71話「何を謝るんだい?君は何も悪くないよ」
「黒い炎では負けたがこれはどうかな?」
僕は黒い大剣に有りっ丈の力を込めた。僕の周りに緑の稲妻が走った。僕の剣の持ち手から刀身にかけて緑の閃光が走る。僕の黒い大剣は緑のオーラが渦みたいに流れた。
「究極魔法:イル・ネア・ブラスト・アナザーオーバー」
緑の斬撃を何発もオレガノに向けて飛ばした。
「古代究極魔法:イル・ネア・ブラスト」
オレガノは向かってくる緑の斬撃を自分の青の斬撃を飛ばし、打つけ合った。
「どうやら私のこの力は技によって威力が変わるようだな。先の青い炎では私の方が威力が高かったが、今の青い斬撃は優一、お前と同じ威力だった。古代の力は私に完全に適合はしなかったって事か。不完全な状態だ。けれどそれでもこの力だ!!」
オレガノは青い斬撃を僕に飛ばした。僕は黒い大剣で受けるが、斬撃は重く、受けるので精一杯だった。
「なあ、優一。お前、私と戦っている時、本気で戦ってないだろ。私がどれ程の力を持っているか推し量っているから本気は出さない。力を小出しにして様子を見る、君の悪い癖だ」
「………」
僕はオレガノに見破られ黙った。
「ダメだ。それじゃ、ダメなんだ」
オレガノは僕にそう言った。
「何でだと思う?」
「分からない」
僕は答えた。
「こうなるからだ」
空間魔法で僕の息子、クロスを出してきた。クロスの首元を持ち、僕に見せつけてきた。クロスは僕を見て「父さん…」と呟いた。
「やめろ、やめてくれ。謝るから」
僕は懇願した。
「何を謝るんだい?君は何も悪くないよ。君がそうやって懇願しても敵は待ってくれないんだよ!!」
オレガノはクロスの身体に黒い大剣を突き刺したクロスの身体から血が噴き出し地面に垂れた。
「あああっ、ああああっ!」
僕は涙を流した。
「最初から本気を出していればこうはならなかった」
「そうだ」
僕がそう言うと オレガノは頷いた。
「これは俺が力を出し惜しみした所為で引き起こした結果だ」
「その通りだ」
オレガノはまた頷いた。
「もういいよ、お前」
僕はそう言い放った。
「暗黒咆哮・黒い牙V2」
僕は呟いた。空気中にある無数の膨大な魔力が優一を中心に集まる。僕の身体は少し浮かび、魔力は僕に向かって流れ、包み込み、深い黒色の渦のような球体となった。そして球体は割れ地面に破片が落ちた。僕の宙に浮いていた足は地面に着いた。僕の姿は変わり、黒い鎧を身に纏い、四大死宝と深い黒色の見たことの無い文字が書かれた首輪を身に付けた姿となった。僕の眼の角膜の色は赤に変わり、瞳孔は黒く鋭く尖った。そして僕の左の頬に、獣の爪で真っ直ぐ縦に抉られた四本の黒い傷のような物が現れた。僕の両目の白目は黒くなった。そして黒竜の腕に黒竜の足、そして黒竜の尻尾があり、角と翼の無い竜人の姿となった。足は化け物みたいな禍々しい黒い三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪だった。足の鉤爪が地面に突き刺さっており、鉤爪のみで身体の体重を支えていた。鉤爪は人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような大きな爪であった。全部の指先からは黒いオーラが流れ出て煙のように上に上がった。先までの力とは別の次元の力となっているのを誰が見ても言える位、異質の力であった。
「それだよ、それ!その力を待っていたんだよ。その他者を一切寄せ付けない圧倒的な力を!!」
オレガノは僕の姿を見て興奮していた。
「君の強みはその圧倒的な力だ。力を出し惜しみするのは弱者がやる事だ」
オレガノは言い放った。
「さあ、その力を私に見せてくれ!!」
