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40/64

40:殺意の咆哮

流れ変わるので初投稿です


 集落は惨憺たる有り様となっていた。

 ただ黒龍が舞い降りただけで、凄まじい衝撃波が発生。

 それによって数多の民家が崩れ、吹き飛んだ破片と塵埃じんあいが立ち込めていた。

 

 そんな状況の中、片腕を失って倒れている俺は、絶望の闇に囚われていた俺は……ふと思った。

  


 なんだか腹が立ってきたな、と。



 ――器! 逃走、ヲ!――


(黙れ)


 ――!?!?!?!?――

 

 馬鹿なことを言うなよムラマサ。

 とっくに逃げられる状況じゃないし、何より今は……逃げたい気持ちがまったく湧き上がらないんだよ。


『ガァァァアアアアアーッ!』


(うざ……)


 ドラゴンの咆哮が耳障りに感じる。

 さっきまでは死ぬほど怖く思っていたが、どうせ俺はもう死ぬからな。一度絶望しきったおかげか恐怖をまるで感じない。

 それよりも、俺の心にあるのは怒りだ。


(……なぜ俺が、こんな辛い目に合わなきゃいけないんだ?)


 片腕をなくし、全身は裂け、腹の中の感覚はもう滅茶苦茶だ。

 ムラマサのせいで無駄に暴れて目立った結果、王族の命令により、ドラゴンと戦って死ぬことになってしまった。


(ああ、どうしてこうなってしまったのか。どうして俺は辛い目に合っている?)


 どいつが一番悪いのかと考えたら、やはり元凶のムラマサか? ――違うだろう。

 奴との出会いは偶然だ。そしてアイツに悪意はなく、ただ自分の食欲を満たしたがっているだけだ。


 じゃあ、直接殺しに来ているドラゴンが悪いのか? ――それも違うだろう。

 奴が激怒している原因は、俺が縄張りに入ってしまったことだ。致命傷を負わされた恨みはあるが、奴とは本来無関係でいられたはずなんだ。

 ならば、


(最も悪しきは宰相と王族か。し、分かった)



 ――殺そう。死ぬ前に奴らをブチ殺してやろう。

 それを邪魔する者も含めて、一匹残らず惨殺してやる。


 

(ムラマサや黒龍とは違い、連中の指令には明らかなる『害意』があった……。よくも、この俺を、傷付けようと思ってくれたな……?)


 怒りと共に立ち上がっていく。

 左腕が欠けたせいでふらつくが、その隙に黒龍が攻めてくることはなかった。


『グ、ガァ……!』


 奴は酷く警戒していた。

 俺が五体満足だった頃よりも、注意深く瞳を光らせていた。


(あぁ、それで正解だよ黒龍。――お前を殺せるだけの手は、既に揃っているからな)


 塵埃の中より姿を現し、俺自身の意思で黒龍に歩み寄る。

 ドラゴンから逃げていく民衆たちとは逆に、殺意を以って接敵する。


(俺を虐げたお前も殺す。お前を殺してでも王族共を殺す……! たとえこの場限りでも、殺すために生き抜いてやる……!)


 死にかけているせいか思考が変だ。こんなに怒っているのは初めてだ。

 

 だから今だけは、自己保身のためじゃなく嫌がらせするために演技しよう。

 ――下劣な王族共に当てつけるよう、『悪を赦さぬ断罪者』として鮮烈に戦ってやろう。

 奴らの耳にも届くよう、俺の雄姿を人々に見せつけてやろう――!

 

「民衆たちは傷付けさせん。俺が、相手だ……!」

 

 過去最大に凛々しい顔で、龍の前へと立ちはだかる。

 さぁ、


(力を貸せ、ムラマサッ!)


 ――ッ、御意!――


 殺意おもいを合わせて地を蹴った! 地面が砕けるほどの力で一気にドラゴンへと踏み込む――!


『ガァッ!?』


 虫の息であるはずの俺の加速に、黒龍が戸惑いの意思を見せた。

 そんな身体でどうして動けるのかと。


(俺は魔剣に呪われた身だ。離れていようが繋がりは切れず、生きてる限りはムラマサが俺を操ってくれる!)


