15話 阿修羅
八部衆のアジドから離れた場所に迦楼羅は天を呼び出した。
「こんなところに呼び出して何の用だ?」
天は八部衆の一人、迦楼羅にそう言った
「天、貴方は邪魔なんですよ」
「どういう意味だ?」
天は聞いた。
「あなたは私達の頭として私達に属性の力を与え、名を授けた」
「貴方には感謝してますよ。しかし、もう貴方の下で働くのはうんざりなんですよ」
迦楼羅はそう言った。
「貴方と阿修羅だけは属性の力を手にしていない。ただ、阿修羅は属性の力が無くとも私達より数倍強い」
「だけど貴方は弱い」
「八部衆の頭の座を狙うなら今、この時なんですよ」
迦楼羅は興奮気味にそう言った。
「黒炎」
迦楼羅は黒い炎を出した。黒い炎は天に目掛けて来た。
「………っ」
天はそれを避けた。
「死ねっ」
天は剣を抜き迦楼羅に振り下ろした。
「っはははは、私には効きませんよ」
「私は黒い炎と一体となった」
「死ねええええええええええ天んんん」
迦楼羅は最大火力の黒い炎を天に浴びせようとした。
「何ィッ…」
天は迦楼羅の首を手で絞められていた。
「お前は私より強い? お前達に力を与えたのはこの私だ」
迦楼羅は実体となり天に首を絞められていた
「お前には特別に教えてやろう」
「この目の力は眼力と呼ばれる物だ。眼力で相手を無体である物を実体とすることができる」
「つまりお前は無敵では無い」
天はそう言った。
「くそお、クソがあああああああああああああ」
迦楼羅は天に首を絞められそのまま死んだ。
僕が心臓を突かれ死にそうになってから三日後…。僕は王都で買い物に来ていた。
もう辺りは暗くなり僕は家に帰ろうとしていた。僕は家に帰ろうとしたがもの凄い殺気を感じ、そいつを始末してから帰ろうとした。
僕は森の道を通り、木に囲まれた開けた場所に僕はそいつを誘い出した。
「さっきから殺気を僕に放っているのはお前か」
僕は立ち止まってから振り返りそう言った。
二ィッ…。
不敵な笑みでそいつは出てきた。
「俺は阿修羅。八部衆の一人。お前と力比べがしたくてここに来た」
八部衆の一人、阿修羅は僕にそう言った。
「死ね」
僕は風魔法でブレードを三発放った。
(風魔法か…)
阿修羅は僕の攻撃を察知した。
「風魔法は効かなくなーる。風魔法は効かなくなーる」
阿修羅はそう言い、僕が放った風のブレードに手を向けた。
風魔法のブレードは当たったが、ブレードは砕け散った。
傷一つも付かなかった。
「俺はな、自分に暗示を掛けて自分の力を制御しているんだ」
阿修羅は両手を広げそう言った。
「何故、それを俺に言う」
僕は聞いた。
「だって、フェアじゃないだろ」
阿修羅は言った。
「魔力固定」
僕は右手を横に向けた。右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。
右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。
「………」
僕は剣を阿修羅に振り下ろした。
「二十パーセントの力が使えるようになる」
阿修羅は僕の剣を受け止めた。
「五十パーセントの力が使えるようになる」
阿修羅は僕の腹に拳を当てた。僕は遠くまで吹っ飛んだ。
「ぐっ…」
僕は黒い大剣を杖代わりにして起き上がった。
「あれ、おかしいな。肋骨の骨を砕いたのに起き上がるのか」
阿修羅は不思議がっていた。
「くそっ…」
僕は魔力で防壁を作り攻撃を防ごうとしたが魔力を破壊し、僕の骨を砕きやがった。
