不死身編その11
俺はGエナジーを購入した。そしていつもとは別方向へと向かう。来遊市の中心部にある大型ショッピングモールへと向かっていた。
理由は単純。これから富士見姫蓮と会う約束があったからだ。
昨日の出来事。結論から言うと、富士見の両親は助け出せた。しかし肝心の犯人には逃げられてしまったらしい。父さん曰く、『逃げ足の速い男だった。すまん!』とのこと。
俺もその時富士見の両親と顔を合わせることができた。どちらもとても穏やかそうな人だった。俺に深々と礼を言ってくれた。さすがに少し恥ずかしかったな。
「顔がにやけてるぞ。なに考えてんの? いやらしいこと?」
ヘッドホンが話しかける。俺は出来るだけ人とすれ違わないタイミングで返事をする。
「なにも考えてねーよ。そうだな、強いて言うのならGエナジーうめぇ! ってとこかな」
適当なことを言ってなんとか誤魔化す。そろそろショッピングモールへとたどり着く。
「遅いじゃない。レディを待たせるとはいいご身分ね」
そこには私服の富士見がいた。上はキャミソール、下はスキニーを履いていた。出会ったのは昨日だというのに、制服がいつもの格好というイメージが強かったので少し驚いた。
「お、おう。待たせたな。まあ行くか」
「アンタ、おどおどしすぎじゃない?」
「ふーん。あなたは私の私服を見てもなにも言わないのね」
気にはしているがな。
「え、いやそんなことないぞ。えっーとそうだな……すっげー似合ってるぞ!」
「ほんとに?」
顔が、近い。
「ほ、ほんとですって!」
「ふーん。ま、大目にみてやろう」
なぜ男口調なのか。と、いう疑問はさておき……
「……そう。逃げられちゃったのね」
俺たちは歩きながら現状報告をした。これだけは先にしておかなければならないと思ったからだ。
「だから一応気をつけろよ。またなにかコンタクトをとってくる可能性もあるんだから」
その男はおそらくこちら側の人間だ。なにを仕掛けてくるかわからない。用心しておかなければならない。
「ええ。しばらくはお父さんとお母さんにも家から出ないように言ってあるから」
あの両親のことだ。きっと富士見のことを心配するに違いない。
「両親は富士見が家を出ることには反対しなかったのか?」
あくまでその男が恨みを持ってるのは富士見だ。直接富士見をターゲットにする可能性も充分にありえる。
「大丈夫よ。襲われようが私は不死身よ? どうってことないわ」
「いや、その説得したのか?」
我が子の説得とはいえそんなに簡単に受け入れるだろうか?
「不死身のことを説明したら納得してくれたわ」
俺はGエナジーを青空に放出させた。
「おいおいきったないな〜。ちゃんと拭いてくれよ〜、隅々まで〜あんなところやこんなところまで」
「気持ちの悪い言い方をするな! ……じゃなくてだ! 富士見、不死身のこと両親に話したのか?」
「ええ。普通に受け入れてくれたわよ?」
やっぱり少し頭のネジがぶっ飛んでいたのかもしれないな。
「ま、まあいいよ。とりあえず飯にしようぜ。なんか食いたいもんとかあるか?」
「そうねぇ……私はあれが食べたいわね」
富士見はとある建物を指差した。
『怪獣レストラン』
そこにはそう書かれていた。
「ふ、富士見さん? いいのか? あんなんで?」
「ふふふふ。どんな子がいるのかしらー!」
なんだこれ。すごい目がキラキラしてる。
「富士見があそこがいいならいいんだけどな。でも地味に混んでるぞ」
「まあ待ちましょう! それともなに? この程度も待てないぐらいあなたは底辺レベルのせっかちさんなの?」
「ま、待つ! 待つから底辺なんていうな! とりあえずヘッドホン拭いてくるから先に待っててくれ」
「まるで赤ちゃんのオムツを替えてくるみたいな言い草ね」
「どこをどう捉えたらそうなるんだよ!」
「なあ、アタシはアンタの赤ちゃんなのか?」
とりあえずこの場から去ろう。




