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6話 ギルド

 僕とエリナと出会ってから二十日以上の月日が経った。


 僕はいつのまにかフローレス家に随分とお世話になっていた。エリナの弟とも仲良くはなっていないが、剣の稽古を木刀でするようになった。


「王都に戻ろうと思う」

 僕はエリナに言った。


「帰るの?」


「ああ」

 エリナにそう聞かれ僕は答えた。


「なあ、エリナ。一緒に王都に来ないか」


「何で?」


「好きなんだ。エリナ、お前のことが」


「えっ…」


「エリナは嫌いか僕のこと」


「好きだけど…」

 沈黙が続いた。


「エリナ、キスしていいか?」


「……いいよ。んっ…」

 僕はエリナの髪を撫でながらキスした。

 その日、僕はそのままエリナの初めてを奪った。

 

 エリナは王都に行くのを渋っていたがエリナの母が背中を押してくれた。エルはエリナとの別れを悲しんでいた。

 

 エリナは家族と別れの挨拶をし僕とエリナは王都に馬車で向かおうとしたら、空から轟音がした。

 

 空を見上げると大きな龍が飛んでいてこちらに着地した。

  

 見覚えのある赤い長い髪をした女が龍の上から降りて僕の前に来た。


「よお…、アリア」

 僕は恐る恐るそう言った。


「帰りが遅いと思って来たら、そういう事か」

 アリアは低い声でそういった。


「誰?」

 エリナは不思議そうに言った。


「私はアリア・レッドフィールド。ヨミの妻だ」

 エリナは唖然とした表情をし何も言えなくなっていた。


「あんた、奥さんいるの?」

 エリナは僕に詰め寄った。


「言ってなかったっけ?」


「言ってない!」

エリナは鋭い目つきで僕を見てくる。


「アリア、僕はもう王都に帰るところだから龍に乗って先に家に帰っといていいよ」


「いや、私も一緒に馬車に乗って帰る」

 アリアはそう言った。




 僕とエリナとアリアは馬車に乗り王都に向かった。気まずい。ものすごく気まずい。馬車の中は沈黙が漂っていた。


 この状態で王都に向かうのかと僕は頭を悩ませていた。

 

 そうこうしている内にあっという間に王都に着いた。

  

 久しぶりの我が家だ。僕は家の扉を開けた。


「帰ったぞー」

 広い家なので僕は響き渡るように言った。

 地主神が子供を抱いてこちらに来た。


「まさか」

 エリナは僕の子供に指を指しながら言った。


「僕の子供だ」

 僕はそう告げた。


「エリナどうした?」

 エリナはため息をついていたので僕は聞いた。


「色々驚きすぎて疲れた、ちょっと部屋で休ませてもらうわ」

 エリナはそう言った。


 僕はエリナにお客様用の部屋に案内し、エリナを休ませた。

 

 エリナが家に来てから何日か経った。

 

 僕は上からの命令で森にある遺跡の調査に来ていた。


 遺跡には特になにも異常は無かったので戻ろうとしたが誰かに僕は後をつけられているようだ。


「出るなら出てこい」

 僕は僕の後をつけている奴に言った。そう言うとぞろぞろと人が十人ほど出てきた。


「何のつもりだ」


「お前を拘束する」

 僕が聞くとそう告げられた。


「魔力固定」

 僕は右手を横に向けた。右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、手を覆った。


 右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。

 

 そうすると相手は僕を警戒した。


「警戒しても、もう遅い」

 僕は殺気を放った。相手は禍々しい僕の殺気に敵は戦意喪失した。


「残ったのは二人か…」

 僕の殺気に戦意喪失するものがいたが敵の二人は大丈夫なようだ。


「貴様!」

 一人の年老いた男が僕にそう言った。


「くっくっく」

僕は不気味な笑いをした。


 老いた男は僕に剣で切り込んできた。僕はそれを黒い大剣で受けとめた。


「じじいのくせに早いじゃないか」

 僕はそう言った。


「ほら、どうした」

 僕はそう言い、相手を殺すほどの殺気を帯びた大剣で男に何回も振り下ろした。


 老いた男はぎりぎり受け流すので精一杯だ。


「弱え」

僕の斬撃で老いた男の隙ができたところで左手で老いた男の顔面を殴った。


 老いた男は吹き飛ばされて意識は無くなり、動かなくなった。


 僕が殺気を放っても戦意喪失しなかったもう一人は、棒立ちで僕の方を見て震えていた。


「おい、お前はどうする」

 僕はもう一人のやつに聞いた。


 僕はそいつに近づくと全身に力が入らなくなったのか座り込んでしまった。


「なぜ、お前は大丈夫だった?」

 僕はそいつに聞いた。


「お守りで…」

 そいつは手を震えながらお守りを見せてきた。


「ああ、そういう事か…」


「お前は僕と戦う気はあるのか」

 僕は小娘に聞いたら首をぶんぶん振って無いと答えた。だから僕は逃げていいよと言ったが腰を抜かして立ち上げれなくなってしまったらしい。


「まだ、お前には聞きたいことがある」

 僕はそいつの首根っこをもって遺跡の近くにある石段まで引っ張っていった。

 

