73話 結婚
みんなと紅葉狩りをした日から十ヶ月の時が経った。特に強い敵は現れなく、平和な時を過ごした。
話すことがあるとすれば僕の子供達が次々と結婚した。
レオはフェリクスの長女と龍の少女ラミア、イシスの娘であるハクアと結婚した。
ハクアは俺とイシスの血は繋がっていないためレオと結婚できた。
アリスはルイス君と結婚した。
意外だったルークだ。あのリリアと結婚をした。
ある夜、リリアはルークを夜這いし骨抜きにしたらしい。これがバレてエリナは少し怒っていたがルークはもう子供ではないので結婚を許した。
ルークもリリアの事は気になっていたからリリアが夜這いをするように仕向けたらしい。ルークも俺に似たのか計算高い奴だ。
クロスはフェリクスの次女と結婚した。
リナは幼馴染みと結婚し、アメリアも結婚した。
テオはフェリクスの三女と結婚した。
レイジはカナエと結婚した。僕はレイジとカナエが結婚する事を反対していたがルナは二人の結婚を許した。
僕は何故、反対していたかと言うとカナエは昔、僕を本気で殺そうとしたからこの女は信用できなかった。
僕はカナエと戦って本性を見てしまったからレイジと結婚するのも何か企んでいるような気がしてならなかった。
それにカナエは僕と腹違いの妹だ。僕の息子と結婚させる訳にはいかなかった。それを伝えるとカナエは涙を流し泣いていた。
僕はそれを見て何だか申し訳なかった。その光景を見ていたゼノは師匠なら何とか出来るかもしれないとみんなに伝えた。
そして全員で魔女ディアナの家に押しかける訳にはいかないので僕とルナ、ゼノ、レイジ、カナエの五人で魔女の家に行った。
魔女ディアナは事情を聞くと解決できるたわいもない事だと言った。但しカナエの大技:黒渦と交換だと言った。カナエは迷うこと無く受け入れた。
それを僕は見てカナエは本当にレイジと結婚したいのだと思った。魔女ディアナは薬を作るためにゼノと奥の部屋に入った。そして薬は出来た。
ディアナはカナエに薬の入ったガラスの瓶を渡した。そしてディアナは言った。これを飲むとお前は死にそして別の人間になると…。
この薬は飲んだ者の身体の作りを変えて別の人間になる物だと魔女ディアナは言った。
レイジは反対したがカナエはその薬を飲んだ。そうするとカナエは苦しみだし、聞いたことのないような声で悶え苦しんだ。
そして時間は過ぎ、カナエは地面倒れていたが起き上がった。
その後、僕とカナエは血液検査をし、互いに血が繋がって無い事が分かった。カナエは喜び、レイジに抱きついて泣きながら喜んだ。レイジも泣いていた。
こんな感じで僕の子供達はどんどん結婚し、妊娠報告が次々と来た。まだ一人も生まれてはいないがその内、生まれ僕がおじいちゃんと呼ばれる日も近いだろう。
あと、そうだ。これを伝えるのを忘れていた。エリナとイシスの事だ。
詳しく説明するのは面倒臭いから割愛するが、エリナの中にある人格、エリナとイシスの二つの人格を一つに統合する事に成功した。
イシスかエリナかどっちの名で呼べばいいか分からなかったから聞くと、いつも通りエリナと呼んでと言われた。僕の名もラプラスでは無く、優一と呼ぶと言った。
これで抱えていた問題は無くなった…、と言いたいがあと一つ問題があった。アリスの事だ。
僕とオレガノと戦った後、僕の黒い力はアリスの中へ戻った。だから僕は黒い力を使えない。それはまだ良いんだが、黒い力が具現化し、小さな黒い竜となりアリスの傍にずっといる。この現象を僕は知っている。
この黒い竜が具現化する意味は黒い力の持ち主の命の危機に直面しているというサインだ。この黒い竜は持ち主が受ける攻撃を全て引き受ける特性がある。
