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ただ隣にいたからという理由で俺様公爵の婚約者になっただけなのに、何故か溺愛されています  作者: minori


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15.贈り物


 ユリアンとのデートから更に1週間経った。

 レオンハルトはまだ顔を見せない。

 レオンハルトに会えないまま、3週間の時が経ってしまった。


 いい加減、こちらからアクションを取ろうかと思ったのだが、なんと言っていいのかわからないまま時間が経っていった。

 仕事は捗っているし、私はなんら困る事はないんだけど、あんなに毎日のように来ていたくせに、ぱったりと来なくなるとなると、今度はどうしたんだろうと気になってしまって。


 執務机に向かったまま、羽ペンをくるくると回してぼんやりと思いにふける。


「飽きられたのかな……」

「セ、セシリア様?」

「あ……」


 ぽろりと出た言葉を運悪く、ちょうどお茶のおかわりを持ってきてくれたメイドに聞かせてしまった。やばい、聞かせてしまったと思っていると、メイドはお茶を机に置くなり、私に跪き、うるうるとした瞳で見上げながら弁解をした。


「セシリア様、そんな事は決してございません。ヘイスティングス男爵家様にお仕えするメイドの選定をした時も、それはそれはレオンハルト様が心を配っていたのです」

「皆さん良い人ばかりだから気を配ってくれたと思っていたけど、選んだのってレオンハルトだったの?」

「はい、セシリア様やセシリア様のおじい様、おばあ様が快適に過ごせるようにと細やかに私たちに指示をされました。レオンハルト様がこんなに細やかに誰かの事に対して気を配るのは初めての事です。ですから、レオンハルト様にとってそれだけセシリア様は特別で大切な方だという事でございます」

「あ、ありがとう……」


 メイドの熱弁に私は少し引きながら話を聞いていた。しかし、やはりかえっておかしいような気がする。

 レオンハルトがキスという名の医療行為をしてしまった事を理由にか婚約解消にノリ気ではない事はわかっていたが、なんでそこまで私にしてくれているのだろうか。

 既に戦争狂だの社交界の問題児だの言われている男が、私にキスをして婚約解消したところで何も問題はないと思うのだけど……。何か理由でもあるのだろうか。


「ねぇ、レオンハルトって私の事なんか言ってた?」

「愛しの婚約者様だから、丁重に対応しろと」

「それだけ?」

「意に反した者は首を刎ねるとも」

「物騒ね!?」

「当然でございます。次期公爵夫人に失礼など、あってはならない事なのですから」


 ストイックにそう答えるメイドのあまりにも精悍な顔立ちに、思わず笑ってしまう。

 さすが戦争狂のメイドだ、面構えが全然違う。こんなに愛らしい顔をしているのに、仕事の話となるとこんなに顔つきが変わるものなのか。

 私がくすくすと笑っていると、メイドは何をそんなに笑っているのかといった顔できょとんと私を見つめた。私はずっと跪いていたメイドの手を取って、立たせる。


「ありがとう。家の事と仕事をしていたから、あなた達が来てくれて随分と楽になったのよ。公爵様にもお礼を言わないとね」


 私がそう言うと、メイドはぱぁっと顔を明るくした。


「早速お手紙を出されますか?」

「手紙?」

「はい、セシリア様からお手紙をもらったらきっと大変お喜びになられますよ」


 邪気のない笑顔でそう言われると、せっかくの提案を無下に断れない。

 

「じゃあ……書いてみようかな」


 便箋を取り出してみたものの、真っ白の大きな紙を埋めるほどの何を書けば良いか分からない。

 しばらく便箋に向き合って手が止まったままでいると、メイドが再度微笑みながら提案をしてくれた。


「何か贈り物にメッセージカードでも良いかもしれませんね」

「あぁ、そうしようかな。……でも、何を贈ろう。何か好きなものってあるかな」

「公爵様はサンドイッチをよく好んで召し上がってましたが……贈り物としては不適ですね」

「嫌いなものとかはないの?」

「はい、そうですね」


 私もレオンハルトは1度しか攻略した事がないし、好きなものも嫌いなものも覚えていない。

 しかも公爵家への贈り物なんて、美味しいものは料理人が作ってくれるだろうし、うちにとって高価なものは公爵家にとって粗品くらいだろうし。

 改めて思ったけど、私……レオンハルトの事、よく知らなかったんだな。


「花、なんて……いらないよね」

「お花! 良いではありませんか。公爵様、お花もお好きですよ」

「え、そうなの?」

「はい。特にこちらの領地の花がお好きで、よく自室に飾られておりました」


 あの屈強な男が花を愛でると……?

 正直信じられないし、花畑に行った時の様子からあまり想像がつかないけど、でもメイドがそういうのだからそうなのだろう。なんだかレオンハルトという人間がますます分からなくなってきた。


「花畑に行ったときはそんな風に見えなかったけど」

「照れていらっしゃったのかもしれませんね、少年のようなところがございますので」


 あんな屈強な戦争狂が、そんな思春期の男の子みたいな事あるのかしら……。


 それにしてもユリアンといい、メイドといい、私から見たらただの我が儘俺様公爵にしか見えないのに、何がどう見えてそのように見えるのだろうか。謎だ……。


「せっかくだし、花畑で自分で摘んでこようかな」

「それは良いですね! 早速準備いたしますね」


 メイドは嬉しそうに微笑むと、ぱたぱたと慌ただしく動き始めた。

 まさかこんな事になるとは思わなかったけど、気分転換にこんな日も良いかもしれない。


 私はメッセージカードにさらさらと書いた。


『レオンハルト様

 メイドから大変気を配って人選をしてくださったと聞きました、ありがとうございます。

 しばらく拝見しておりませんが、お体お気をつけて』


読んで頂きましてありがとうございました。

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