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第九話 完成笹山家

 皆で食事を食べたところ、感動して涙をぼろぼろ流しながら食べ続ける者が続出し、詩歌は女神さまは料理までこなせるのかなんという尊きお方などともてはやされるも、私より冬夜さんの方が素晴らしい料理が作れますよというと、周囲からこれ以上の料理が、天上の世界は一体どれだけ

 そろそろ家を何とかしようとなり里長の家から少し離れた開けた場所に木の棒を使い実物大の図面を地面に書いていく。


「一人一部屋に、皆でいる部屋はダイニングキッチンでいいか、あと風呂とトイレは欲しいよな」

「洗濯場も必要だしだけど脱衣所兼用でいっか、寝室はやっぱり大きく皆で寝られる一部屋欲しい!」

『お客を泊める所はどうするのです』

「そもそも招待して止めるつもりはないから要らないけど、そうか倉庫…は空間収納あるから要らないか」


 そう言って地面に書いていくと、かなりの大きさに成っていく。

 個人部屋が六畳、ダイニングキッチンが十二畳、洗面所兼脱衣所が三畳、風呂が四畳半、トイレが洗面付きで二畳等となっていた。

 流石にやりすぎかと思いつつ、グレコに確認をとったところ問題ないどころかもっと広く神殿の様にしたらと言われてしまった。


「掃除が大変だからこれでいいし、これ以上大きくても落ち着かない」

「そうですか、残念じゃ。ではせめて像を」

「そんな目立ちたくないから!やらないでいいから!恥ずかしいよ!」


 詩歌が必死に断っていた。

 その後も色々と、どこをどうしたいだの話して図面を書いていくと夜も遅くなり、皆付き合うこともないから朝のお楽しみにでもしておいてくれと言うと解散して帰っていった。


 お父様お母様これでよろしいですかと聞かれ了承をすると、何やら集中し始め思念通話が飛んでくる。

『早速ですが、家の見た目から内装まで全てを想像してください、質感などもすべて』

 そう言われ、家具やら中身やらトイレやら風呂やら給湯器やらすべてを日本の平屋を想像し防音機能なども含めて事細かに想像した。詩歌の方もその辺まで想像したらしく、私とアカレ子ちゃんの部屋は任せてと言ったので任せた。

 すべての情報が出そろったところで、周囲の魔素が徐々にアカレ子へと吸収されていく。

 限界ぎりぎりまで集まったところで、術式制御を開始したのか徐々に額に汗をかき始める。

 暫くするとすべてが決まったのか、クリエイトイメージと言うと、図面を描いた地面の周囲が光に包まれ、徐々に光が治まると外見が日本の一般住宅としか見えないきちんとした壁と門と庭のある一軒家が出来上がっていた。

 光が治まると同時にアカレ子がふらつきそのまま気を失ったが二人に抱き留められ、そのまま家の中へと運ばれていった。


 本当に内装まですべてが完成していたが、家の要所要所で本来電力やガスや水道などと言った部分で形成される所には、スイッチやらの横に水晶球らしき物が埋め込まれていた。

 調べてみると、それらはすべて魔力や神力などを流し込むと動き出す仕組みに成っているらしく、家丸ごと一軒が巨大なアーティファクトとなっていた。

 冬夜は自分の部屋に移動してみたところ、炬燵の上にメモとノートパソコンが有った。

 それを読むと神力などはタンクがありそこに貯蔵しておける、周囲の余剰魔素を取り込んでの自動備蓄も可能。

 それとは別に、各機器の横にもありそちらにそそぐことで個別対応も可能。

 トイレ風呂の排水に関しては、浄化をかけ大地に還しているので問題はない。

 一応上下水道やらというよりはこの家一軒丸ごとは、現在の人が扱える技術のみですべて作られているが、正直作る費用的には大国の城丸ごと作る費用ですら足りないので、気を付けてほしいと書かれてもいた。


「ノートパソコンはあるけどこれ…アカレ子に接続されて検索できるだけの端末か、画像とか付きで解説が手に入るのか、直接で見るより分かりやすいなこれ」

「冬夜くーん入って良い」


 ドアノックと共にそう言いつつ開けて入ってくる詩歌さんであった。

 そのままこたつに入り、(ぬく)くないのを気にしたのか、水晶球に力を注いで動かしていた。

 あぁ~温くなったとほっこりするとタンスの中見た?と聞かれたので、まだと言って早速開けてみた。

 サラリーマン時に使っていた衣服が全部入っていた、材質まで再現されて。

 衣服に関しては劣化防止と自動修復と自動浄化が掛かっているらしい。


「詩歌さんやなんでそんなこと知ってるんだい」

「着替えて、おかし食べたら汚しちゃったんで、洗おうとして脱いだ時に引っ掛けて気づいた」


 てへぺろと口で言うもんだから、それはあざといっ!と言いながら抱きしめてしまった。

 下着も一応手洗いしてみたけど、洗い終わって絞ってみたら新品みたいになってたとの事で、劣化防止もあるんじゃないかな程度の認識らしい。

 だがこの服、この世界には合わないなと冬夜は悩んだ。

 大丈夫と詩歌が言うが、何が大丈夫なのかと聞いたら、シーツを見る限り生地自体はいいものが有りそうだから、それで皆にも服を作って広めていけば里の特色に使えるんじゃないかとの事だった。

 確かに、珍しく、見た目も悪くない服ではある。店の時の制服も実際のところは詩歌の手作り服だったりした。

 もし旅人が来た時に、見た目の良い人とは違う種族が、そういった服を着ていればそれは流行るんじゃないかとの事だった。

 全てを木綿みたいな生地で作ることに成るけど、染めればそれっぽくはなるし、頑丈にはなりそうだから、皆に広めていきたいとの事だった。

 細かい相談は明日にとの事で、今日は早速お風呂を入れて、二人でのんびり入った。

 控えめに力を注ぎこんでみたところ、体を洗っている最中に水が止まり再度注ぎ込むこととなった。

 風呂をあがると冷たいお茶を用意して一杯飲んだ後は、詩歌がデザインした寝室でワイドキングサイズのベッドにてアカレ子を挟んで川の字で寝た。

 だが翌朝まさかあんな事に成るとは思わなかった。

 門には呼び鈴までついていて、それが連打されたのか、ひたすら気の抜けたぴ~んぽーんという音が鳴り続ける。

ブクマポイントありがとうございます。

ちまちまとですが増えたり減ったりするのを見て一喜一憂しております。

不定期になりがちですがこれからも宜しくお願いします。

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