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パッシブスキルは考え物  作者: ぬた
4/4

軽率なスキル振り

アフリカオオコノハズク、可愛いですよね。


『転移者にはいくつかの特典が付きます。この手紙はその特典を説明するためのものです。まず同封されているプレートですが、それはこの世界における貴方の身分証明書です。無くさないようにしましょう』


 妙に固い文面だ。あのゴリラのイメージからは想像できない。違和感を感じつつもそのまま読み進める。

 説明によると、このプレートの表面には名前・年齢・種族・性別・所属が、裏面には天職・レベル・所持スキルポイント・所持スキルが表示されるという。裏面の情報は他人には見えないらしい。

 試しにプレートを指でなぞってみると文字が浮き出てきた。初めて見る文字だ。日本語でも英語でもない。しかし何故だか読める。不思議な感覚だった。

 裏に返すと、所持スキルの欄に一つだけ薄く文字が光っている。


『言語適応』


 このスキルのおかげで読めていたのか。なるほど合点がいった。確かに言葉が分からないと不便どころではない。これはありがたい。

 プレートの事は大体把握した。手紙へ視線を戻し、続きを読む。


『次にスキルについてです。この世界のスキルは2種類に別れています。自ら発動させるアクティブスキル、常に発動しているパッシブスキルです。特典の一つである『言語適応』は後者になります』


 このスキルが特典だったのか。転移者に贈るものとしては気が利いている。


『スキルは、プレートの裏面に表示されているスキルポイントを消費することで取得出来ます。スキルポイントはレベルを上げることで入手可能です。天職によって取得できるスキルは異なります』


 天職でスキルが変わる……。俺の天職は何だっけ。詳しく見ていなかった。プレートを見直し確認する。


『天職:シーフ』


 あの小さい頃に……という謎の質問にも意味があったのか。忍者から微妙に変化しているが、まぁそういうことなんだろう。どんなスキルが取れるのか楽しみになってきた。


『転移者への特典として、最初に取得するアクティブスキルがパッシブ化します。パッシブ化したスキルのコストは無くなります』


 なるほど。よくわからん。コストって何だ。

 少し考えるもすぐに諦めた。分からないものは分からないのだ。

 さらっと流し読んだ。


『これで説明は以上です。スキルを駆使し、より良い異世界生活を楽しんでください。――――追伸。この手紙を届けた子は貴方の使い魔として贈ります。仲良くしてあげて下さい』


 なん……だと……!?

 手紙を持つ手を降ろし、大人しく読み終わるのを待っていたコノハズクを見る。可愛い。


「俺の使い魔って本当?」


 俺の質問にコノハズクはこくりと頷いた。

 使い魔だというのならば、今度こそ撫でさせては貰えないだろうか。撫でたい欲求が再燃している。

 何かを察したのか、コノハズクは膝にぴょんと跳び乗ってくる。おそるおそる手を出して、人差し指の背で首の辺りを撫でると、気持ちよさそうに目を細めている。とても幸せである。

 間違いなくこの特典が一番素晴らしいものだ。ありがとうゴリラ様。

 しばらく撫でていると、ふと大事なイベントを忘れている事に気づいた。

 そう、名付けだ。使い魔にその名前を認めて貰い、絆を深める大事なイベントだ。センスのある名前を付けねば……。

 しばらく悩んでいたが何も思い付かない。


「……お前の名前はコノハだ。これからよろしくな」


 発想力とネーミングセンスが足りなかった。コノハズクだからコノハ。安直にもほどがあるが、許してくれ……。

 特に反応は無かったが受け入れてくれたという事にしておこう。


 さて、そろそろスキル取得に移ろうか。コノハを撫でる手は止めずに、プレートに目を落とす。プレートの裏面を横にスワイプすると、スキル一覧が表示された。

 盗賊(シーフ)の名の通り、『ピッキング』や『ハイド』、『スティール』など、盗賊らしいスキルや、『短剣術』、『弓術』、『投擲術』等の戦闘系、『調合』、『道具作成』といった補助系など、様々な種類のスキルが並んでいる。なかなか面白そうだ。

 持っているスキルポイントは3だ。何を選ぼうか。

 一覧を眺めていると、あるスキルが目に留まった。


『ステルス』


 おぉなんか忍者っぽい。『ハイド』と似ている気がするが、スキルの説明文が無いのでニュアンスで判断するしかない。

 透明になって敵を襲う忍者……。妄想していたキャラクターになれる。せっかく異世界に来たんだ。自分の憧れていたものを目指したって良いだろう。

 そう思い、『ステルス』にポイントを振った。文字が淡く光り、所持スキルの『言語適応』の下に追加される。


 身体が薄紫の光に覆われる。しばらくすると、その光が左腕に集まり、腕章のように形どる。

 光の移動に見とれていると、自分の身体が半透明になっていることに気付いた。スキルが発動しているようだ。


「コノハ、俺の姿は見える?」


 膝に乗ったままのコノハに確認を取る。

 コノハは頷いた。普通に見えているようだ。バッチリと目が合っている。


「スキル発動出来てないのかなぁ……」


 コノハ以外に人が居ないので自分の身体がどうなっているのか確認出来ない。まぁいいか。そのうち確認できる機会がくるだろう。

 それじゃ気を取り直して次のスキル取ろう。そう思ったが。


「――――あれ?」


 気付いた。


「スキルってどうやって解除するの?」



サイ○ーグ忍者

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