【68本目】アリス・イン・ワンダーランド(2010年・米)
カクヨムでこれ執筆したのは3月。
まさかこのあとムーランが配信オンリーになり、
あまつさえ黒い噂が明らかになろうとは……
【感想】
最近往年のディズニー映画が次々と高クオリティのCGを駆使した実写映画としてリメイクされてますよね、【アラジン】とか【ムーラン】とか(【ライオンキング】はちょっと違うけど)。
【101匹わんちゃん】→【101】のようにアニメの実写化自体はわりと前からやっていますが、最近のCGを駆使した実写ディズニー映画の口火を切ったのは、この【アリス・イン・ワンダーランド】と言えます(正確にはリメイクというか続編だけど)。
2010年のアカデミー賞では視覚効果賞含む3部門にノミネート、うち美術賞と衣装デザイン賞を受賞したこの映画は、かつて【ふしぎの国のアリス】をアニメ映画化したディズニーと、【シザーハンズ】【チャーリーとチョコレート工場】のティム・バートン監督がチームを組んだ映画です。
2010年に公開された映画の興行成績ではあの【トイ・ストーリー3】に次ぐ好成績を残しており、それでか2016年に続編も公開されてたりします。
出演者はティム・バートン映画ではおなじみのジョニー・デップに加え、アン・ハサウェイやヘレナ・ボナム・カーター、声優としてアラン・リックマンやクリストファー・リーと、ティム・バートン映画でもなかなか見ないレベルで豪華な面子になっています。アリス役はというと当時新人のミア・ワスコウスカが演じています。アリスにしてはちょっとゴツくない?みたいな表情を劇中何度か魅せますが、ちゃんと後半で意味のある配役である音がわかります。
物語は成長した(ハイティーンくらい?)アリスが、再び不思議の国に舞い戻るという形でスタートします。ディズニー映画の【ふしぎの国のアリス】に比べると(というか歴代アリス映画と比べると)、主人公に与えられた役割と倒すべき悪役、守るべき仲間がいたりして、良くも悪くも一本筋の通ったストーリーのある話になっています。ある意味アニメ版以上に、異世界召喚系ファンタジーもの的と言っていいかもしれません。
後のディズニー映画では【スノーホワイト】で白雪姫が鎧着て戦う女戦士になってたりしますが(【アナ雪】でもほとんどアナがヒーローだし)、この映画でもアリスは翻弄されたり守られたりするだけのお姫様ではなく、自分で物語を解決していく主人公として描かれており、ある意味で2010年代のディズニープリンセス像のひな型と言えるかもしれません。
【キャラについて】
アニメ版【ふしぎの国のアリス】と違って、それなりに成長した女性が主人公なんですが、上記の通りこの映画にストーリーらしいストーリーが存在するのって、アリスが成長するにつれてある程度固定観念みたいなのが身についてしまったことの暗喩な気がして、若干もの哀しいですね。
今作でのアリスはパーティーだの、結婚話などの社会のしがらみと向き合わざるを得なくなる立場になっています。そんな彼女が現実世界の固定観念とは無関係の奇想天外なファンタジーの世界を闊歩することによって自己肯定感と勇気を持ち、現実世界に帰って固定観念に縛られない生き方を始める、という、最近よくある【現実世界で生きる勇気を与えてくれるファンタジー】というテーマの物語になっています。
ただアニメ版ではあの不思議の国は、特にテーマとかなくそこに存在するだけの世界だった、という印象があるんですよね。偏った見方かもだけど、不思議の世界が本作ではアリスが勇気を持つための舞台装置と化してしまっていることに、解釈違いを起こす人はいるかもしれません(自分はこれはこれでって感じだったけど)。
【好きなシーン】
冒頭の色々奇想天外で荒唐無稽なアリスの夢をちゃんと聞いた父親が、「おかしい人間は大体優れているんだ」と娘に言ってあげる場面はジーンとさせられます。
「おかしくない」って言うんじゃなくって、「おかしいけど、おかしいままでいい」って言ってあげる励まし方はね、ベタだけど親が子にしてあげられる最高の個の尊重って感じですよ。
またお父さんの名前が【チャールズ】なのがね、またニヤリとさせられるんですよ。ルイス・キャロルの本名のファーストネームもチャールズなんで。
自分の意思で父親の跡を継いで貿易商としての道を歩んでいくアリスが、見知らぬ国で飛ぶ蝶々に「アブソレム……」と声をかけるシーンも好きです。ファンタジーに支えられて現実を歩みだす人間が美しく描かれたラストシーンだったと思っています。




