【54本目】1941(1979年・米)
【1917】を紹介すると見せかけてこの映画、っていう邦キチがよくやる演出で紹介できそうな気もしたけど【1917】はすでにレビュー済みだった。
【感想】
年に1回しか映画を観ていないような人でも【ジョーズ】以降のスティーブン・スピルバーグ監督のヒットメーカーっぷりはご存じかと思われます。【ジョーズ】第1作に始まり、【未知との遭遇】【レイダース】【E.T.】など、現代でも語り継がれる名作ばかりを世に出しています。
しかし【未知との遭遇】と【レイダース】の間の時期に、とんでもない映画を1作監督していたことは、映画ファンか、当時を過ごした方くらいしか知らないのではないでしょうか。
とりあえず、【全裸で寒中水泳していた金髪美女のケツを前に万歳三唱しているイ-19の乗組員】と書けば、上記の傑作軍とは全く異なるこの映画の【スゴみ】みたいなものを大体理解していただけると思います。
もー出てくるギャグの下品さに圧倒されっぱなしでした。
真珠湾攻撃の一週間後のアメリカ西海岸を描いているのですが、出てくるやつ出てくる奴バカばっかり。しかもどいつもこいつも自分のことしか考えないもんだから、要所要所でケンカシーンが挟まれっぱなし。
定期的に常識人っぽい人が「アメリカ人同士でケンカしてどうするんだ!!」と説教して回るんですが、そこから一分絶たないくらいでアメリカ人同士で乱闘が起きるという【リメンバーパールハーバー?何それ?】とでも言わんばかりの(メタファとしての)世紀末ぶり。
また日本軍兵士たちも登場しますけど、当然のごとくアメリカ人たちは彼らを「ジャップ」呼びだし、黒人差別もたまに混じる。
興行的には【ジョーズ】や【未知との遭遇】の成功とは程遠い大コケに終わった作品だけど、むしろよく大コケだけで済んだな、って思いますね。米軍だの退役軍人会だのからクレームに合って発禁処分になってもおかしくなかった映画ですよw
また145分と、ちょっと大作映画っぽい尺なのが腹立つw
なおそんなクソみたいな(褒め言葉)映画ながら、同年のアカデミー賞で3部門にノミネートされています。撮影賞とかは【地獄の黙示録】とか【クレイマー、クレイマー】みたいな傑作に混じって、この映画がノミネート群に混じってたりします。
ただ爆撃機のどこを押したらどの部分が動くとか、砲台の細かい発射手順とかを スピルバーグ監督のミリオタっぷりが垣間見られるのは面白いですね。作風真逆だけど、この辺の要素が後に【プライベート・ライアン】に繋がるのかなって感じで。
【キャラについて】
ダンボ司令官とか妄想癖軍曹とか、おいしいキャラもいるにはいましたけど、ちょっとビジュアル面でのキャラクターの描き分けって意味では寂しかったように思いますね。結構後半になっても誰が誰だかわかんなくって、混乱してしまいました。
この映画の後【ブルース・ブラザーズ】で名コンビとなるダン・エイクロイドとジョン・ベルーシが出てるほか、三船敏郎やクリストファー・リーが出たりしてるので、当時としてはオールスターだったんだろうし誰が誰かわかる人にはわかるんでしょうけど、色んな主人公が出てくる群像劇系映画なんだから、もーちょっとウォーリーとかバークウッドとかの主役級をビジュアル的にわかりやすくしてほしかったかな、という感じです。
あとどうでもいいですけどこの映画で一番まともなのってクリストファー・リー演じるナチス将校じゃないですかね?
【好きなシーン】
上記の万歳三唱のシーンはまず言うまでもないとして、「ロサンゼルスには攻撃するもんがあるんですかね?」「ハリウッドがあります」なるトンチキ発言が飛び出して一瞬で「あ、そういう映画なんですね」って思わせてくれる脚本はそれなりに痛快ですね。あそこで世界観を早い段階で理解させる、というシナリオの基本を忠実に踏襲してるので、脚本家は狂っているけどバカではないな、って思わせてくれます。
あと全編狂乱の宴みたいな空気ではあるんですけど、西海岸に潜入した日本軍兵士たちが呑気に記念写真撮ってるシーンは、ちょっと切なくなってしまいうんですね……当たり前ですけど、実際の戦争は、決してこんな気楽な感じじゃなかっただろうなって思えて。




