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【34本目】ソーシャル・ネットワーク(2010年・米)

【感想】


 2011年の2月、第83回のアカデミー賞の結果が発表されました。


 作品賞を受賞したのは、英国王・ジョージ6世の人生を描いた【英国王のスピーチ】(12部門ノミネート、4部門受賞)でした。


 【英国王のスピーチ】は、吃音症に悩まされる国王が、しかるべき人のサポートと自らの勇気でもってコンプレックスを乗り越える、正に実在の人物を綺麗に物語へと昇華させた映画でした。


 さて、この【英国王のスピーチ】ほどではないものの、同賞で8部門ノミネート、3部門受賞という好成績を残したのが、この【ソーシャル・ネットワーク】です。


 FACEBOOKをパロったタイトルロゴを観てもわかるように、FACEBOOKの創始者・マーク・ザッカーバーグの半生を綴ったノンフィクション映画、という触れ込みです。しかし同じノンフィクション映画でありながら、その印象は【英国王のスピーチ】とは全くもって異なっています。


 悩みを抱える主人公が苦難を乗り越えてそれを克服、という物語的(漫画的)なストーリーの【英国王のスピーチ】とは違い、この【ソーシャル・ネットワーク】のストーリーはトラブルが最後まで円満に解決されなかったりして、かなりドキュメンタリー的です。




 前半では、歴史に名を遺す人物=人格者、という伝記映画とか書店の子供コーナーに置いてある伝記漫画がよくやりがちな脚色に対して「うるせーそんなの幻想だ!!」と唾を吐きかけるかのように、マーク・ザッカーバーグのヤバさが前面に押し出されます。


 冒頭からして他人のペースとか全く考えていないし、FACEBOOKの元となるサイトを立ち上げたのは彼女にフラれた腹いせだし、そのサイトもハッキングを繰り返して立ち上げた不当なものだし、そもそもサイトですることが女子大生のルックスの格付けというザ・セクハラだし。


 監督のデビッド・フィンチャーが過去に手掛けた傑作【ファイト・クラブ】では、人間の根底にある暴力的な本能がだんだん膨張して、社会に反旗を翻すまでになるさまが描かれていますが、この映画で描かれているのも理性よりも本能で喋ったり、行動したりするような人間が世界最大のSNSサイトを立ち上げる物語なのです。




 さて、この映画はそんなサイコパス一歩手前の天才・マークと、真面目な友人エドゥアルドを軸として展開されますが、この手の話(【ビッグバンセオリー】とかw) にありがちな友情に頼らなくても能力のあるやつが成功する、友人思いの真面目な奴は馬鹿を見るだけ、みたいなブラックなオチにならないところがこの映画の凄いところです。


 映画の後半でマークはもう一人の天才・ショーン・パーカーと出会い、彼と親密になったことがきっかけで結果的にエドゥアルドと友情は崩壊してしまいます。さらにショーンもマークの元を離れ、最終的に一人ぼっちになってしまう、という悲しいオチがマークには待っています。大成功を収めたはずの天才の孤独、という点では、最近公開された【ロケットマン】に通じるものがあるかもしれません。




 さらに、映画のラストでは、女性弁護士の発言によって今までの回想の信ぴょう性すら覆されるという展開になります。ベースとなる時間軸が二つの訴訟手続きであり、マークが出世するまでの経緯を描いた映像はその手続き中の証言という形で展開される(時間軸がめまぐるしく転換するのでそこだけでも面白い)映画なので、【この映像はどこからどこまでが真実なのか】的な【羅生門】的な勘繰り方ができる映画でもあるのです。


 つまりこの映画で展開されるウィンクルボス兄弟やエドゥアルド、その他大勢へのマークの迷惑行為はほぼ事実に近い物語かもしれないし、女性弁護士の発言を真に受けるならまるっきり大嘘かもしれない。


 歴史上の偉人の史実での悪行、欠点などがネットの台頭によって広まりやすくなり、人格者としての偉人像を人々が持ちづらくなった時代において、このラストシーンは【偉人に対してどういうイメージを抱くかは、あなた次第】というメッセージを観客たちに訴えているようにも見えました。




【好きなシーン】


 一にも二にも冒頭の彼女(演じるのは【ドラゴン・タトゥーの女】のルーニー・マーラ)との会話シーンですよねー。


 オタク特有の早口に加えて、中国人だのクラブだのの自分のしたい質問を会話の流れを一切合切無視してまくしたてる姿でもって、5分やそこらの時間で「この主人公やべええええええ!!」と思わせるのに成功していますよ。


 自分も他人との会話でつい早口になってしまいがちなので、「その発言は絶対ダメだろ……」と共感性羞恥が働いてしまうシーンでもありました。


 あのシーンは99回くらい撮り直したというエピソードがあるそうですが、確かによっぽどの名優であってもあの演技をやるための教科書は脳内に持っていないだろうな、という話です。




 やばい奴のキャラ付け、という意味ではショーンとの食事シーンで「楽しいパーティーっていいながら11時にお開きっていうのと同じ」「マスを14匹釣った写真を挙げるやつがいるか?」と例えがポンポン(しかも流れるように)出てくるショーンの(実質)演説シーンも印象的です。




 あとラストでパクられたショーンの「エドゥアルドが通報したのかな?」という問いに対してマークがはっきり「違うよ」って否定するシーンも好きです。

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