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【91本目】黒いジャガー(1971年・米)

 エギルが在日黒人仲間と組んでVRゲーム上の難事件を解決するSAOのブラックパワームービー風スピンオフが作られたら絶対見る。




【感想】


 1970年代前半のハリウッドはニューシネマ全盛期だったこともあってそれなりに激動の時代でしたが、そんな中でも流行だったジャンルが二つありました。




 一つは、現代の街中を舞台にしたクライムサスペンス映画。クリント・イーストウッドの【ダーティ・ハリー】シリーズや、アカデミー賞受賞作の【フレンチ・コネクション】なんかが有名ですね。


 もう一つは、黒人の観客層を意識して作られた、黒人が主人公として大活躍するブラックパワームービー(ブラックスプロイテーション映画)。【吸血鬼ブラキュラ】【ブラッケンシュタイン】(ドラキュラやフランケンシュタインが黒人のホラー映画)みたいな色物を含むジャンルでもあります。




 で、この二つの流れを両方持ち合わせた映画こそ、黒人私立探偵ジョン・シャフトを主人公とした1971年の映画、【黒いジャガー(原題:SHAFT)】です。


 黒人を主人公としたクライムサスペンス映画はこの映画以前にもアカデミー賞映画【夜の大捜査線】なんかがありますが、主要人物のほとんどを黒人で固めたこの【黒いジャガー】は直球のブラックパワームービー系クライムサスペンスと言えるでしょう。


 犯罪の多いニューヨークの黒人居住区で起こった一つの事件と、水面下で起きる緊張をテーマにしたこの映画は、50万ドルという低予算(同年の【フレンチ・コネクション】が180万ドル)ながら大ヒットし、二つの続編も制作されました。




 この映画で僕が特に好きな要素は、各登場人物が人種を理由に暗黙の連帯感とかを持っていない点ですかね。主人公・シャフトも、マフィアのボスも、旧友の過激派グループのリーダーも、全員自分のコミュニティのことしか考えていないんですよ。お互い対面すると終始ギスギスしてますし。


 結果的にではあれ、【人種マイノリティにもいろんな人間がいる】という事実を描写することに成功しているので、下手な黒人差別を描いた映画よりも、黒人コミュニティを理解できる映画だと思いますね。


 また【夜の大捜査線】のように人種間の友情なんかが強調されることもなく、白人の警部補とは終始情報を交換するだけの間柄で終わるのもポイントですね。




 後、公民権運動の影響が糸を引いている1970年代特有の不穏さが随所に見られるのもこの映画の特徴です。旧友・ベンが過激派のリーダー、という点もそうですが、劇中でしれっと【パンサー】(多分ブラックパンサー党のこと)というフレーズが使われたり、マフィア闘争が黒人と白人の銃撃戦に発展する可能性が示唆されたりと、当時の米国都市部の社会的緊張が色濃く反映されています。




【好きなシーン】


 1970年代だけあって、ポリティカルコレクトネス?何それ?と言わんばかりに白人たちが差別的な言動を繰り返しますね。イエローキャブが人種を理由にあんなナチュラルに乗車拒否するの、当時特有って感じでゾッとしました。


 ただそんな人種差別にも、頭をフル回転させて即ウィットに富んだ返答で返すシャフトが痛快なんです。


 白人の刑事が【お友達(黒人)はみんなそんな武器ナイフとかメリケンサックとかを持ってるのか?】と問いかければ【時々持つよ。お守りは最近持たないけどね】と返したり、ツレの警部補に【これ(黒い万年筆)ほど黒くないだろ?】と軽い気持ちで言われれば【あんたはこれ(白いマグカップ)ほど白くないもんな】と返したりするシーンは、ラップバトルのdisり合いを見てるようでした。




 そして忘れちゃいけないのは、冒頭の【黒いジャガーのテーマ】に代表される最高にかっこいいファンク・ソウルミュージックの流れるパートですね。音楽を手掛けたアイザック・ヘイズは【黒いジャガーのテーマ】でアカデミー歌曲賞を受賞していますが(作曲賞にもノミネート)、これぞブラックミュージック、って感じのメロディに乗せてニューヨークのあまりきれいじゃない道路を歩くシャフトはザ・ハードボイルドって感じであまりにも様になっていました。


また個人的には30分前後で流れる靴を買う金すらない黒人の貧困状況を切実に歌っている【Soulsville】も印象的でした。

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