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【53本目】レッド・サン(1971年・仏)

 ヒロインと同じくらい黒田が脱ぐシーンが多いんだけど、もしかしてこの映画のメインヒロインは三船敏郎だった……?




【感想】


 【オーシャンズ】シリーズや【グランド・ブダペスト・ホテル】、後はまあ定番の【アベンジャーズ】シリーズみたいに、出演者のリストだけで「えっ、この人たちが同じ一本の映画に出てるの!?」ってびっくりさせられる映画ってありますよね。


 チャールズ・ブロンソン。アラン・ドロン。そして、三船敏郎。


 この日米仏の、一人だけでも大作映画の主役張れるレジェンド俳優が一堂に会した伝説の映画が、1970年代には実在しました。映画情報をネットで観た時、ガチで出演者の欄二度見しましたねw


 【レッド・サン】という日の丸にちなんだタイトルを持つこの映画は、この三大ビッグスターに加えてヒロインに初代ボンドガールことウルスラ・アンドレス、監督に初期の007シリーズを手掛けたテレンス・ヤング、音楽に【アラビアのロレンス】などに携わったモーリス・ジャールと、脇役やスタッフまで豪華。ハリウッド映画でもそうそう見られないだろう、というちょっとしたお祭り映画の様相を呈しています。もはやどれほどの大金が動いたんだろう、という別の視点で気になってしまう映画です。




 セルジオ・レオーネの【ウエスタン】なんかでマカロニウエスタンとの相性の良さも証明されているチャールズ・ブロンソンを主役にして、まずマカロニウエスタン的な空気を確立させたうえで、ひょんなことからその主人公がクロサワ映画でよくみる顔の日本人とタッグを組み、フランス・ヌーヴェルヴァーグ映画でよく見る顔のイケメンと戦う、という多国籍感がこの映画のキモになっています。フランス・イタリア・スペイン合作という点や盗賊が主人公と言う点で基本的な軸はマカロニウエスタンでありながら、西部の荒野で悪党たちやインディアン相手に三船敏郎演じる日本人・黒田が立ち向かう、というシーンがあったりして、後の時代に数作登場する和製ウエスタン、いわゆる【スキヤキウエスタン】の様相も持ち合わせています(ちなみにこの映画の3年前に高倉健主演の邦画西部劇【荒野の渡世人】が上映。意外とスキヤキウエスタンの歴史は古い)。




 黒田が盗まれた刀を取り返すことに命を懸ける理由として「いうれ武士の時代も終わり、武士は農民や漁師になる。せめて最後に、この任務を果たしたい」というセリフが語られたりして、図らずも時代に取り残されたサムライの生きざま、という【ラスト・サムライ】的なテーマも入り組んでいるのも興味深いところです。


 (だったら時代考証もうちょっと頑張ってよ!とも言いたくなるけど。年代設定1870年で備前守が”ミカド”から与えられた刀を大統領へ、ってもう無茶苦茶ww仮にも最初の最初に映画の企画を立案したのは三船プロなのにw)




【キャラについて】


 最初の強盗シーンでならずもののチャールズ・ブロンソン演じるリンクとアラン・ドロン演じるゴーシュのバディで展開される【明日に向かって撃て!】的なクライム映画みたいなつくりで始まるんですけど(ブロンソンのヒゲもサンダンスっぽいし)、序盤で彼らがまさかの敵対関係に!代わりにバディとなるのは海の向こうからやってきたSAMURAI!!という相関図の大胆な変化を前半に据えて、視聴者を一気に引き込ませてくれますね。


 2回目の視聴だとリンクもゴーシュも強盗と言う関係ながら、序盤で実際に殺す描写があるのはゴーシュと手下たちだったり、ゴーシュがハリウッド西部劇のヒーロー保安官を思わせる整った服装(こんなナリで笑いながら銃撃つから恐い)なのに対してリンクがマカロニウエスタンの用心棒を思わせる小汚い服装だったりして、うまいこと冒頭の時点で主役と敵役をかき分けていることに気づかされます。


 


 そして【続・夕陽のガンマン】でも思いましたけど、【敵同士の共闘】っていう展開がいかに美しいか、っていう問題を改めて語りたくなる映画なんですよねこの【レッド・サン】。リンクと黒田は【ゴーシュを追う】という目的の一致で共闘関係にありながら、【ゴーシュから金のありかを聞き出す】【即ゴーシュを殺す】という微妙な目的の齟齬があり、協力している間でも何度もケンカします。この辺のチームの協調性のなさがこの後どうなるんだろう?という気分にさせてくれるし、物語の核の一つになっています。最初から仲間同士の関係だとこういう協調性のなさはストレスがたまるだけなのですが、元々は敵同士だった彼らの場合協力はしても特に仲良くする理由もないのでケンカしてもさほどストレスにならない、という、【敵同士の共闘】の利点を最大限に発揮してる脚本なのが痺れます。そんな関係の二人が知らず知らずのうちに互いを理解していき、ラストのああいう別れ方につながる、というところも又しかり。




 またリンクと黒田のコンビがそろそろ定着しだしたかな?ってところで、クリスチーナが旅の仲間(?)として加わり、主人公、ヒロイン、悪役という男女の三角関係が新しい軸になってくるのも見どころです。




 


【好きなシーン】


 敵同士が共闘するような関係性とか、西部の大平原(ロケ地はアメリカかわかないけど)を侍が闊歩する絵面の強さとかで魅せてくる映画なので、好きなシーン、と言われるとパッと思いつかないですね。


 黒田が大自然の中でおにぎりを頬張ったり、「さっき寝た。歩きながら」とイルカみたいなこと言ったりとオリエンタリズム全開の日本人描写とか、徒手空拳でのケンカの末の「もう疲れたろ? 今日のところは引き分けだ」と池乃めだか的発言をするリンクとか、1970年代でこれはないだろってレベルで偏見丸出しのインディアン描写とかネタ的なやつしか浮かばないw




 ただ振り返ってみると、ラストで捕まって殺されること覚悟で待ち合わせ場所の駅に刀を持っていきつつも、刀を電線にぶら下げた後即逃げて生き延びる道を選ぶ、というリンクの決断の美しさが光るシーンかもしれません。友とよべる男に感化されてはいるけど、根本のところでは自分を捨てていない感じで。

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