それは、いつか追い求めた…
それは、キルシュガルドの求めた人達の…
それは、とある少女の記憶…
少女には、家族がいなかった。
だが、本当の家族のように接してくれる人達がいた。
『口、ソースがついてる…ふふっ』
「むぅ…」
何でだよ…
少女は、その人達に恩を返したいという一心で直向きに努力してきた。
『もう少し、大きくなってからでもいいのでは?』
「やだっ!!早くみんなの役に立ちたいのっ!!」
やめろ…
その人達に追いつきたくて、認められたくて…いつの日か、肩を並べて戦って背中を預けてもらえるように、人並み以上に努力を重ねた。
『…まだ槍は重いか…』
「むぐぐぐぐっ…」
やめてくれ…
どんなに厳しい稽古も、少女にとっては辛くなかった。何故なら、その人達が私の“我儘”を聞いて稽古をつけてくれているのだから、文句などある筈なかった。
「お願いっ、もう1時間だけ、稽古つけて…?」
『しょ、しょうがないわね…ちょっとだけだからね?』
もう見せるな…
少女は時間の許す限り、勉学の合間に様々な武器や道具の扱い方を学んだ。
『おぉ、凄いねぇ…その頃の私だったら問題を見て1秒で諦めてたよ…』
「早くないっ!?」
もうこれ以上見せないでくれっ…
だが、少女が一人前となった頃には、その人達の姿はなかった…
最後に見えたのは、その人達が地面に倒れ伏し、赤いポリゴンとなって砕け散っていく光景だった…
少女が追い求めた物は、もう何処にもない…
………
「ッ…最悪だ…スゥ…ハァ…」
そこで目が覚めたキルシュガルドは、荒い呼吸を整えるように深呼吸をする。
キルシュガルドは、今まで悪い夢を見ていたのではないかと、淡い期待をするが…自身のベッドに立て掛けている“聖魔剣”がそれを否定する。
聖魔剣:ディアルゴの所有者が自分である以上、あの人達がいないという事実が自身に襲い掛かってくる。
だが、聖魔剣:ディアルゴはあの人達の中でも“団長”がキルシュガルドの為に残した形見でもある。
「…クソが…なんて言ったら、あの人達なら『そんな汚い言葉を使う子に育てた覚えはない』って、叱ってくれたかな…」
その疑問に答えてくれる者は、居なかった。
“その人達”の身に一体何が起こったのかは、もう少し先のお話し…か、いつか書く外伝で明らかになります。