 魔剣によって突き動かされながら、俺は右手の銃を構えた。


「滅ぶがいいッ!」


 大口径銃『黒業死銃アーラシュ』を突き付け、零距離射撃を実行する。

 その砲身から破壊光が放たれんとした刹那、黒龍は素早く舞い上がった。奴が初めて回避行動を見せた瞬間だ。

 狙いを外した破壊光は村の外の森にまで伸び、何百本もの木々を焼き焦がした。本当に恐るべき威力だな。


(ドラゴン。お前が俺を本気で殺そうとしたのも、コイツを撃とうとした時だったな? つまりは至近距離でブッぱなせば、お前にも効くってわけだ)


 それと、だ。超破壊力の代わりに使用者に死を迫るアーラシュだが、その前兆は一切なかった。

 当然だよなぁ?


(満足してるんだろうアーラシュ? 何せ今の俺は、いつ死んでもおかしくない状態だもんなぁ!?)


 “美青年主君四肢欠損内臓破裂出血多量全身骨折ッ! 嗚呼ァ尊尊尊ッ! 散華散華ェェエエー---ッ!”


 絶頂の叫びが銃から響く。

 瀕死の身体で死闘に挑む俺に対して、大興奮しているらしい。

 よしいいぞクソ野郎。好きなだけ俺に欲情しろよ。その代わり、全力で俺に従いやがれッ!


『ガァアアアアアアアアアアーーーーーーッ!』


 怒りの咆哮が天より響く。

 浮かび上がった黒龍の両翼から、二つの呪法陣が現れた。

 まるで巨大な目玉のようだ。それらは地上の俺に照準を合わせると、濃密な魔力を収束し始めた。


「ああ――翼を起点に、風の呪法を使う気だろう? 知っているさ」


 次の瞬間、龍の翼へと鋼の雨が降り注ぐ。

 ソレらは薄い翼膜を貫き、四十七もの穴を開けた――!

 

『グガァァアアッ!?』


 驚愕と激痛に吼える黒龍。両翼が傷付いたことで呪法陣が霧散し、放たれんとしていた暴風が無作為に吹き荒れた。自身の風に弄ばれ、奴の巨体が墜ちていく。笑えるな。


「ドラゴンが呪法を使うことは聞いていた。後はソイツがどんなモノか特定するだけだが、少し考えればすぐわかる。

 ――お前みたいな駄肉の塊が、素早く飛べるわけがないとなぁ……!」


 つまり黒龍の呪法は『風力発生』。羽搏はばたく力を暴風により強化することで、あの巨体での高速飛行を可能にしていたわけだ。

 

(仕掛けが分かれば対処は簡単だ。種の出所を、潰せばいい……!)


 俺の周囲に四十七の黒き短刀・『黒血染刃ダインスレイブ』たちが舞い降りる。

 黒龍の翼をズタズタにしたのはコイツらだ。今や吸血刃の群れは、空を泳ぐことが可能になっていた。


(助かったぞ、ダインスレイブ。俺の左肩の血を止めてくれたのは、お前だろう?)


 “ヒェッ……!”


 なぜかキョドってる吸血刃が可愛い。コイツは命の恩人だ。

 ――そう。俺の左肩の切断面からは、なぜかほとんど血が出てなかった。どういうわけか瘡蓋かさぶたになっていたのだ。

 それに気付いて思い出したさ。


(ダインスレイブの元の持ち主は、血液を巨大な刃にして飛ばしてきた。

 つまりコイツは吸った血を主の活力に変えるだけじゃなく、ある程度操れるってわけだ)


 刃にして飛ばすことが可能なら、短刀に纏わせて『浮け』と命じることもまた可能。

 そう判断した俺は、塵埃の中から歩み出るタイミングで、上着の内側より全ての短刀を解き放っていた。

 そして俺へと注目が集まっている間に、上空へとダインスレイブたちを移動。ここぞという時の奇襲に使わせてもらった。


『グゥゥガァァアアアーーーッ!』


 怒りを爆発させる黒龍。このまま落下してなるものかと羽搏こうとするが、無駄だ。


「――遠隔起動、『黒拷縛鎖こくごうばくさアイトーン』」


 “ハハァ!”


