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17話 魔王の正体

 あれからまた数日が経った。


 フェンリル女学院高等学校で教鞭を執る事になったので剣術の授業を生徒に教えていた。


 僕も学校で泊まることができるのでアリア達と同じ時間を過ごすことが出来たので教師になったのも悪くは無かった。


「どうなっているんだ?これは…」

 僕は王都の危機を察して外で行われていた剣術の授業を切り上げた。


 学校の外には魔族がいた。魔王軍の魔族が王都に攻めてきた。


「アリア、皆を外に出すなよ」

 僕はそう言い、学校に広範囲の結界を張った。これで魔族は入ってこない。


「くそっ」

 僕は王都で暴れる魔族を見てそう言った。


「ヨミ!!」

 僕は名前を呼ばれたので振り返った。


「ここは俺が引き受ける。お前は魔王を殺せ」

 ガブリエルは僕にそう言った。


「分かった!頼んだぞ!!」

 僕は足早にこの場を去り、魔王城へ向かった。


 これは僕の失態だ。僕が魔王を危険分子と見なさず、放置してしまった僕の責任だ。


「辿り着いたか…」

 僕は魔王城に辿り着いた。僕は扉を開け中に入った。


(どういうつもりだ?)

 僕が城の中に入ると魔王の部下達が並んで道を開けていた。


 その道に沿って歩いた。魔族は一向に僕に攻撃してこなかった。


 奥にある階段を上がり、広間のある扉の前に立った。


(開けるぞ)

 僕は扉を開けて中に入った。


 広間の奥に玉座があり、そこに仮面をつけた魔導服を着た黒い髪の毛で長髪の女がいた。


「………」

 仮面の女は玉座から立ち上がり、僕の方へと歩いてきた。


「………」

 僕も仮面の女に向かって歩いた。


「魔王はどうした?」

 僕は彼女に問いかけると彼女は足を止めた。


「前魔王は死んだ。現魔王はこの私だ」

 仮面の女はそう答えた。


「今すぐ王都に攻めている兵を引いてくれないか」


「悪いようにはしない」

僕は魔王にそう言った。


「兵を引く? 笑わせないで」


「私は王都を陥落し、それを足がかりに世界を滅亡させるわ」

 魔王は平然とそう言った。


「ならお前には死んでもらう」


「魔力固定」

 僕は右手を横に向けた。右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。


 右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。


(結界を作り出したせいで僕の魔力が減りつつある。大技は出すことが出来ない)


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 僕は魔王に向かって行った。


「魔力固定」

 魔王の右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。

 

 右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。


「そんな馬鹿な…」

 僕は剣を振りかざし、それを受け止められた。


(僕と同じ力を使えるのか…)

