。帰ってきたグランが、玄関で言った。
「……おかえりって言われるの、いいもんだな」
その言葉に、サラもレオンも黙って頷いた。
施設の掲示板には、今日から新しい看板がかかる。
『セカンドリーフ本部』
“ここで暮らす人の家”から、“みんなの居場所”へ
次回:「突然の査察! 王都からの魔法省役人来たる!」
突如やってきたのは“福祉指導監査官”!?
セカンドリーフに前代未聞の“指導票”が突きつけられる――!
第12話まで読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、施設の外――地域や村との関わりに少し踏み込んでみました。 介護施設という場所は、建物そのものだけで成り立っているわけではありません。
周囲の人たち、地域の理解、誰かを思う気持ち。
そういった“見えない支え”があって初めて、介護は続いていきます。
誰かを支えることは、決して一人きりではできない。
だからこそ、人と人がつながっていく瞬間を、これからも描いていきたいと思っています。
次回は、またひとつ、試練と気づきが訪れるお話になる予定です。
引き続き、よろしくお願いいたします。