僕の回復の力が無ければ死んでいた。僕の回復の力は魔法の力とは違う。僕の元々の体質で傷の治りが早い。
「じゃあ、取って置きを見せてやろう」
「黒い氷柱」
阿修羅は手をこちらに向けた。 阿修羅の前に無数の氷柱が出現した。
「死ねええ」
阿修羅は僕に黒い氷柱を飛ばしてきた。
「アブソリュート・バリア」
僕は魔力でバリアを作り出した。
「そんな物、僕には効かない」
僕は氷柱をバリアで防ぎ、阿修羅に向かって黒い大剣を振り下ろした。
「こっちの台詞だ」
阿修羅は両腕を交差し僕の斬撃を防いだ。
僕はそのまま腕を切り落とそうとしたが力で押され黒い大剣は弾き飛ばされ手から離れた。
「もっと俺を楽しませろよ、ヨミ」
阿修羅からもの凄いパンチが幾度も繰り出される。それを僕は受け後ろに後ずさる。
「引き寄せる」
僕の手に黒い磁力が流れ、遠くに突き刺さっていた黒い大剣が反応しこちらに引き寄せられた。
「あぶねっ」
阿修羅は僕が能力で引き寄せた剣を避けた。僕は黒い大剣を手にした。
「八十パーセントの力が使えるようになる」
「ヨミ、死ねえええええええええええ」
「黒い氷柱」
僕の四方八方に黒い氷柱が出現した。
「アブソリュート・バリア」
僕は魔力でバリアを作り出した。
(何だ?これは…)
僕は黒い氷柱が来る直前、僕は未来を見た。
これはデジャブと言うものなのか…。僕がアブソリュート・バリアを使ってバリアを張ったが黒い氷柱が突き刺さり、魔力の防壁を破り、僕に突き刺さり僕は死ぬ。そのデジャブを見た。
(どうする、どうすれば良い)
僕は刹那の一瞬、そう思った。
「あはははははああああああ」
「ヨミ君。簡単に死んじゃいまちた」
「俺が最強だあああああああああ!!」
阿修羅は興奮気味にはしゃいだ。
「………何で…お前…」
阿修羅は僕を見て信じられない様子だった。僕は傷一つも付いていなかった。
「死と再生」
僕は風と一体となった。僕は黒い氷柱が突き刺さるときこの力を使えるようになった。
黒い魔力のオーラが漂う。黒い氷柱は僕の体を通り抜けた。
「馬鹿な…」
阿修羅は僕を仕留め損ねたため驚いた。
「くっくっく、俺の全力でお前を殺してやる」
「全力を出したら俺でもどうなるのか分からねえ」
阿修羅はどうやら力の全てを出すようだ。
「百パーセントの力が使えるようになああああああある」
阿修羅の体から大量の魔力が放出された。
「死ねええええええ、ヨミィィィィィィィィィィィィ」
阿修羅はそう叫んだ。阿修羅は両手を前に出し魔力を放出した。
「お前が死ね」
阿修羅が暴走し大量の魔力が僕に向かってきた。大量の魔力は地面を削り取った。
僕は黒い大剣を持ち、阿修羅の攻撃をすり抜け阿修羅に剣を振り下ろした。
「があああっ」
阿修羅は僕の剣の斬撃を浴びた。
「最後に言い残す言葉はないか?」
僕の斬撃で死にそうな阿修羅に聞いた。
「俺の全力でもお前には敵わなかった…。お前に会えて良かった」
阿修羅は木にもたれ掛かり血を吐きながらそう言った。
「そうか…。苦しまないよう一振りで殺してやる」
「ああ、頼む」
阿修羅はそう言った。
「………」
僕は剣を振り下ろそうとしたが止めた。阿修羅は涙を流していた。僕は阿修羅を殺してはいけないと思った。
「どういうつもりだ?」
僕の行動に阿修羅は聞いてきた。
「気が変わった」
僕はそう言い残しその場を去った。
阿修羅は生き延びた。後日、阿修羅は行方不明となり八部衆を抜けた。