オレガノは僕にそう言った。
「ん?何だ?………、ぐっ!」
優一はオレガノに手を向けるとオレガノは吹っ飛んだ。
「はは、風魔法か…、攻撃に気づかなかったよ」
優一はクロスの元へと歩いた。
「クロス。今、治してやるからな」
僕はそう言い、左手をクロスの身体に置いた。クロスの傷は治った。
「父さん…」
クロスは目覚め、僕を呼んだ。
「ほう、君はそんな事も出来るのか」
オレガノは感心した。
「クロス、お前を戦いに巻き込んで悪かったな」
僕はそう言い、クロスの身体の下に魔方陣を展開した。転移魔法でクロスを移動させた。
「君は自分の子供を人質に取られると弱くなる。そして君は泣いて懇願する」
「君は結婚して子供を作るべきでは無かった」
オレガノは言った。
「強いか、弱いかは今の僕と戦ってから決めればいい」
僕はオレガノに言った。
「それはそうだな」
オレガノは答えた。
「来い、優一!!」
オレガノは叫んだ。
「!」
僕は足の鉤爪で地面を蹴りあげ、目にも止まらぬ速さでオレガノに向かって突進した。
「直線斬り!!」
「くっ!」
オレガノは僕の攻撃を咄嗟に反応し剣で防御した。
「くっ…」
僕は両手の拳を交互に振るった。オレガノは後ずさりしながら僕の拳を防御した。
「おらあっ!!」
オレガノは僕に向けて剣で薙ぎ払った。
「!」
僕は横に振られた剣を上体を反らしギリギリで避けた。そしてそのまま後方宙返りし、バランスを崩した身体の体勢を整え、そして間髪入れず地面を蹴り、オレガノに向かって飛び込んだ。
「があっ!!」
オレガノの腹に渾身の一撃を打つけた。
「ぐぐぐぐ…」
オレガノは先の攻撃の痛みで手に持っていた剣を落とした。
「容赦はしない」
「暗黒竜拳」
僕は両手に深い黒色のオーラを纏わせた。
「くっ…、く、く、ぐっ!!」
僕は何度もオレガノに向けて拳を打つけた。オレガノは防御するが一発の拳が防御を潜り抜け身体にヒットした。オレガノは両手を地に突け、不安定な呼吸をしていた。
バツン!!!
僕はオレガノを勢いよく蹴り上げた。大きな鉤爪で勢い良く蹴り上げたので聞いた事の無い音が響き渡った。オレガノは遠くまで弾き飛ばされ地面に転がった。
「肉弾戦じゃ良い勝負にならないな…」
僕はそう言い、オレガノの剣を手に取り、オレガノに向けて軽く投げた。剣は宙を舞いオレガノの側に落ち地面に突き刺さった。
「魔力固定」
僕は黒い大剣を作り出した。
「剣術勝負といこうか」
僕はオレガノに向かって走り剣を振り下ろした。オレガノは地面に突き刺さっていた剣を抜き、僕の剣を受け止めた。
「おらあっ!!」
僕は身体の軸を回転させ、黒い大剣をぶん回した。
「優一…。お前…、大技に頼りすぎて…、剣術が衰えているんじゃないだろうな…」
「うおらああああ」
僕は痛い所を突かれ叫び、剣の斬撃をオレガノに浴びせようとした。
「これは恐ろしい剣だな」
オレガノは優一の気迫に押された。オレガノは息を整えた。
ギギギギギ。
剣同士が擦れあい、音が鳴る。
「回転斬り!!」
そして僕は一旦、後ろに移動し、また前に行く時に身体を回転させ剣を横に振りぶん回し、より斬撃の威力を上げた。
「ぐっ!!」
僕の剣を受け止める。僕がぶん回した黒い大剣の重さにオレガノは全身に力が入る。
「優一!!」
「オレガノ!!」
互いに何度も剣を交え、接戦となり鎬を削った。
「!」
戦う中でオレガノに隙が生まれた。
「もう剣の勝負は付いた」
「覇道羅刹」
僕は剣を捨て、拳に魔力を込めオレガノの顔面に拳を打つけた。オレガノの仮面は罅が入りそして割れた。
「何で…」
僕はオレガノの仮面が割れ、仮面は地に落ちた。そして僕はオレガノの素顔を見て驚いた。