 僕は後ろに移動した。


「………っ」

 僕は前に出て剣を振り下ろす。


「………」

 魔王は僕の剣を受け流すと、僕に向けて剣を振るった。僕はそれを受け流した。


 お互いに剣を交えた。相手は仮面を付けているから視界が悪いはずなのに僕と対等に戦っている。


「死ね」

 僕は剣を振り下ろした。


「………」

 僕の剣を受け止めた。


「アブソリュート・バースト」

 僕の魔力を黒い大剣に流すことで黒い大剣の斬撃の威力を上げた。黒い大剣からは黒い魔力が漏れ、剣から黒い魔力が漂った。


「くっ…」

 僕が黒い大剣が魔王の剣を破壊した。魔王は自分を守るバリアを作った。


「んな、馬鹿な…」

 僕は魔王が作るバリアも斬ろうとしたが、僕よりも力が強く、僕の剣は弾き飛ばされた。


「………」

 僕は後ろに後退した。


「素顔を見せろ」

 僕の技を使える奴を見て身震いしたのか僕は風魔法を使い魔王の顔に向けて放った。


「………」

 魔王は僕の風魔法を防がなかった。仮面は砕け、地に落ちた。


 魔王の顔は美しい顔をしており、その顔を見てどこか懐かしい気がした。


「久しぶり…、ヨミくん」

 懐かしい声で僕の名前を呼ばれた。


「アリサなのか…」

 僕は信じられない光景を見て、言葉を発した。


「アリサ」

 僕は走り出してアリサを抱きしめた。


「なんで生きてるって教えてくれなかったんだよ」

 僕はアリサを抱きしめて、アリサの顔を見て泣いた。


「ごめんね。生き返ったの昨日なの」

 アリサは困った顔をしてそう言った。


「会いたかった。ずっと君を想っていた」


「私もヨミ君のこと想っていたよ」

 僕とアリサは額をつけそう言った。


「アリサ、(うち)に帰ろ。僕の家、何人かで住んでるけどアリサも馴染めるから」


「駄目だよ」

 アリサの返答に驚いた。


「何で?」


「私は前魔王にこの世界を破滅させるために蘇らせられたの」

 アリサは答えた。


「この世界を破滅させる事が出来なければどうなるんだ?」


「私は消えて無くなるわ」


「………」

 衝撃的な事実に僕は何も言えなくなった。


「分かった。この世界を滅ぼそう」

 僕はそう言った。


「ヨミ君は王都を守るためにここに来たんでしょ」

 アリサは僕を諭した。


「じゃあ、どうすればいいんだよ」

 僕は困惑した。


「簡単な事だよ。私が居なくなれば良いんだよ」


「私はヨミ君に一目会えただけで幸せだよ。蘇って良かった」

 アリサの精一杯の強がりに僕は泣いた。


「ああっ」

 アリサは前に倒れたので僕は透かさず抱きしめた。


 アリサは足に力が入らなかったので僕はアリサを抱きしめ地面に座った。


「ヨミ君、私に構ってないでお嫁さんのところに行きなさい」

 アリサはどんどん衰弱しているのか声がだんだん弱っていた。


「何でそういう事、言うんだよ!」

 僕は自分の事よりも人の事を心配するアリサにそう言った。


「ヨミ君が幸せで良かった」

 アリサは心の底から出た言葉だった。


「僕、幸せじゃないよ。アリサが死んでからずっと引きずってたよ」


「寝ている時、何回も夢で見るんだ。あの時、僕がアリサを助けることができたらって」


「アリサ。僕、もうダメだよ。アリサが居なきゃ」

僕はアリサを抱え涙を(こぼ)した。


「そっか。私は幸せ者だね。嬉しい」

 アリサはそう微笑んだ。


「アリサ、この世を滅ぼしたいと強く願うんだ」

 僕はアリサを生き延びさせようとした。


「だめだよ」

 アリサはそう僕に告げた。


「駄目なんかじゃない!!」

 僕はアリサの言葉を否定した。


「僕とアリサは前世から結ばれてて幸せに暮らすって決まっているんだ」

 僕は深淵の書を見てからあのとき見た物を理解した。


「ヨミ君、知っちゃったんだ…」

 僕の言葉にアリサはそう答えた。


「僕とアリサはこの世界の創造主で、この世界に転生したんだ。だから僕とアリサは結ばれなきゃいけないんだ」

 僕はそう叫んだ。


「ねえ、ヨミ君」


「………」

 アリサは起き上がり僕と唇を重ね、キスした。


「私、キスよりもおでこをくっつける方が好きかも」

 アリサはそう言い、僕の額に額をくっつけた。


「落ち着いた?」

 僕の心臓の鼓動が聞こえるぐらい落ち着きが無かったが、アリサにして貰ったことで落ち着いた。

 再びアリサは地に倒れそうになり僕が抱えた。


「ヨミ君、私が死んでも生き返らそうとしちゃダメだからね」


「何でだよ」

 僕はアリサの言葉に揺さぶられた。


「ヨミ君が生まれたとき体が弱かったのは、私が生まれた世界に来させるためだったんだよ」


「だから私が死んだのもそうなる運命だったの」


「ヨミ君と一緒だった、幼少期の短い期間だったけど私、幸せだった」


「………」


「本当はヨミ君と一緒に大人になって結婚したかった」

 アリサは本音を明かした。アリサは涙を流した。


「もう、だめそうね」

 アリサの体から光の玉が出てきた。


「そんな、アリサ行かないでくれ!!」

 僕は必死にアリサを繋ぎ止めようとした。


「これ、あげる」

 アリサは左耳につけていた黒いピアスを渡してきた。僕はそれを受け取った。


「僕もこれあげる」

 僕は自分の左手の薬指につけていた結婚指輪をアリサにあげた。


「ありがとう。結婚指輪ずっと欲しかったんだ…」

 アリサの左手の薬指に僕の結婚指輪を付けた。アリサは嬉しそうに微笑んだ。


「そろそろ行くね」

 アリサは自分の最後を悟ったのかそう言った。


「行かないでくれ」

 僕はアリサにそう言うが、アリサの体から光が出て消えそうになった。


「俺が何とかするから、アリサを蘇らせるから」

 僕がそう言った。


「この世に人を蘇らせる方法は無いの。今回、私は偶然蘇っただけ」


「私に囚われて生きてて欲しくない。約束して、ヨミ君は自分の人生を生きて」


「お願い」


「………。分かった」

 アリサは僕に必死にそう言うのでそう答えるしかなかった。


「最後に一つだけ」


「私、天国でヨミ君をずっと待ってるから。私を探して」

 アリサは僕にそう言った。


「分かった。絶対に見つけるから待っててくれ」

 僕は必死にアリサを抱きそう伝えた。


「大好きだよヨミ君」


「僕も愛してるよ。だから行かないでくれ」


「ありがとう」

 アリサは微笑み、アリサの体から光の玉となって宙に浮き消えていった。


「行かないでくれ。僕は君を愛してるんだ。本当だよ。だから行かないでくれ。君は僕の全てなんだ!!」


「アリサああああああああああああああ」

 僕は光の玉となって消えていったアリサの名前を呼んだ。アリサが僕の声を聞いて微笑んだようなそんな気がした。


「あっ…あっ…あああああああああ」

 何も無い空間で僕は消えていった光の方を見ていた。声にならない声で泣き叫んだ。


 僕は城を後にしてアリア達を連れ自宅に戻った。


 王都に攻めていた魔族は僕が帰ってきた後には居なくなっていた。魔王軍が攻めてきたのは僕を魔王城に来させるためだったと気がついた。


「………」

 僕は自分の部屋にいて本棚を見ていた。


「役に立たないじゃないか。魔法なんて魔法なんて」

 僕は本棚から本を取り出し地面に投げ捨てた。


「どうしたの?ヨミ」

 エリナが僕の様子を見に部屋に入ってきた。


「クソがああああ。何のためにこの世に魔法があるんだあああああ」

 僕は全部の本を地面に投げ捨てた。


「ヨミ、ヨミ!」

 僕が暴れているのをエリナは必死に止めた。


「ふざけるなあああああ、クソがあああああああ」

 僕は必死に本に怒鳴りつけ、本のページをびりびりに破いた。


「離してくれエリナ」

 僕を抱きしめていたエリナにそう言った。

 エリナは僕の体から手を離した。


「ヨミ!!」

 僕は走って部屋の外に出て、自宅から出て行った。


 僕は暗い夜の外を走った。息が切れるがそれでも走った。僕はこの現実から逃げたかった。


 その後、僕は精神病院へ入院することとなった。入院中、色々な事があったけど無事に退院した。その話はまたの機会があれば話そうと思う。

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