ミッション5:第2のリープ先「高校の文化祭」 / 1
しじみ、あさり、はまぐりを犠牲に俺と母ちゃんがリープしたのは、俺の高校の文化祭の中心だった。俺の隣りに立つ母ちゃんの表情は険しい。俺以外の、予想外の被害者を出してしまったからだろう。何とも言葉を掛けづらい。しかし、俺まで凹んでいるわけにいかない。俺なりに考えてみるか、タイムリープの仕組みについて。
まず、第1のリープ先は、母ちゃんの荷物持ち中だった。俺は高校生だった。そして、第2のリープ先はここ、俺の通っていた高校の文化祭。今、俺は学ランを着ているので、またも俺は高校生だ。で、2つのリープ先に共通するところはどこか。俺が、高校生であること、だ。しかし、母ちゃんの死因と俺が高校生であること、どう関係があるのか。
とりあえず、また歩き回るしかないか。さっきは実家に帰ることでしじみと遭遇し、今に至ったし、動いているうちにまた何か起きるかもしれない。希望的観測だが。
「大介、あんた、ここでは何年生?」
「……さぁ。学ランなんて1年も2年も3年も留年も変わらないし。俺、学生証なんて持ち歩いてなかったし。で、俺の学年が分かったら、何か分かったりする?」
「さっきと同じ学年なら、少しは絞り込みが出来るかと思ったのよ。でも、そもそもさっきが何年生だったのか分からないし、特定は無理そうね。一体どうなってるのかしら」
いきなり詰んだ感。そして、俺は厄介なことに気付いた。周囲からしてみたら、今ここにいる俺は(何年生かは不明だが)高校生の伊山 大介。未来からタイムリープしてきていることを悟られてはならない。
……ん?ちょっと待てよ?そもそも、母ちゃんが高校の学園祭に来て、俺と一緒に行動していたのは、まだそこまで大人ぶっていなかった高校1年の時だけだ。つまり、今の俺は高校1年生。さっきの俺が高校何年生かは分からないが、もしかすると、高校1年生だったかもしれない。その可能性は大だ。
でも、高校1年生の俺と母ちゃん、社会人になった俺と還暦を迎えている母ちゃん。その死因。どう結びつく?母ちゃんの死因の謎は深まるばかりで、何だか頭痛がしてきた。