結論から言うとアリスは誰かに命を狙われている。アリスは幸い妊娠していなかったので敵が現れたとしても少しは戦える。
僕はルイス君の命を案じてこの件が解決するまでルイス君と会うなとアリスに伝えた。アリスは渋々、承諾した。
アリスは一人で街に出歩いているとき、命の危機を感じる事が度々あったそうだ。僕はアリスにあまり一人で出歩くなと伝えた。
ここ十ヶ月であった事はこれくらいだ、また僕は強大な敵と戦う事になるなんてその時は思ってもみなかった。
僕はリビングでココアを飲んでいた。
「お父さん、私にあの青い力を頂戴」
そう僕に言うのは僕とアリアとの間に生まれた娘のライカだ。
「悪いが青い力は誰にも渡せない」
僕はそう答えた。
「じゃあ、黒い力は?」
「それは今、お前のお姉ちゃんが持っているから無理だ」
僕はそう言った。
「じゃあ、緑の力と紫の力は?いいでしょ?」
ライカはそう言い、僕の腕に抱きつき甘えた声で言った。
「仕様がないな…」
僕は自分の娘に甘えられると弱い。
ライカは普段はこんなキャラでは無いから今まで甘えてくるなんてあまり無かった。だから娘の頼みを断れなかった。
「こら」
アリスはライカの頭に軽くチョップした。
「姉ちゃん…」
ライカは振り返り姉であるアリスを見た。
「お父さんはこれからも敵と戦うから、父さんの力をくれなんて言ってはだめだよ」
「力は自分で手に入れる物だ」
アリスはそう言いライカの隣に座った。
「姉ちゃんが持っている力は全部父さんから貰った物じゃん」
「それは、そうだけど。私はお前とは違って最強になりたいなんて野望は無い」
「最強っていうのは自分で道を切り開いてなるものなんだ。他者の力に頼ってなるものでは無い」
「………」
ライカはアリスにそう言われ、黙った。
「他者の力を頼る?違う、私が言っているのは力を寄越せって言ってるの」
「私は人から力を奪った事で罵られようと、例え、沢山の命を奪って強くなる修羅の道を歩いたとしても私は世界最強になりたい」
「………」
アリスはライカの恐ろしい言葉を聞いて黙った。
(危険な、考え方だ)
前から思っていたがライカは亡くなったライカの祖母ライラに似ている。
強くなるためならどんな事でもするか…、ライカはいずれ鬼神となるか、犬死にするかどちらかになるだろう。
ライカは危うい。ここは僕がしっかりしなければアリアが悲しむ事になる。
「ライカ、お前に力をやろう」
「お父さん!!」
僕がそう言うとアリスは驚き、僕を窘めようとした。
「アリス、お前が言いたい事は分かっている」
僕はそうアリスに言った。
「じゃあ、話は決まりだね。お父さん、緑の力を頂戴。あと紫の力も」
「ライカ!!」
ライカは無取りの力どころか紫の力も寄越せと言ってきたのでアリスは窘めようとした。
「アリス、ライカは優しい子だ。力を与えられても上手く使い、人を助けたりするだろう」
「それに俺は力を沢山持ちすぎた、力は一つか二つぐらいで十分だ」
僕はそう言いながら左手でライカの頭を撫でた。
僕がそう言うとアリスは納得せざるを得なかった。
「僕がライカに力を上げる代わりにして欲しい事があるんだが、いいか?」
「何?父さん」
ライカは聞いた。
「お前がもし結婚し子供が出来たらお前の持っている力を自分の子供に継承して欲しいんだ」
「私、結婚するつもりは無いけど…」
「まあ、今はそうでもいつかは結婚するかもしれないだろ」
「んー、分かった。もし私が結婚したら自分の子供に力を継承するよ、多分…」
(多分か…。まあ、いい)
僕は話し終え、ライカに緑の力と紫の力を譲渡した。




