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【105本目】スカーフェイス(1983年・米)

 どんな銃撃シーンや殺害シーンよりもトニーのオカンのヒステリーの方が不快なんだけど、これって少数派なんかな……




【感想】


 ハワード・ホークス監督の【暗黒街の顔役】を、当時の社会情勢を交えてリメイクした映画でいきます。


 リメイク元がすごい古いのでそっちの方が多数派だとは思いますが、僕が先にみたのはこっちです。


 自分は【アンタッチャブル】でブライアン・デ・パルマ監督を知って、あの映画のバイオレンス描写に感激を覚えたクチなんですが、【アンタッチャブル】以上の銃撃・流血・殺人描写に圧倒されましたね。それでいて話の流れ自体は一人の男の成り上がりと破滅を描く超王道ギャングストーリーなので、いやがおうにも僕にとってのお気に入りの一作になるってもんです。


 また序盤でマイアミでコカインを受け取る場面、マイアミのあの辺行ったことあるので、うわー自分が実際に行った場所で残忍な殺害が起きている!と謎の高揚感を覚えたりもしてました。




 1932年【暗黒街の顔役】で描かれたのは禁酒法時代のアメリカですが、オリバー・ストーンが脚色を行ったリメイク版のこの映画では1980年代にアメリカに大量に移住してきたキューバ移民が背景となっています。


 なので主人公がギャングとして頂点に上り詰めようとする理由として、共産主義政権の中で貧しさと不自由という抑圧の中で生きてきた反動、という文脈が加算されているのが、同時代の情勢を上手に既存のギャング映画のシナリオに織り交ぜている、といった感じですね。




 そしてこの映画を語る上で欠かせないのが、【キャリー】や【殺しのドレス】で流血描写の腕前は折り紙付きなデ・パルマ監督の本領が発揮されたバイオレンス描写ですよね!!


 リメイク元の【暗黒街の顔役】は、暴力描写や近親相姦を思わせる描写が原因でアメリカ映画協会の前身となる組織とモメた、なんて逸話がありますが、アル・パチーノ演じるトニー・モンタナが【F〇CK!!】を連呼する他、ドス刺し、脳天撃ち、機関銃乱射、挙句の果てにヘリコプターからの首吊りにチェーンソーによる人体切断(直接の描写はないけど)などやりたい放題のギャング抗争は、正しく【暗黒街の顔役】の後継作品!って感じでした。




 あと気になったのが、【暗黒街の顔役】では主人公のトニーが警察に射殺されて一応勧善懲悪の形式に落とし込まれた脚本なのに対して、この【スカーフェイス】ではトニーにとどめを刺すのが公権力ではなく別のギャングで、因果応報ではあっても勧善懲悪ではないという点ですね。同じアル・パチーノ出演のギャング映画【ゴッドファーザー】(スカーフェイス上映の時点では上映はPARTⅡまで)でもマイケルは法的モラルに縛られることなくラストまで逃げ切りますけど、これらの作品で主人公が勧善懲悪的なモラルに縛られない生きざまをしてることは、【悪者を倒すのが、別の悪者しかいない】というアメリカの病理をリアルに描写しているようにも見えました。




【好きなシーン】


 トラウマもののチェーンソーとか中盤にある順風満帆で豪勢な生活をダイジェストで描くシーンも見どころですけど、後半の破滅のきっかけとなるシーンは、自分の悪役観みたいなものについて改めて考えることになったシーンとして印象に残っています。


 後半でトニーは【子供は殺さない】という良心ゆえに得意先を裏切ってしまいますけど、僕があの良心を見せるシーンに対して覚えたのは、よく悪役に対して思う【こんな優しい面があったんだ】という感動よりは、【あんだけ非情の限り尽くしといてそれ!?】という失望に近い感情だったんです。


 もちろん何もためらわずに家族ごと殺しだしたらそれはそれで引いてたと思いますけど、なんちゅーか、人(子供も含む)の人生を狂わせる麻薬を売りさばいといて、子供殺しの汚名を被る覚悟はないんだ?っていう感じで、あのシーンで偽善者的な要素を彼の中に見出してしまいましたし、前半で彼に対して感じた幻想も崩れていきましたね。


 って、【子供を殺さない】という当然の良心に対してこんな風に失望する僕もたいがいなんでしょうけど、多分悪役にも良心があった!という光景は、見せ方によってはヒーローが実は悪人とつるんでいた!という光景と同じくらい視聴者を萎えさせかねないシーンなのかもしれません。


 【レオン】の彼とかはマチルダに優しく接しても普通にかっこいいと思えますし、いつ良心を見せるか、というタイミングが重要なのかもしれないですね。




 あと【12万5000人のキューバ人が流入して、うち2万5000人は前科持ちだった】とかいうめちゃ偏見を煽るプロローグを入れておきながら、エンドクレジットでこっそり【この映画のキューバ移民たちはすべてのキューバ移民を代表していません。彼らの大半はアメリカのために働く真面目な人たちです】(うろ覚え。なお日本語字幕なし)と表記しているのが言い訳がましくてツボでした。


 

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