↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
41/64

41:次なる魔の手

貧乏令嬢の仕事がいただけたので初投稿です!



「なっ……『天滅のニーズホッグ』を、倒しただと……!?」


 黒魔導組織『黒芒嚮団《こくぼうきょうだん》ヴァンプルギス』が首領・ヴォーティガンは絶句した。

 玉座の上で震え上がる。“何なんだ、あの男は”と。


「クロウ・タイタス……! 優秀な騎士だとは思っていたが、まさか、こんな……!」


 相手は神話の邪龍だぞ? 『七大災禍』と謳われた強敵だぞ? 大昔の魔導騎士たちが、命を捨てても封印することしか叶わなかった存在なんだぞ? これからの計画の要なんだぞ?

 それをお前は、どうして倒してくれてるんだよ……。


「さ……最初は圧倒されていたはずだ。ニーズホッグから逃げ惑うしかなかった。小細工を使って反撃に転じた後も、すぐさま半殺しにされていた……」


 全身を挽き肉にされ、片腕を失い、そのままどこかの集落へと落下したクロウ。

 その時点でヴォーティガンは勝ちを確信した。あの傷では、もはや黒龍がとどめを刺すまでもなく死ぬだろうと思っていた。

 だが、


「あそこからだ……瀕死の身体になってから、ヤツの戦闘力が跳ね上がった……!」


 そして幕開ける虐殺劇。

 伝説の邪龍が嘘のように弄ばれた。すべての挙動を叩き潰され、一方的に命を摘まれた。

 あの時のクロウはまさに死神。黒龍の視界を借りていただけに、ヴォーティガンの感じた脅威は計り知れなかった。

 筋骨隆々とした腕が、情けなくも恐ろしさで震える。

 

「ハハッ……クロウよ、オレぁお前さんが憎らしい。おかげで二十年間も練り続けてきた、帝国の連中を苦しめまくる計画が狂っちまったよ。だが……くく、なるほどなぁ……!」


 ヴォーティガンは小さく笑う。

 テロ組織の王としてでなく――かつて、『レムリア帝国の王になるはずだった者』として。


「――民(・)衆(・)た(・)ち(・)を(・)守(・)る(・)た(・)め(・)に(・)力(・)を(・)発(・)揮(・)す(・)る(・)と(・)は(・)、カッコいいじゃねぇかよクロウ!」


 彼は堪らず破顔すると、心からの賞賛を送った――!

 そう。盤面が狂ってしまったのは、偶然にもクロウ・タイタスが小さな集落に落下してしまったからだ。あそこで運命が変わってしまったのだとヴォーティガンは確信する。


「龍が飛来し、民衆たちの逃げ惑う声が響いてからだ。あそこからあの坊主は、恐ろしいほどの変貌を遂げやがった……!」


 人々の叫びに応え、クロウ・タイタスは立ち上がった。

 そして放たれた雄々しき宣誓。『絶対に人々を守り抜く』という騎士としての誓い。

 それと同時に溢れた殺意は、まさに正義の心の現れだった。


「半死半生の身だろうが関係ない。誰かを守るためならば、修羅へと覚醒できる男か……!」


 悪を赦さぬ断罪者、クロウ。

 かの若者に対し、黒魔導の王は尊敬の念を抱いた。彼にならば裁かれてもいいと、嘘偽りなく思ってしまった。

 

 ――なお。実際にはクロウに守護の気持ちなど一切ないのだが。

 ただ単純にブチ切れまくって鬼と化しただけなのだが、ヴォーティガンには彼が最高の騎士にしか見えない。

 “自分という魔王に対し、時代は勇者を輩出したか”と的外れな妄想に酔い痴れていた。


「クククッ……いいぞクロウ、近いうちに顔を合わせよう。そろそろオレも、舞台に上がってやろうじゃねえか……!」


 対峙する瞬間を心待ちにするヴォーティガン。

 彼は顎髭を撫でながら、「だがその前に」と言葉を続け……、

 

「――生き残ってみせろや、クロウ。あのクソビビりな帝王は、ある意味オレより恐ろしいぜ……?」





新作です↓!

『異世界メシ屋一代記 ~料理一つで、悪徳都市を成り上がる……!~』

https://ncode.syosetu.com/n0022hv/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] クロウさんは隠れファンをゲットしたwww てゆーかヴォーディガンさん違うそうじゃないwww
[良い点] こっちサイドの盛り上がりがクロウくんをさらに盛り上げる [気になる点] なんかちょっと物足りん [一言] 更新されるとニヤッとしちゃう 次も楽しみにしてます!
[一言] 自分を魔王だと思い込んでる一般異常者と、自分を一般人だと思い続けてる他称勇者。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。