 瞬間、龍の首に巻き付いたままとなっていた鎖が蠢く。

 その長さが一気に伸び、奴の両翼へと絡み付いていった――!


『ガァアアアアッ!?』


 ありがとうなアイトーン。

 完全に抑え込むのは無理みたいだが、少しでも羽搏くのを遅く出来たら御の字だよ。

 だってほら、そのおかげでドラゴンは。


「もはや無様に墜ちるだけだ」


 かくして次瞬、特大の爆音を立てて黒龍が地に落下した。

 奴の血肉がはじけ飛び、雨のように降り注ぐ。


『ギゲェエエエエエエェェエエエッ!?』


 村中に響く苦悶の絶叫。

 何十トンあるかもわからない身で墜ちたのだ、間違いなく内臓までもがグチャグチャだろう。

 これで俺たちお揃いになれたな?


『ガ、ァアア!』


 悶え苦しむ黒龍だが、それでも奴は闘志を保っていた。最後の意地とばかりに、凶悪なる裂爪を俺に振り上げる。

 ああ、


「ちゃんと腕も千切らないとな」


 恐れることなく魔銃を放った。

 射出された破壊光は奴の腕を引きちぎり、大量の鮮血を溢れさせた。


『グギュィイイイイイイイイイッ!?』


 激痛に身悶える哀れなドラゴン。

 奴が大きく身体を痙攣させた瞬間、背に刺さっていたムラマサが抜け飛んだ。

 それはまるで運命のように、俺の下へと突き刺さる。


「おかえり、妖刀」


 刀を手にして黒龍に近寄る。もはやダメージで動くこともできないようだ。

 一歩、一歩と歩むたびに、猛々しかったドラゴンの表情が歪んでいく。

 奴の瞳に漆黒の刀が反射する。

 

 ――『黒妖殲刃ムラマサ』。俺の人生を変えた最悪の刃。

 色々と気に食わないゴミみたいなパートナーだが……一つだけ、気にいってるところがあるんだよ。

 

(お前って、見た目だけはカッコいいよなぁ)


 そして――さくり、と。

 俺はムラマサを構えると、ドラゴンの眼球に突き入れた。

 柄を通り越して肘までねじ込み、そのままぐるりと捻った瞬間、


『ガッ、ァアァァアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーッ!?』


 眼球の奥で、ナニカがぐちゅりと崩壊した。

 それと同時に上がる悲鳴。黒龍は断末魔を上げながら悶え続け……、


『ァ、アァ――』


 ついに、絶命したのだった――。


「フ……」

 

 俺は刃を引き抜くと、天高らかに突き上げた。

 視線を遠く周囲にやれば、村の外れにはこちらを呆然と見る民衆たちが。

 気配だけでわかっていたさ。闇雲に逃げていた彼らだが、その足は途中で止まっていた。

 なにせドラゴンがまったく追ってこず、振り返れば魔導騎士により圧倒されていたんだからな。

 

 さぁ、彼らに言い放ってやろう。

 王族共に邪魔と思われた俺が、何の血筋も持たない俺が、国の伝説となるように。人々の心に刻まれるように。

 どこまでも雄々しく、『断罪者』として振る舞ってやろう。

 

「――悪よ、滅びろ。このクロウ・タイタスがいる限り、帝国の平和は揺るがせないッ!」




呪い装備ズ(((う、器さん!?!?)))


『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』

と思って頂けた方は、感想欄に希望やら疑問やらを投げつけたり最後に『ブックマーク登録!!!!!!』をして、このページの下にある評価欄から『評価ポイント!!!!!!!!』を入れて頂けると、「出版社からの待遇」が上がります! 特に、まだ評価ポイントを入れていない方は、よろしくお願い致します!!!



↓みんなの元気を分けてくれ!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] アーラシュから業の深い貴腐人の臭いがする
[一言] 美青年主君四肢欠損内臓破裂出血多量全身骨折ッ! 嗚呼ァ尊尊尊ッ! コイツッ!ただの変態性癖やろうだッ! 申し訳ないがッ!リョナはNG!
[良い点] これはいい覚醒 呪い装備もビックリ [気になる点] 500m怪獣が数十トンだと精々車十台くらいなので実際は数千倍は重そう
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