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アイビス!  作者: フユルト
第二章 村への帰還と森の大精霊
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欲しいもの

「いや〜ありがとね?あのクソ鳥を殺処分してくれてさ!!」


カノンは自身の《自然魔法》を使って作成したまるでカフェのテラス席のようなテーブルと椅子を人数分出して寛いでいた。


それにしても…言い方酷くない?そう考えたのが伝わったのか、「分かってないなぁ〜」といった風に首を振る。


「朝、昼、夜欠かさず毎回絶叫してくるんだよ?しかも痛めつけたり半殺しにしたら更にうるさいし、全然逃げようとしないんだもん…ハァ、何度首チョンパしてやろうかと思ったか」


カノンはそう言ってまた遠い目をしていた。しかも瞳に光が宿っていないのが更に現実味を帯びている。


「まぁ、もうアイツはこの世から消えたし、これで安心して眠れるよぉ…あ、そういえばなにか欲しいものある?」


欲しいもの?…あぁ、そういえば倒したら何でもあげるって言ってた様な…


「ん〜、出来れば魔法とか使いたいかな?」


「私はそろそろ弓を変えたいですね、火力がどうしても足りませんし…」

 

「いいよ!ヒイナちゃんには新しい武器とかアクセサリー系にエンチャントすればいけるし、ネイルちゃんには特別なのを作ってあげよう♪」


カノンがそう言って指をパチンと鳴らすと、薄く七色の光りを放つガラスの様な、長方形の物体が姿を現した。


「あ、少しネイルちゃんの弓を貸してくれる?」


「はい、どうぞ」


カノンは「ありがと」と言ってネイルの弓を先程出現した長方形の物体に押し当てた。


すると、まるで粘土のように弓の型を取っていき、やがて弓を中心まで包み込むと、どういう原理か、弓の型を残してネイルが渡した弓だけが地面に落ちた。


「よ〜し、あとはコレに素材を流し込んで固まるのを待てば完成だよ!!」


そう言ってカノンは先程借りたネイルの弓を返した。


「ありがとうございます…それで、いつ頃できますか?」


「う〜ん、私が実際に作る訳じゃないからなぁ…」


「え?どういう事?」と、ヒイナが聞くと、どうやら制作するのは【火の大精霊:ヴァトス】という人物らしい。


カノン曰く、


「ヴァトスちゃんはね〜おっぱいが大きくて、ちょっぴりガサツだし、面倒くさそうに話すけど…でも、ちゃんと要望に応えてくれて、それに大人っぽくてかっこいいんだよ!!」


…という事らしい。


「今聞いてみるね〜…ヴァトスちゃん、ちょっと頼みたい事があるんだけど…」


『…なんだ?また誰かから安請け合いしたのか?』


「ギクッ!!…い、いや、これには深い事情が…」


的確に指摘され、変な声が出てしまったカノン。


『ハアァ…まぁいいけどよ。それで、何を要望されたんだ?』


「ありがとう、ヴァトスちゃん!!えっとねぇ…」


そして、カノンは私達の欲しい物や性能を伝えた。


『…他の仕事とかの都合を考えて弓は1週間と少しくらいだ。ヒイナって奴の要望を考えると最低でも2週間くらい掛かるぞ』


「そっか、じゃあそっちに弓の型を取ったやつ送るから〜ありがとね!」


『へいよ…あんまり人間を贔屓し過ぎるなよ?ただでさえ、他の種族がズルいって騒いでんのに』


それから、カノンと他の大精霊の事などを聞いたり、巫女の子供達と遊んでいるうちに夕暮れになっていた。


「じゃあ、私達は帰りますけど、ヒイナさん達はどうされますか?」


「いや、この二人は私のところで預かるから」


そう言ってカノンは巫女の女の子達を村に送り届けた。


「…単刀直入に聞くよ?」


「…急にどうしたの?」


カノンは先程会話していた時とは打って変わって、その表情は真剣そのものだった。


「君達は…魔王の仲間になるの?」


「え?私は倒す気なんだけど…」


その言葉を聞いた瞬間、カノンは先程とは違ういつもの少し抜けた顔に戻っていた。


「いや〜良かった。君達が異邦人だって事は装備の名前で分かってたけど、あっち側に着いてなくて嬉しいよ」


どうやら、カノンは私達の正体について知っているらしい。


「確か、君達ってこっちの世界と元の世界を行き来してるんでしょ?だったら正体が露見しないほうがいいかなって思ってさ。正体がバレると面倒くさいよ?」


あぁ、それで私達を預かるって…


そしてその日はカノンにお礼を言ってログアウトした。



――――――――――…


現実世界〜


「ふぅ、楽しかったな〜…あれ?なんか大量の通知が」




――――――――――


グリス:お〜い、バトル・フロンティアしないのかよ〜


グリス:最近全然ログインしてくれないし…


グリス:アタシけっこう寂しいぞ…うぅ


グリス:飽きちゃったのかよぉ…なぁ、一緒にやろ?


グリス:…早く通知してくれないとマジで泣くぞぉ…


――――――――――


「あ〜、最近忙しかったからなぁ…久しぶりに【グリス】に会いたいし、明日はバトル・フロンティアをしようかな?」


そして、ヒイナは返信することを忘れて明日の予定を考えるのであった。




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