 急に後ろから気配がしたので僕は振り返った。そうすると金髪の長い髪をした女が勢いよく走ってきて大剣を僕に振りかざしてきたので僕は黒い大剣で受け止めた。


「誰だお前」

 僕は聞いた。


「私の名はシエラ・ハワード」

 僕に剣を振りかざしてきた女は答えた。


 僕は攻撃を受け止めた剣に力を入れ、女と剣を吹き飛ばした。


「お前も僕を拘束するのか」


「ええ、あなたには私たちの城にきてもらうわ」


「嫌といったら」


「無理矢理でも付いて来てもらうわ」

 女は僕に刃をむけ、僕に向かってきた。


「………っ」

 女は重い斬撃を連続で繰り出した。


 いくら重い斬撃を連続で繰り出してもその内いくらでも隙は生じる。


「お前、その内、死ぬタイプだな」

 僕は女にそう言った。


「どういう意味ですか?」

 女はそう言った。


「そのままの意味だよ。お前の剣は真っ直ぐすぎる」


「死ね」

 僕は女の大剣を弾き、隙をついて女を黒い大剣で切り裂こうとしたその時、地面から黒い鎖が突き出て僕の右腕の動きを止め僕の身体に鎖が巻き付き、僕を拘束した。


「間に合いましたね」

 眼鏡をかけた女が安堵した様子でそう言った。


「リリア来たのね。助かったわ」

 金髪の女はそう言い大剣を下に下げた。


「なんだこの鎖」

 僕が魔力で無理矢理外そうとしても鎖は外れなかった。


「その鎖、外れないでしょ」


「その鎖、あなたの魔力を吸ってあなたを縛り上げてるの。あなたにはその鎖はは外せないわ」

 眼鏡をかけた女は僕に言った。


「なんのこれしき」

 僕は全魔力を注ぎ込んで鎖を壊そうとしたが、鎖は外せなかった。僕は魔力を失い、意識を失った。



「目、覚めた?」

 聞き覚えのある声で僕に問いかけてきた。さっきの金髪の女だ。


 僕はどうやら意識を失いこの独房まで連れてこられたようだ。


 僕の手には手錠が掛けられていた。この手錠には何かしらの魔法が掛けられているのか僕の魔力を吸い取り、僕が手錠を壊せなくしてあった。


「食事よ」

 金髪の女は独房に入ってきて持ってきたトレーを僕の足下に置いた。トレーの上にはパン二つとシチューを入れた皿が置かれていた。


 僕は食事を取り始めた。


「旨い」

 僕はパンを(かじ)り、シチューをスプーンで(すく)い口に運んだ。僕は無性に腹が減っていたので無我夢中で食べた。


「そんなにおいしい?」

 金髪の女は聞いてきた。


「ああ、旨いさ」

 僕はそう答えた。


「御代わり持って来てあげる」

 女はそう言い、僕が(さら)えた食事のトレーを持って行った。


「はい」

 女がご飯の御代わりを持ってきた。僕はそれを受け取るとまた無我夢中で食べた。



「食べ終わったね。あなたには私に付いて来てもらうわ」

 僕は食事を食べ終え、女に連れられ大ボスの部屋へ案内された。


「あなたが黒十字騎士の一人、ヨミ・レッドフィールドね」

 体型はでっぷりとしていて魔女のような格好をしている女が僕にそう言った。


「ああそうだ」

 僕は聞かれたのでそう答えた。


「貴方には、私たちと一緒に生活してもらうわ」

 周囲の者はその発言に動揺を隠せなかった。


「マザー、これは一体どういう事ですか。この男は危険です。今は私の魔法でこの男を無力化しているからいいものを」

 眼鏡を掛けた女はそう言った。


「私は最初からこの男をこのギルドに入れるつもりだったよ」

 マザーと呼ばれている女は諭すように言った。


「まだ、名前を聞いていなかったな」

 僕は女に言った。


「私の名前はイザベラ。このギルドのギルドマスターをしている。気軽にマザーとでも呼んでくれ」

 イザベラはそう言った。


「僕をギルドに入れてどうする?」

 僕は何の目的か聞いた。


「どうもしないさ。ただ、お前は予言で世界に破滅をもたらすと言われているから監視するだけだよ」


「僕が世界に破滅をもたらす? 馬鹿な話だ」


「信じたくないならそれでいいさ」


「シエラ、ヨミに部屋を案内しろ」

