英雄の逆鱗
こんな序盤からチート無双するのはどうかとは思いますが…まぁ、よしとします。
~side蒼穹~
「さて、後は防衛軍か…ヤタガラスより第3特務隊へ。後掃除を頼みます。これより本機は防衛軍への攻撃を開始します。」
それだけ言い残し、防衛軍へと進路を変更する。
「おい、ちょ、待て。」
制止の言葉をかけられるも無視して飛び立つ。
「…アイツ、どれだけ魔力持ってるんだよ…」
~side龍ヶ崎~
「出雲第3艦隊消失、正体不明機こちらへと接近。将軍‼ご指示を‼」
通信越しに部下の悲鳴が聞こえる。
あの魔術機はなんなのだ
どうして一機で艦隊を消すことができる
自分達はどうするべきなのか
そのような悲鳴が聞こえてくる。
指示を将軍。
どうすればいいですか、将軍‼
将軍
将軍
そう私に部下が問いかけてくる。
「真辺を呼び出せ‼」
自分ではこの状態を打開する術を考えられず、優秀な司令官を呼び出すが
「将軍がクビにしたじゃないですか‼」
とだけ返ってくる。
「クソ‼」
そう叫びながら画面を殴る。画面を殴ろうと状況が変わることはないと知りながらも
「とりあえず、あの魔術機に通信を繋げ‼私が奴と直接話す‼」
そう怒鳴りつけ、通信を繋げさせるが
「将軍、回線を繋ぎました。」
「よし、こちらは山城防衛軍大将龍ヶ崎龍人である。貴様らの実力はよくわかった。今武装を解除するなら私も退く。」
「…………」
「何か応えろ‼この田舎騎士がぁ‼」
何様のつもりだコイツ?目上の人の話を聞くようにとか親から教わらなかったのか?
「敵機が我が軍と交戦を開始。…奴は化け物か…」
と、報告が入る。
「どうした‼何があった?」
「敵機との交戦開始30秒で駆逐艦が1隻轟沈しました。」
…は?駆逐艦が30秒で轟沈しただと?
どうすればいい?
あやつの弱点はなんだ…
奴とて魔術機
還る船が無ければ数で押せるのでは?
いや、押せる押してみせる。
私には第3世代魔術機の「暴龍王」がある。やれないことはない。
「よし、部隊を2つに分ける。私が率いる本隊は敵母艦を叩く。もう1つの部隊は所属不明機と交戦。これより旗艦と暴龍王以外は無線を封鎖する。」
部下から文句を言われる前に通信を遮断し、速やかに敵母艦へと転身する。
それが破滅への道と気付かぬまま。
~side天斬綾音~
「敵艦がヤタガラスとの交戦を中止?進路反転?…ここを狙うつもり?それならまずい…エンタープライズ聞こえる?」
システムを介してこの艦の主へと指揮を伝える。
「こちらでも敵の接近は把握している。無人機を発進させるが、何かあるのか?」
そう聞き返してくるエンタープライズ。本当、この子は優秀だ。今更だけど、私が指揮する意味あったかな?
「対空砲起動。『グレイ・ゴースト』1番機から4番機を射出。さぁ、防衛軍共全て蹴散らしてやるからかかってこい‼」
前言撤回、うちの艦好戦的過ぎてダメだ…
「エンタープライズは自衛を最優先に、無理して敵を蹴散らそうなんて考えないで。」
「了解した。」
「システムよりヤタガラスへ、敵本隊がエンタープライズへと進行中。救援願います。」
そう蒼穹君へ通信を送ると
「了解した。すぐ行く。」
と、返事が来た瞬間。モニターから足止め部隊が消えた。
「…やり過ぎだって…蒼穹くん…」
思わずシートの上で脱力してしまった。
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