イザベラにそう言われシエラは僕と一緒に部屋を出た。


 僕は自分の部屋に案内された。独房よりはましなので安心した。



「貴方。あの時、手加減したでしょ」

シエラは僕にそう言った。


「何の事だ?」


「あなたが私を殺そうとしたとき、仲間が私を助ける事を知ってて剣を振り下ろそうとしたでしょ」


「なんだ、ばれてたのか」

 僕はそう言いベッドに座った。


「あなた何の目的でここに来たの?」

 僕はシエラに問い詰められた。


「別に目的は無いさ。暇だったから捕まってみた。それだけだ」


「本当に?」

 疑いの目を僕に向けてきた。


「本当だよ」

 僕はそう言った。


「怪しい…。まあ、いいわ」


「何か困ったことがあれば私に言って」

 シエラはそう言い部屋から出ようとした。


「待ってくれ」

 僕はそう言った。


「何?」


「名前、僕もシエラって呼んでいいか?」


「お好きにどうぞ」

 彼女はそう言い、部屋を出た。


 

 あれから何時間経った。僕は特に何かをする訳でもなく、ベッドで寝そべり、ぼーっと天井を見ていた。


「入るわよ」

 シエラが再び部屋に入ってきた。


「何?」


「ご飯の時間よ。ついてきて」

 僕はシエラと一緒に部屋を出た。


 僕は城の回廊を通り大部屋に入った。中には大きな長テーブルが二つあり、席には大勢の人が座っていた。テーブルには豪勢な食事が置かれていた。


「…………」

 僕が部屋の中に入ると辺りは静まり返った。気まずい空気だ。


 僕とシエラは空いている席へと向かい座った。席の近くにはイザベラが座っていた。


「ヨミ、貴方には明日からシエラと一緒に行動してもらう。分かったね」

 イザベラは僕にそう言った。


「分かったよ。それより、これ外してくれないか」

 僕は手錠をイザベラに見せてそう言った。


「リリアが外さない限り、手錠は外れないわ」

 イザベラはそう言い、食事をしていた。


「リリア、僕の手錠外してくれないか」

 僕の近くにリリアがいたのでそう言った。


「気安く呼び捨てにしないでください。手錠は外しません」

 僕は眼鏡の女にきっぱりと断られた。


「シエラ、明日、どこに行くんだ?」

僕は食事をしながらシエラに聞いた。


「明日は王都の近くにある村に行きます」

 シエラは答えた。


 

 僕は食事を取り終えたので自分の部屋に戻り、部屋のベッドで寝そべっていた。


「風呂でも入るか」

 数時間後、僕はやることが無いので風呂に向かった。


 城の中は広く、風呂の場所がわからなくて道に迷っていたがやっと見つけた。


「あー、極楽極楽」

 僕は身体を洗い湯船に浸かった。ここの城の風呂はものすごく広い。


 僕がお風呂に浸かっていたら脱衣所から物音がした。


「………」

 シエラが扉を引き、入ってきた。


「何であなたがここに居るんですか!」

 シエラは僕を見てそう言った。


「風呂に入ろうと思って、ここって混浴か?」

 僕がそう聞くと、


「ここは女風呂です」

 シエラは呆れながらそう言った。


「まあ、いいじゃん」

 僕はそう言い、風呂に浸かっていた。


 シエラは体を洗い、湯船に入ってきた。何も話すことが無くて風呂には静寂が漂っていた。


「シエラって肌きれいだよな」

 

「何言ってんですか、この変態!」

 僕が唐突にそう言うとシエラは赤面した。


 二十分ぐらい話すことが無くて二人とも沈黙していた。


「僕、もう上がるよ」

 僕はそう言い、風呂から上がろうとしたら脱衣所から複数の女の人の話声が聞こえた。


 僕は構わず、脱衣所の扉を引いて中に入った。当然、女の人の悲鳴が上がった。


 僕が脱衣所から逃げた後、女たちは風呂に入った。


「シエラ、男と入ってたの!?」

 シエラは女たちに問い詰められた。僕はその後のことはシエラに任せた。

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